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るうてる2023年

るうてる2023年10月号

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※巻頭説教が落丁しており、11月号に再掲載しております。

「不信仰を赦す神」

日本福音ルーテル三鷹教会牧師・ルーテル学院大学チャプレン 高村敏浩

「その子の父親はすぐに叫んだ。『信じます。信仰のないわたしをお助けください。』」
(マルコによる福音書9・24)

 「不信仰は主要な罪であり、すべての罪の中の罪であるのだから、罪の赦しとはもっぱら不信仰の赦しであるに違いない。」アメリカのルーテル教会の神学者であるロバート・ジェンソンは、その神学的自伝の中で自身の神学生時代を振り返り、当時強く影響を受けた19世紀スウェーデンの信徒説教者カール・オロフ・ロセニウスの言葉を紹介します。ロセニウスは、神が私たちの不信仰―神を信じられないということ―を赦されると言うのです。そしてジェンソンは、それまでこの当たり前のことに気が付かなかったと告白します。
 1521年のヴォルムス国会で帝国アハト刑を受けたマルティン・ルターは、その帰途、誘拐を装って姿を消します。それは、彼の領主がルターを守るために行ったことでした。そこから1年近く、ルターは安全のためヴァルトブルク城にかくまわれて過ごしました。その間、精力的に取り組んだ執筆活動には、1522年に出版された新約聖書の翻訳も含まれます。ルター不在のヴィッテンベルクではしかし、ルターの同僚たちの手によって改革が急激に推し進められました。急進的な改革は街に混乱をもたらし、それは騒乱へと発展します。そのような中、1522年3月にヴィッテンベルクへ帰還したルターは、1週間にわたって説教を行います。それは、ヴァルトブルクに留まるように言う領主に対して、ヴィッテンベルクの教会の招聘を受けた牧師であることを根拠に自分の帰還を正当化した彼のアイデンティティによく合致したものでした。
 同年5月から翌年初頭にかけて、ルターはペトロの手紙一の連続説教を行います。彼は、この書簡の冒頭に登場する「イエス・キリストの使徒ペトロ」の「使徒」という言葉を、「語る者」、「口頭で宣べ伝える者」と、若干強引とも思える解釈をして、「書かれた文字」ではなく、「生きた声」である説教を一ペトロ全体のテーマに据えます。そうして行われた連続説教は、ある種、福音説教についての説教と言えるような内容でした。福音説教とは何かを明確にし、説教者を育てることこそ、まだはじまったばかりの改革運動には何よりも必要なことだったのでしょう。ルターの同僚さえも改革を急進的に推し進め、混乱を引き起こす中では、福音をはっきりと語る説教こそが求められていたのです。混乱した街を回復させ、教会改革を進めるためにルターが最重要視し、また最優先に取り組んだことが福音の説教であるということは、言い換えれば、ルターがどれほど、説教―宣べ伝えられた神のことば―がその聞き手に働く力を信頼していたかということでもあります。説教を神が語る出来事として捉えていたルターは、他の何ものでもなく、説教をこそ、伝道の要に据えたわけです。
しかしルターは、人間の限界をも理解していました。たとえ説教者が神のみことばと格闘し、言葉を慎重に選んで十分に準備した説教をもって福音を明確に語ったとしても、それでも人間の力によっては、説教者自身にも、また、説教を聞く者にも信仰をもたらすことができないと、ルターは知っていたからです。語られたみことばを通してその聞き手のうちに信仰をつくりだすことができるのは神だけであると、信仰とは、神が私たちに働かれる神の業であると、ルターは知っていたからです。しかしだからこそ、ルターはみことばが語られることを、説教を、伝道の中心と理解しました。全力を尽くしてもなお不完全である人間を神があえて用い、信じられないという葛藤を生きる私たちに語るということである説教を通して働く神の恵みと憐みを、彼は信頼したのです。
宗教改革をおぼえるこの時期、私たちはあらためて立ち返ります。信じられない私たちに語りかけ、私たちの不信仰をも赦して私たちをその愛する子どもとする神こそが、私たちの神であるというよい知らせに、そしてそれが何よりも、説教を通して私たちのもとに届くのだということに。アーメン。

エッセイ「命のことば」 伊藤早奈

㊸できるよ

 「ここでいう主とは、〝霊〟のことですが、主の霊のおられるところに自由があります。」コリントの信徒への手紙二3・17

 カタン、カタン、ゴトゴトゴト。
 「カーテン開けてもいいですか?」シャー。入院中お一人おひとりのベッドはカーテンで仕切られていました。
 朝、一人の方のカーテンを開けるとその方はベッドの上に乗って何かをされておられ、いつも寝たきりが多かった方が今ベッドの上に乗って荷物を整理されている。
 「やれるうちにやっちゃいたいと思ってさ」いつもと比べると信じられないほど動いておられました。
 やれるうちに…。あっ同じだ。私も治療がうまく効いたとき、急にできたことがあり(すぐにできなくなったが)、できるうちにと頑張った覚えがあります。こんなに極端でなくても私たちは多かれ少なかれできなくなる経験をします。怪我であったり病気であったり。そして誰もが変化を感じるのは老いかもしれません。
 もう秋になります。新緑に輝いていた木々の葉のほとんどはやがて風に吹かれたりして地面へと落ちていきます。
 その姿に自分を写して悲しむ主人公に「変化は悲しいものではないよ。当たり前のことなんだ。」と語られる絵本のシーンを思い出します。
 地面へと落ちた葉は地面を温め新しい命を育みます。失った能力や人やもの、立場かもしれません。それらのことに囚われて今用いられていることに気付かないだけなのかもしれません。できたことができなくなるって病気のせいであっても、怪我のせいでも、老いの結果でも辛いし悲しいです。前はできたのにと思う事もあります。
 ただ「今のあなたが大切だよ」と語られています。

改・宣教室から

小泉基 宣教室長(日本福音ルーテル 札幌教会牧師)

熊本で行われたルーテル社会福祉協会の総会の後、運営委員のひとりである光の子会の山下学さんにお話しを伺いました。
 ―山下さんは光の子会では、どのようなお働きをなさっておられるのですか?
 山下 光の子会は、障がい児者支援にかかわる6つの事業を展開していますが、その中で私が園長を任じられているのは児童発達支援センター光の子学園です。簡単に言うと知的障がいのあるお子さんの特別支援幼稚園のような働きを担う場でです。3才から6才までのお子さん36名が毎日通ってきます。
 ―お子さんたちは可愛いのでしょうね。
 山下 めっちゃ可愛いです。子どもたちに癒やされながら毎日の働きを覚えています。
 ―とはいえ、障がい児の支援には難しいこともあると思います。
 山下 そうですね、一番難しいのは保護者への支援です。お母さんたちの多くは、自分が障がいのある子どもを産んだことをマイナスに受け留めていて、独りでその責任を背負ってしまっています。ですから保護者学習会などで、あなたの責任ではなくそれは神さまのご計画です。神さまのつくられた命には全てに役割や目的があり、全ての子どもが宝です。だから独りで背負わずみんなで育てていきましょうと話しています。また、保護者自身が障がいや精神疾患を抱えていたり、虐待ハイリスク家庭のケースもあります。職員とともに支援に取り組んでいますが、通所ならではの難しさもあり簡単ではありません。
 ―山下さんが障がい者福祉の道を歩まれることになったきっかけを教えてください。
 山下 大学で心理学を学び、教職(特殊教育教諭)課程の教育実習を養護学校(現特別支援学校)で1ヶ月間経験したことが方向転換の契機となりました。母教会に障がい者が多く集っておられたことも背景にあったかもしれません。
 ―ご自身の教会での経験もおありだったのですね。大切にしている聖書の言葉があれば、教えてください。
 山下 「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。」(マタイによる福音書25・40)。〝最も小さい者〟は、人々によって小さくされている命と理解しています。そこに主の手を伸べる役割を担わせていただいている。それが私の福祉観のベースを成し、召命をいただいていると受け留めています。
 ―やさしさと強い意志を感じられるお話しを聴かせていただきました。ありがとうございました。

「教会讃美歌 増補」 解説㊸ 増補46番 「喜ぶ人と共に」

北川逸英(日本ルーテル教団池上教会・杉並聖真教会牧師)

 46番から49番の4曲は歌集『うたえ 暗闇にとどまることのないように』からの転載です。この歌集は、「黙想と祈りの集い準備会」により、テゼの歌に触発され「日本でも同じ様に歌いたい」という強い願いに応えて2012年に初版、2015年に改訂増補版が出版されました。掲載曲91曲中、塩田泉司祭の作品が60曲を数え、この歌集の柱となっています。
 「喜ぶ人と共に」は、ローマの信徒への手紙12章15節から着想を得て、作詞も塩田泉司祭が行われました。この詩は塩田司祭が暮らす共同体での、毎日の営みが感じられます。小高い丘の中腹にある見晴らしのよい美しい村で、主を中心にして、共同生活を営む人たちの上に与えられる、豊かなキリストの愛と、吹き渡る聖霊の風を感じます。中庭には聖母子像が置かれ、台座には「愛」「LOVE」と併記され、海外からの客人も多く受け入れられます。
 「黙想と祈りの集い準備会」の中心メンバーであり、歌集「うたえ・・・」にも賛美歌を提供する植松功さんはよく「歌うことは祈ることです」と言われています。みなさまどうぞ、祈りをもってゆっくり、何度も繰り返しお歌いください。

「教会讃美歌 増補」 解説㊹ 増補47番 「こうふくは しづかなせかい」

北川逸英(日本ルーテル教団池上教会・杉並聖真教会牧師)

 作詞者八木重吉は1898年東京府南多摩に生まれます。そこに今も記念館があって、代表作「素朴な琴」の詩碑が建っています。
この詩は死後に刊行された第2詩集『貧しき信徒』(1928年)に収められています。重吉は1927年10月25日深夜ふいに「かわいい、かわいい、とみ子」と呟き昏睡。翌日29歳で帰天。22歳の妻とみ子に4歳の桃子、2歳の陽二が残されました。しかしこの子たちも、父親と同じ肺結核で思春期に相継ぎ帰天。彼女の悲嘆を思う時、八木重吉の詩(うた)が、とみ子を強く励ましたと信じます。
 この詩は大正13年10月に編まれた「欠題詩群(一)」の中にありました。その96編の作品中に3つだけ、題のついている詩があります。かっこが付いた(わが児)と、題名だけが明記された、幸福人Ⅰと幸福人Ⅱです。
 何を思って重吉はこの詩を作り「幸福人Ⅱ」と名付けたのか。またどうやって塩田司祭はこの詩を見出し、そこにメロディーを付けられたのか。静かで美しいこの歌は、山上湖のような深い不思議を秘めています。

世界の教会の声

浅野直樹Sr.(世界宣教主事 市ヶ谷教会・スオミ教会牧師)

氷河のレクイエム ドイツの気候変動と教会

 先頃ドイツ最高峰の山の頂上で行われたある祈りが注目を集めました。 消えゆくアルプスの氷を悼む鎮魂、氷河のレクイエムです。
 ツークシュピッツェは標高2962メートル。ドイツにある4つの氷河のうち2つがここにあります。バイエルンのルーテル教会とミュンヘンのカトリック教会の聖職者たちは、気候変動と創造の保全をアピールするため、ここでエキュメニカルな祈りをささげました。
 ウィルヘルム牧師らは7月25日、「消えゆくシュニネーファーナー(ドイツにある最大の氷河)、大自然そしていのちを育む将来の環境のための祈り」を、アルプスで一番人気の観光スポットでささげました。選ばれた聖句は詩編121編「目を上げて、わたしは山々を仰ぐ。わたしの助けはどこから来るのか」。消滅する氷河を悼み、気候変動の課題に共に取り組もうと呼びかけました。
 北シュネーフェルナーは、2030年までにはもはや氷河と呼ぶことはできないと科学者は言います。2014年から2022年にかけて3分の1の氷が消えました。当初、最深部で39メートルあったのが昨年は27メートルに。世界気象機関によるとスイスのアルプスでも2001年から2022年にかけて3分の1の氷が消失しています。
 気象危機は今や牧会的な課題になったとウィルヘルム牧師は言います。「氷河が小さくなり人々が動揺しています。かつてここで生活していた人たちはとてもショックを受けています。気候変動は人々の不安を募らせ、牧会的な課題になりました。ツークシュピッツェの麓で暮らす人たちは、頂上にはもはや瓦礫と岩石しかないとショックを受けています。」
 レクイエムに参加した一人バーバラさんは、「ツークシュピッツェの氷河は永遠の氷」だと学生時代に習ったことを思い起こし、永遠の氷が消えてなくなると聞かされ心を痛めています。
 レクイエムでは教会音楽家のロヒナー氏が作曲した「永遠の氷の果てへのエレジー」が演奏されました。3人の歌手が不協和音を奏でて詩編81編から「わたしの民よ、聞け」と歌うと、それにあわせてボンゴがゆっくりリズムを刻み悲しみの音を響かせました。
 避けられない悲しい現実に直面しつつも、ハンメル牧師はこの異例のレクイエムによって希望を鼓舞して、力を合わせて気候変動に取り組もうと呼びかけました。「この頂にサハラ砂漠の砂が舞い、燃えさかるブラジルのジャングルの灰が飛び交い、都会のすすと埃、全世界の塵がここにあります。氷河、人々、気候、植物、動物、私たち全てはつながっているのです。」

※詳細についてはWEBサイトをご参考ください。

キリストと出会った+なかまと出会った!東海教区青年会+外国メンバー修養会2023

徳弘浩隆(日本福音ルーテル高蔵寺教会・復活教会牧師・東海教区外国人宣教担当)

 8月12日、青年と外国メンバー、サポーター達15名が夏の渥美半島に集まりました。みのり教会田原礼拝所をお借りして礼拝とワークショップ、海辺BBQ公園で昼食と交流会。礼拝は現地教会一部メンバーも参加して下さり25名。「自己紹介・神様紹介(あかし)」ではみな日本語で頑張り楽しく交流しました。8カ国に関係ある人たちの集まり。外国や各地のお菓子ボックスで教会にお礼をしましたが、教会からは飲み物やスイカも頂き感謝でした。
 バーベキューは木陰を予約、あずまやの場所取り、ミストシャワーも使い万全の態勢。楽しく、おいしい時間でした。交流会は外国メンバーが企画進行。スプーンでビー玉運び競争。生まれた所と違い、驚いたり失敗した事を披露しあい、楽しく文化の違いを実感する「カルチャーショック大会」は面白い失敗談ばかり。「おてら」と「おてあらい」を言い間違えた失敗談を披露してくれたベトナム女性メンバーが優勝!教会「スタンプラリー」カードを配って数えてみると、中国帰国メンバーが1位で2位は女性青年メンバー。楽しい表彰式と賞品も。最後は、みんなの手でハートを作って写真撮影(写真下右)。「キリストの平和を心に、仲間と世界に平和を」のテーマを形にし、神のハート(愛)のなかに自分たちがいることも確認しました。
 参加者の声を拾うと、「荷物運びがあり前泊もしました。海で泳ぎ夕陽もキレイでした。集会もとても楽しかった。今年結婚しました。高蔵寺教会でもお祝いしてくれうれしかった」とベトナムから来て5年のHopくん(集合写真前列最右)。「近年青年は少なく残念ですが、渡邉先生が地道にZoom集会をしてくれています。昨年クリスマス以来で、みんなと会えて楽しかったです。ハートの写真も大切にします」と青年代表の古川のぞみさん(後列右から3人目)。今後も各教会を訪ね、青年や外国メンバーともつながり、広げたいですね。

ルーテル幼稚園保育園連合会研修会報告

田島靖則(ルーテル幼稚園保育園連合会役員・日本福音ルーテル田園調布教会・雪ヶ谷教会牧師)

 コロナ禍にあって久しく開催が見送られてきた対面形式の研修会が、8月8日(火)広島教会礼拝堂にて行われました。今回は総会を兼ねた設置者・園長研修会であり、主題を「平和」とし、塩冶節子さんの被爆証言を聞き、広島女学院所蔵の被爆ヴァイオリンの演奏を聴く機会にも恵まれました。
 就学前の園児たちを対象とした平和教育には、特別な配慮が必要とされます。原爆の地獄絵図が子どもたちに、ただただ恐怖心を植え付けてしまうのでは、かえって逆効果です。しかし今回の講師であった塩冶節子さんは5歳の時に被爆された方で、5歳児の目から見た被爆体験を語ってくださいました。親しかった2人のお友達の名前を挙げて、原爆投下後にその2人のお友達が犠牲になったことを知ったというのです。5歳の子どもにとって、戦争は親しいお友達を奪い、家族を奪い、優しかった近所のお兄さんお姉さんを奪うものだったのです。おどろおどろしい表現はあえて採らず、とてもシンプルな表現を用いることで、幼児を対象とした平和教育の新しい可能性を考えることができました。
 被爆証言とヴァイオリン演奏会を企画してくださった、谷の百合幼稚園の橋本園長のご協力に感謝いたします。また、会場を提供してくださった広島教会の立野牧師の「子ども食堂」への取り組みを学び、当日行われていた「だれでも食堂」を見学しながら食事をいただく機会にも恵まれました。
 第二部の総会では、2024年度からの新しい役員が3つの地区からそれぞれ2人ずつ選ばれました。今までのように、関東と九州で交互に役員を選出する方法を改め、すべての地区から役員を選ぶことが可能となりました。これは、コロナ禍によってリモート会議の利点が認識された結果であり、対面開催の役員会の頻度を減らしても、全国規模のネットワークを常に保つことが可能になったということです。全国でキリスト教保育の働きを続ける、ルーテル教会の関係園のために、どうかお祈りください。

リレーコラム 「全国の教会・施設から」⑤

日本福音ルーテル仙台教会 長島慎二(日本福音ルーテル仙台教会代議員)

  仙台教会の伝道は長沼三千夫牧師によって始められました。1957年8月4日(日)、現在地の近くの家を借り、六畳間で第1回の礼拝が行われました。出席者は牧師家族と小泉あや子姉でした。2年後の1959年、宮町に拠点を移し、1962年12月に教会堂および牧師館が完成しました。長沼牧師とともに最初期の伝道を担ったのがJerry C. Livingston宣教師でした。1955年にサウスカロライナ大学を卒業した後、1958年、コロンビアにあるルーテル神学校を修了と同時にUnited Lutheran Church of Americaの牧師として叙任されました。日本伝道のために船旅で横浜に到着したのが1959年9月4日。大学時代に出会った奥様と17カ月のお嬢様を伴っていました。2年間の語学研修を了えた後、1961年12月に仙台教会に赴任なさいました。その後、通木一成牧師の時代の1971年に東教区鶴ヶ谷開拓伝道実行委員会が設置され、東教区内において一坪献金運動を開始しました。1973年4月7日、「社会福祉法人東京老人ホーム鶴ヶ谷保育所希望園」として鶴ヶ谷開拓伝道献堂式が挙行されました。最初は、希望園のホールで礼拝をしていた鶴ヶ谷教会は、1987年、現在の教会堂を建設しました。仙台地区は、仙台教会と鶴ヶ谷教会がそれぞれの役割を担い伝道を続けてきましたが、昨年より組織合同をし、ひとつの仙台教会となり、宮町礼拝堂と鶴ヶ谷礼拝堂において礼拝が守られ、3つの保育所が運営されています。
 最後に、仙台教会が初任地であり、最後の赴任地ともなった太田一彦牧師が最初に赴任した際の牧師報告の一部を記します。信徒として励みにしているからです。「初めての任地に赴くに際して、私は神が人間に語り給うが故に聴き、神が語り給うことを聴くという、この一事によって教会は基礎づけられ、この一事のみが教会を教会たらしめるという一点を信念として携えてまいりました。」

九州ルーテル学院大学 九州ルーテル学院大学付属黒髪乳児保育園 雪野啓子(黒髪乳児保育園園長)

 2026年に創立100周年を迎える、学校法人九州ルーテル学院には保育園、認定こども園、中学、高校、大学があります。九州ルーテル学院大学付属黒髪乳児保育園は2016年に開園し、今年、8年目を迎えます。九州ルーテル学院大学付属として、学院のスクールモットーである「感恩奉仕」の精神のもと保育・教育を行っています。生後2カ月から3歳児までのお子様をお預かりし、定員40名という少人数のよさを生かし、子どもが愛に包まれた安心・安全な生活を送ることを大切にしながら、一人ひとりの心身の調和のとれた発達を目指し、神様に愛され、いつも見守ってくださることに感謝しながら、温かく丁寧な保育に努めています。
 保育園は熊本を流れる白川の近くに所在し、学院から少し離れたところにあります。園児は学院や教会へ出かけて、キリスト教行事を経験したり、学院の崔大凡チャプレンに保育園に来ていただき、お祈りの時間を守ったりしています。
 子どもの育ちのためには保護者支援は欠かせないものです。本園は九州ルーテル学院大学保育ソーシャルワーク研究所と連携して「保護者フリートーク(相談室)」を開催しています。保護者を支え、子育てを支えることは子どもの最善の利益を守ることにつながることを実感しています。職員が一つになって子ども・保護者それぞれが持つ豊かな力を伸ばしていけるよう支えていきたいと思います。
 キリスト教保育が始まり、浅い年月ですが、これからも神様のお導きのなかで保護者の方とともに子どもの健やかな育ちのために保育・教育に努め、歩んでいきたいと思います。
 皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

「これからのミッション」―第14 回るうてる法人会連合研修会・総会 開催

安井宣生(現地実行委員・日本福音ルーテル健軍教会・甲佐教会牧師)

 8月22日から23日まで熊本の九州学院に150名が集い、るうてる法人会連合の研修会と総会が開催されました。130年前の宣教開始以来、教会のみならず、1902年の佐賀幼稚園、1909年の路帖神学校(現在の九州学院そして神学校)、1919年の慈愛園(福祉事業)として教育や福祉の器と共に世に仕えキリストに従う歩みでした。2002年、それぞれに成長した各法人がより密接に協力し合うことを目的にるうてる法人会連合が発足し、互いに学び、祈り、それを力にして、仕える取り組みが続けられてきました。
 今回の研修では、国際政治学者であり、熊本県立劇場館長、学校法人 鎮西学院学院長も務めておられる姜尚中先生を講演者として迎えました。その豊かな内容を学校法人から参加された宮本新牧師(ルーテル学院・神学校准教授)に短く振り返っていただきました。
「これからのミッション」と題された姜尚中先生の講演では、「これから」を語るためには、まず「これまで」を振り返り考えなければならないと語られ、その振り返りは、こんにちの教育と福祉を取り巻く情勢から、歴史や文学、そして人間について、縦横無尽に広がる話題であり、要約容易ならざる内容でした。実際に生の講演を聞いて感じたいくつかのことがあります。まずテレビなどでお馴染みのとおり、あの低く抑制の効いた声音に引き込まれるような90分でした。目の前にある難題を考えながらも、参加者みなさんと心地よいひと時を共にできたのは希少な体験でした。もうひとつ印象に残ったことがあります。気宇壮大なスケール感のある講演でしたが、どの話題でも生身の人間が自然と思い浮かぶような話しぶりでした。甘い話はどこにもありませんが、あたたかな、やさしいまなざしが注がれているような感じです。ひるがえってそれは、分野は違っても生身の人に向き合い仕事に打ち込んでいる諸法人の参加者に向けられたエールのようにも感じられました。講演中、「におい」は決してメディアでは伝えられてないと話されていたのが一層、印象的です。それは人が共に集い、なにかを学びとろうとするこのひと時にも共通することだったのかもしれません。

2023年「障がい者週間」の集い

小澤周平(NCC「障害者」と教会問題委員会委員・日本福音ルーテル千葉教会牧師)

 各教会にご案内が郵送されますが、2023年11月4日に「障がい者週間」の集いが開催されます。「支え合う『いのち』」と題して、キリスト教系障がい者団体の活動報告などが分かち合われます。
 日本福音ルーテル教会においても多くの障がい者の方々との関わりの中で発足した働きが全国にあります。改めて私たちは立ち止まり、神様から与えられている命が障がいの有無にかかわらず等しく憐みと愛によって生かされていることを覚えていく機会としたいと考えています。
 どうぞこの働きを覚えて、ご参加下さい。対面とZOOMでの開催となっておりますから、全国からの参加をお待ちしています。詳細につきましては郵送されるご案内をご覧ください。

JELA インド・ワークキャンプ2024参加者募集!

一般財団法人JELAが、2019年以来5年ぶりに、インドでのワークキャンプを実施いたします!

【日程】 2024年2月12日から22日の11日間※国際情勢等により変更の可能性があります。
【派遣先】インド・マハラシュトラ州ジャムケッドの医療福祉施設「Comprehensive Rural Health Project(包括的農村保健プロジェクト、略称:CRHP)」
ここでは「農村地域の人々の健康」をテーマに、医療、子ども教育、有機農業指導、ソーシャルワーカの育成など、幅広い取り組みがされています。
【内容】義足作り/児童とのふれあい/毎日の学びの分かち合いなど
【対象】18歳以上の健康な方(原則高校生不可)
【定員】10名(先着順)
※締切後、参加の可否を11月中にご連絡します。
【参加費】22万円
※友だち割り:複数人でのお申し込みの場合、1人につき5千円割引いたします。
※パスポート取得費用、海外旅行保険費用、事前説明会参加のための交通費、集合・解散場所間の交通費や、前泊・後泊の宿泊費用については、別に個人負担となります。
【事前説明会】2023年12月2日(土)に事前説明会(オンライン参加可)を予定しています。参加者は必ず出席いただきたいので、併せてご予定ください。
【申込方法】JELA公式WEBページまたは掲載しているQRコードから。
【申込締切】2023年11月20日(必着)
【お問い合せ】JELAインド・ワークキャンプ係電話:03-3447-1521
E-mail: jela@jela.or.jp
キャンプの詳細は、公式WEBサイトやSNSをご覧ください!皆さまのお申し込みをお待ちしております!

北海道地域合同教師会

岡田薫(日本福音ルーテル帯広教会牧師・札幌教会協力牧師)

 今年の一日神学校は、9月23日(土・祝)にルーテル学院大学を会場に対面開催で行われます。
 JELC北海道地域教師会では長年に渡りNRK北海道地区の教職と共に合同教職者会を毎夏開催しています。いつどのようにして始まったのかということは不明ですが、1997年に札幌で宣教研修生としてお世話になった際もすでに開催されていましたので、おそらく北海道特別教区発足時あるいはそれ以前から続いているものと思われます。
 かつてはJELC8教会、NRK9教会に牧師あるいは宣教師が専従しており、参加者も十数名と賑やかでした。研修内容も時に応じて教団ごとの個別プログラムと合同プログラムの二本立てとし、2泊3日のプログラムを温泉施設等で開催していました。現在ではJELC4教会(6礼拝堂)、NRK8教会となり、教職数もJELC3名、NRK5名(内2名は70歳以上)となり、札幌中央ルーテル教会を会場に宿泊はビジネスホテル利用の1泊2日の合同プログラムとして開催しています。双方の教職の多くが施設と教会あるいは複数教会を兼任しているため日程調整が難しく、札幌に参集することが経済面でも移動の利便性においても合理的だからです。コンパクトにはなりましたが、リトリートも兼ねた交流を通して全道に散らされている同労者たちと励まし合えることはありがたいことです。
 それぞれの教会が抱えている課題には①働き人の減少、②教会の維持管理、③関係施設との連携や経済的な課題など、共通の悩みも少なくありません。教会組織の在りようには違いもありますが、顔と顔とをあわせて祈りと讃美を共にしつつ、忌憚ない意見を交わし合う中で、新たな発見や取り組みが生まれることもあります。2017年には合同教職者会が中心となって数年間の準備を経て、宗教改革500年合同修養会を参加者のべ130名ほどで開催することができました。また札幌を中心とした道央地区では、10月31日の宗教改革記念礼拝を担当持ち回りで継続的に開催しています。

合併公告

このたび、下記のとおり、東京都羽村市羽東二丁目16番11号宗教法人「日本福音ルーテル羽村教会」を吸収合併することになりましたので、宗教法人法第34条第1項の規定によって公告します。
2023年10月15日

信者その他利害関係人各位

所在地 東京都新宿区市谷砂土原町一丁目1番地
宗教法人「日本福音ルーテル教会」
代表役員 永吉秀人

合併契約の案の要旨
1 宗教法人「日本福音ルーテル教会」は宗教法人「日本福音ルーテル羽村教会」 を吸収合併し、 宗教法人「日本福音ルーテル羽村教会」は解散する。

合併公告

このたび、東京都羽村市羽東二丁目16番11号、宗教法人「日本福音ルーテル羽村教会」を吸収合併することになりました。これについて異議ある債権者は、2023年12月18日までに、その旨申し述べてください。
宗教法人法第34条第3項の規定によって公告します。
2023年10月15日

債権者各位

所在地 東京都新宿区市谷砂土原町一丁目1番地
宗教法人「日本福音ルーテル教会」
代表役員 永吉秀人

訂正とお詫び

機関紙るうてる2023年9月号、1面「巻頭説教」の執筆者である秋山仁牧師の所属に誤りがございました。正しくは「日本福音ルーテル豊中教会・神戸東教会牧師・喜望の家代表」です。訂正してお詫びいたします。校正作業における確認を徹底してまいります。大変申し訳ございませんでした。

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