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るうてる2023年

るうてる2023年06月号

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「召命と派遣」

日本福音ルーテル横浜教会・横須賀教会牧師 市原悠史

「はっきり言っておく。わたしの弟子だという理由で、この小さな者の一人に、冷たい水を一杯でも飲ませてくれる人は、必ずその報いを受ける。」(マタイによる福音書10・42)

 マタイ福音書10章には、12人の弟子が選ばれ派遣されることが書かれています。この12人はイエス様から「収穫のための働き手(同9・37)」として遣わされますが、その際の注意事項、心掛けなども同時に語られています。行き先、持ち物、そして弟子たちを襲うであろう迫害、危険など…これらは、強気な時に聞けば心の火に燃料を注ぐような言葉に聞こえますが、弱気になっているときに聞くと、恐ろしい言葉に聞こえてきます。自分にそんなことができるだろうか、耐えられるだろうかと怯んでしまいそうになるには十分な言葉です。イエス様の名前のゆえに、またイエス様の弟子であるがゆえに迫害され、労苦し、命を失う。そんなことを言われて、誰が喜んで従うでしょうか。これらの言葉は、従う理由というよりも、従いたくない理由ではないかとさえ思えます。ではイエス様は、ご自分に従う人を選別するために、あえて厳しい言葉を語られているのでしょうか。覚悟のできていない人間を切り捨てるために語っておられるのでしょうか。

 決してそうではないはずです。それらの厳しい言葉の合間には、いくつかの励ましも語られています。これらは弟子たちが実際に経験した危機的状況の中で、何度も支えとした言葉の数々だったのではないかと思うのです。それらの厳しさを伴う派遣の言葉の結びとして語られるのが、10章42節の言葉です。「わたしの弟子だという理由で、この小さな者の一人に、冷たい水を一杯でも飲ませてくれる人は、必ずその報いを受ける。」イエス様は弟子たちを傷つけたくて召し出し、遣わすのではないのです。イエス様の弟子であることで苦しむことがあっても、それが目的なのではありません。イエス様は、一人ひとりをご自分の弟子とすることで、「小さな者の一人に一杯の水を飲ませる」理由を与えておられるのです。

 イエス様が教えられた隣人愛とは「隣人を愛すること」ではなく「隣人となること」です。派遣の言葉の一部である10章6節には「むしろ、イスラエルの家の失われた羊のところへ行きなさい。」とあります。「イスラエルの人々」と言われると、同胞、仲間に対してのみという意味に聞こえますが、9章の終わりに「飼い主のいない羊のような人々」とあるように、そこには「失われた羊」がいたのです。群れからはぐれた、あるいは外されてしまった人々がいたのです。多くの人からすればその人々は「自分とは無関係の人」「愛する理由のない人」です。イエス様は弟子を召し出し、ご自分の言葉によって遣わすことで、そのような人々と弟子とされた人々との間に「一杯の冷たい水」を飲ませる関係をつくられるのです。

 私たちがキリストの弟子とされている、キリストに従う者であるということは、私たちには人を愛する理由、根拠が与えられているということです。助けの手を伸ばすことによって、自分が傷つくことももちろんあるでしょう。周囲からの批判または非難を受けることもあるでしょう。イエス様が予告されているように、狼の群れに羊を送り込むように私たちも遣わされます。ですが私たちを苦しめることがイエス様の目的なのではありません。危険があるとわかっている道に、イエス様は私 たちを送り出すのです。それは神様がこの世にイエス様を遣わされた思いに通じるものがあるように思います。そこには神様ご自身が苦しむような、深い憐れみがあったのです。それと同じ思いで、イエス様は私たちを遣わされます。私たちに愛する理由を与えることがイエス様の目的だからです。愛することには痛みも苦しみも伴います。十字架にはそのことが現れています。ですがその先に確かな報いがあることを、私たちは約束されているのです。その報いの中には、弟子とされたことの喜びがあるはずです。このイエス様の言葉に信頼し、私たちもそれぞれの場所へと派遣されてまいりましょう。そこで出会う人々を愛する理由、愛し合う関係が、イエス様によって既に私たちには与えられているのです。

エッセイ「命のことば」 伊藤早奈

㊴「幸せ」

「忍耐した人たちは幸せだと、わたしたちは思います。あなたがたは、ヨブの忍耐について聞き、主が最後にどのようにしてくださったかを知っています。主は慈しみ深く、憐れみに満ちた方だからです。」(ヤコブの手紙5・11)

「迷うということは選べるということであなたは幸せですよ。」
その人とこの世で交わした最後の言葉でした。
私は自分が今までできていたやり方ができなくなるかもしれないと思い不安で、不安でたまらなくて、きっと色々な経験をしてきて、車椅子に乗っているこの人ならわかって頂けると思い相談した時に返ってきた言葉でした。
えっ私が幸せ?としばらく思い返してはわかるような、わからないような言葉でした。
ほとんどのことが選べなくなった今、あの方が私に言って下さった言葉の意味が少しわかるような気がします。
将来なるかもしれないと不安になって「今」を少し残念に過ごすより「今」これができるという幸せに気づいてほしい。
「今」を生きるって当たり前のようだけど先のことを考えて不安になって「今」うずくまって前に進めなくなったり、前に失敗してしまったことをくよくよ考えて「今」を過ごしてしまったり。。。
「今」のために反省や想像や希望は必要かもしれません。でもね、あなたは神様に「今」を与えられて生かされています。

総会議長所信

日本福音ルーテル教会 総会議長 永吉秀人

 このたび、日本福音ルーテル教会第29回・第30回定期総会におきまして次期総会議長として選出されました永吉秀人でございます。出自は福岡県久留米市。日本福音ルーテル久留米教会にて渡辺潔牧師より受洗、後に天王寺教会より神学校へ献身。1985年の按手後、藤枝教会、神学校チャプレン、静岡教会、天王寺教会を経て、現在は蒲田教会で牧会をしております。
 伝道が厳しい時代と言われて久しくなりますが、伝道に楽な時代などなかったことでしょう。にもかかわらず、だからこそ、私たちは信仰に生きる道を選び、キリストの福音に希望をいだいているのです。マルティン・ルターによる宗教改革という教会の悔い改めから始まったルーテル教会は、それぞれの時代にあって、また時代を越えて多岐にわたる働きを全力で担って来たであろうと信頼します。伝道のみならず、教育、福祉、医療などの多方面にわたって実現可能な限りを尽くして取り組んで来たと宣教の歴史を評価するならば、あとに残された務めは悔い改めだけであろうとさえ思えます。しかしながら、前を向いて走り続けて来たがゆえに、多くの事柄を通り過ぎて来てしまったのではないかと省みます。キリストが弟子たちの前に立ち止まって彼らと出会われたように、また私たちの前に立ち止まってくださったから私たちも信仰と出会えたように、私たち教会としての歩みも隣人の前に立ち止まらなければ、誰の隣人にもなれないことをわきまえます。
 日本福音ルーテル教会では2000年代を迎え、第五次綜合方策(パワーミッション21)により幅の広い働きが展開され、第六次綜合方策では教会の働きの一つひとつが深められてまいりました。この度採択されました第七次綜合方策では、「魂の配慮」をキーワードとして、牧師の働きである牧会の回復と教会での分かち合いの活性化を目指します。この「魂の配慮」という用語には説明が必要でありましょう。と言いますのは、キリスト教だけで用いられる言葉ではなく、キリスト教以前にギリシャの哲学者・ソクラテスによって紀元前400年に提唱された言葉でありました。ソクラテスは堕落した己の魂を内側から高みへと昇華させよと勧めましたが、これに対し、聖書信仰においては旧約の時代からギリシャ的な考えに対抗し、神よりくだる外側からの配慮があることを強調してまいりました。第七次綜合方策では牧師の職務である牧会の内実と機能を「魂の配慮」と呼んでおります。日本福音ルーテル教会の宣教体制は、200名もの牧師・宣教師時代の構造のままに今を迎え、これを70余名の教職で担っており、牧師の兼務は多忙を極め、牧会の危機と言わざるを得ません。一人の魂も失われることなく配慮されるために、教会のリ・フォーメイション(再形成)と共に牧会力の成長が求められます。
 方策では新たな活動として、脱原発への学びはもとより、カンボジアでの宣教支援、ハラスメント防止への学びを行うこと。またNCC(日本キリスト教協議会)諸活動との連帯をはじめ、外キ協(外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会)、マイノリティー宣教センター、キリスト教カルト問題連絡会、アクト・ジャパン・フォーラム(人道支援)との連携を深めることが挙げられます。注意すべきは、これらの諸問題を話題の一つとして通り一遍で過ぎてしまわず、立ち止まる勇気と、立ち続ける忍耐と、希望を分かち合うことでありましょう。
 今だからこそ誰もが希望を必要としている時に、あなた自身が神にとっての希望であることを聴き取り、神の喜びとして生かされる共同体とされましょう。

「教会讃美歌 増補」 解説

㊱増補23番「主なる神に感謝の歌」

日笠山吉之(九州学院チャプレン)

 ルターによるコラール集もとうとう最後の曲となりました。作詞、作曲ともルターの名前が記されていますが、かっこで括られた部分が重要です。ドイツ語による歌詞の初行の下には(テ デウム ラウダムス)とあります。これは昔からローマ・カトリック教会で歌い継がれてきたグレゴリオ聖歌の一つ『テ・デウム』を指しています。意味は「神よ、あなたをほめたたえます」。元々はラテン語で書かれた長いテキストですが、要するに父と子と聖霊なる三位一体の神をほめたたえた賛歌です。ルターは神学的な相違からまた彼自身の信仰と良心に従って当時のカトリック教会と袂を分かちましたが、それまで教会で大切に歌い継がれてきた賛美歌まで捨て去ることはありませんでした。
 『テ・デウム』も然り。歌詞をドイツ語に翻訳し、グレゴリオ聖歌の旋律を元にルーテル教会でも引き続き歌えるようしたのです。とはいえ、実際にこれを私たちが礼拝の中でいきなり歌うのはかなり難しい…訓練された聖歌隊でも手こずるのでは?でも挑戦してみる価値はあると思いますよ。

世界の教会の声

浅野直樹Sr.(世界宣教主事 市ヶ谷教会・スオミ教会牧師)

台湾ルーテル教会初の女性総会議長誕生

 台湾ルーテル教会(中華民国)(LCT)のセルマ・チェン(Shu-Chen)師は、今年1月に台湾のルーテル教会初の女性総会議長として就任しました。
 「クリスチャンの家庭に育ってラッキーでした」と語るチェン師の父親は、1960年代初頭に陸軍病院で長老派の宣教師から洗礼を受けています。中国人に対して忍耐強く、そして愛情深く接する宣教師の働きがきっかけとなりました。父の影響で教会に通い始め教会学校の教師もしていたチェン師は、当初牧師になるつもりはありませんでした。「反共教育を受けて育ったので、軍隊に入りたかったのです」。「そんな中、私のために4年間祈り続けてくれた人がいたり、『人間の心は自分の道を計画する。主が一歩一歩を備えてくださる』(箴言16・9)のみことばを別の人から示されたとき、自分ではわかっているのにそこから逃げようとしている自分に気づいたのです」。
 神学校を終えた1992年は、ちょうどLCTが女性按手について検討していた年でした。長い議論の末、12年後の2004年、3人の女性が初めて按手を受け牧師となりましたが、「いつか女性の総会議長が出るとは思ってましたが、諸教会が女性リーダーを受け入れるまでに時間を要しました」。台湾にはLWF非加盟の3教会を含め6つのルーテル教会がありますが、他は女性按手を認めていないため緊密な協力関係が互いにあるわけではありません。
 「LCTは農村部、首都台北周辺、本島南部の都市部に会堂が全部で19ありますが、多くの信徒は、伝統的な太陰暦や農耕歴に慣れていて道教とも結びついています。ですからキリストの生涯に沿って生活できるように教会の典礼暦の普及に努めています。」「キリスト者としての生き方を示し、イエスの死と復活を宣べ伝えることをLCTは心がけています。受洗を経て新たな人生が始まった人たちは、そこから現代社会の課題と向き合えるようになります。」
 そうした課題の中には他のキリスト教会との対話や、台湾の大多数を占める仏教徒との関係改善なども含まれています。チェン氏が宗教間対話に興味を持ったのは、2003年から2010年までLWF理事に選ばれ、エキュメニカル委員会に加わったからです。「異なる信仰を持つ人々との対話が、教会にとっていかに豊かな経験かを実感し、私の仕事にも大きな影響を与えました。」大学でキリスト教と出会った青年が、旧正月など伝統的行事や家族の葬儀に出席しないよう教会から言われたりして、入信がとても難しいという現状があります。「このため多くの緊張があります。家族間で分裂が起きないように福音を伝えるにはどうすればよいかなど、すべきことはたくさんあります。」
 「LWFのニュースをLCTの教会に広めようと努めています。それによって信徒の目がグローバルになるからです。私たちは台湾でとても小さな教会です。しかし私はこれをパズルのように考えていて、小さなピースだからこそ共有し合えるのです。共有しあってLWFの行事に参加し、台湾が失われたパズルのピースにならないよう働きかけていきたいです。」

※詳細についてはWEBサイトをご参考ください。

リレーコラム 「全国の教会・施設から」①函館教会

中島和喜 (恵み野教会・函館教会)

 函館教会は、フィンランドの教会の宣教への熱意によって1950年に誕生した教会です。今年で73年の歴史を刻みますが、この4月に4年間ご奉仕下さった小泉基牧師から中島への交代が行われました。これにともなって、教会の歴史ではじめて常態的な兼牧体勢がスタートしました。土曜日の夜に約300キロメートル離れた恵み野教会から私が函館教会に行くことにより、毎週日曜日の朝の礼拝を継続しています。これでも恵み野教会が最も近い教会だというのですから、改めて北海道の広さを感じるところでもあります。
 函館教会の特徴は、ルーテル教会には珍しく、ゴスペルと深いかかわりがある教会だということです。15年ほど前からこの教会をホームグラウンドとするようになったゴスペルクワイアMSCは、道南で最も活発なクワイアで、メンバーからの受洗者と教会員の入団によって、教会員のメンバー割合が高い人気クワイアへと成長しました。このMSCとの関係もあってか比較的若い教会員が多く、平均年齢50歳代というのは、おそらく全国のルーテル教会の中でも最も若い教会のひとつだと思います。
 また、新しい函館教会の特徴は、この春、長い歴史を刻んできた野の花の会という女性会が、ペトロの会という男性の会と合流して、性別に関係なく聖書を学び、奉仕を担う、新生野の花の会へと生まれかわったことです。第3日曜日の例会に集まる人が誰でも共に聖書を学び、会費も負担し、教会の奉仕の相談もします。可能ならば女性会連盟との関係も継続したいと願っています。
 函館観光の中心地である五稜郭タワーのすぐ隣に立地する教会であること、津軽海峡を見下ろす函館山に美しい教会墓地を有すること、教会の園庭は桜の老木やバラのアーチ、数種のユリやアジサイなどに彩られ、実に200種類もの花が咲き乱れることなど、魅力あふれた函館教会。函館観光の日曜日は、ぜひ教会をお訪ね下さい。

①九州学院

小副川幸孝 (九州学院院長)

 熊本にあります九州学院は、1911年に、アメリカからの宣教師C.L.ブラウン博士と米国南部一致ルーテル教会の人々の祈りと献金によって、日本の青少年教育のために設立されました。
 2023年で創立112周年を迎え、これまでに多くの著名人を輩出し、熊本では文武共に優れた有数の学校として知られています。
現在、幼稚園、中学校、高等学校を併設し、約1500人の子ども、生徒がはつらつとして学んでいます。
 設立当初にはルーテル教会の神学校も併設されていましたので、現在のルーテル神学校の母体ともなり、多くの牧師も九州学院の出身者でしたし、現在も、牧師の子弟が中学・高等学校で学んでいます。
 学校は、毎朝の礼拝から始まり、聖書の授業が行われ、豊かな人間性を育むための努力が日々なされています。
 写真は学院のシンボルともなっているブラウンチャペルで、指定文化財として熊本県で第1号認定を受けたもので、2025年に建造100年を迎えます。

「ルーテルこどもキャンプ」開催のお知らせ

TNG子ども部門 池谷考史 (博多教会・福岡西教会)

TNG子ども部門では、8月9日(水)~11日(金・祝)、広島教会を会場に「第24回ルーテルこどもキャンプ」を開催します。対面でのキャンプは4年ぶりとなります。テーマはこれまでと同じ、「来んさい 広島 Peace じゃけん」としました。
8月の広島で、同世代の楽しい交わりの中で平和について学び、平和をつくることへの思いを深めたいと思います。新しい友達がたくさんできる機会にもなることでしょう。
 ぜひ、各所で呼びかけて下さり、子ども達を送り出してください。1面に掲載されているポスターもご覧ください。参加申し込みは、左記のQRコードからお願いします。締め切りは7月2日(日)までとさせていただきます。対象:小学5、6年生。参加費:15,000円。合わせてキャンプを支えて下さるスタッフも募っています。同じQRコードからお申し込みください。

日本福音ルーテル教会 第29回・第30回 定期総会報告

滝田浩之(第28回総会期事務局長・小石川教会)

5月3日(水)~5日(金)に5年ぶりに対面で日本福音ルーテル教会定期総会が宣教百年記念東京会堂(東京教会)で開催されました。
 総勢200名ほどが参集し対面での総会の開催を喜び合いました。
 開会礼拝は感染症のことも考慮し聖餐式は行われませんでしたが、松本義宣牧師の司式、大柴譲治牧師の説教で改訂式文を用いて行われました。

 審議された内容は以下の通りです。

(1)第31回定期総会の件
 次の総会は2年後の2025年5月5日(月)~6日(火)、あるいは5月6日(火)~7日(水)に1泊2日で開催されることが承認されました。
 この承認に基づき、第28回総会期の執行部は任期満了となることが確認されました。

(2) 総会選出常議員選挙の件
 任期満了に伴う、議長以下の総会選出常置員が選挙により選出されました。総会議長は永吉秀人牧師(蒲田教会)、副議長は滝田浩之牧師(小石川教会)、事務局長は李明生牧師(むさしの教会)、会計には市吉伸行氏(むさしの教会)が再任、財務担当常議員は荒井奈緒子氏(東京教会)、総会選出信徒常議員は益田哲夫氏(本郷教会)が選出されました。なお事務局長については議場において牧師数の減少や財務的な課題を踏まえて現場との兼任とすることを含めて信認を受けました。任期は2023年6月1日(木)より2025年5月末までとなります。閉会礼拝にて教区長、教区選出常議員とあわせて就任式が行われました。

(3) 第7次綜合宣教方策の件
 すでに2022年4月の常議員会において仮承認を受けていた「第7次綜合宣教方策」が提案され承認されました。2030年までの8年間、日本福音ルーテル教会の指針として用いられていくことになります。具体的には方策実行委員会において各教区と対話をしつつ進められていくことになります。急速な牧師数の減少が肌で感じられる中で、危機意識はもちろんですが、福音に生かされて「小さな教会」ではありますが「キリストの教会」としての使命を果たしていくことが確認されています。

(4) アジア宣教の件
 カンボジアへの宣教に一歩を踏みだしていくことが確認されました。アメリカ福音ルーテル教会との協同の宣教の歩みとなることが示されました。具体的には半年、1年のターンでユース世代を現地にボランティアとして派遣してカンボジアルーテル教会の宣教に協力します。すでにカンボジアにおられるキリストに出会うことを通して、日本での宣教への力となることが期待されています。

(5) ハラスメント防止委員会の規則明文化の件
 すでに「ハラスメント防止規定」が常議員会にて承認され、常議員会の設置する「その他の委員会」として活動を開始している「ハラスメント防止委員会」を日本福音ルーテル教会規則に明文化する提案が行われ、これが3分の2の賛成を得て承認されました。承認手続きの後、日本同盟基督教団の大杉至牧師より、ハラスメントについてご講演を頂き、学びを深める時を持ちました。教会が安全で、安心な場所として誰もが喜んで集うことができるように更に多くの気づきを与えられていきたいと思います。

(6) 決算・予算の件
 すでに常議員会で仮承認を受けていた決算、予算について、総会にて報告され承認を受けました。コロナという未曽有の出来事の中で、総会が開催できないという環境にありましたが、この承認をもって、総会を最高の意思決定機関としての役割が正常化されたことになります。

 詳しくは、後日配布される総会議事録をご確認くださいますようにお願い申し上げます。

全国教師会総会報告

立山忠浩(前全国教師会会長・都南教会)

 全国教師会総会が全国総会の前日の5月2日(火)に開催されました。全国総会と同様に5年振りの開催となりました。教師会は按手に与った現任教師(宣教師も含まれます)が正議員になります。現在71名で構成されています。議案は5年間の活動報告の承認、相互扶助会改定案、そして新役員及び教師試験委員候補者を選出することでした。
 教師会は1988年に組織され、それに伴い教師会規定が定められました。そこには教師会の基本的責務が7つ期されています。教師会に期待されていることです。特に目を引くのが「教会の教理、神学に関する共通の理解に係る事項」「教師の生涯研修に係る事項」「宣教に係わる事項」です。ただ、規定が定められてから35年が経った今、それをいかに遂行することができるのか、難題となっています。昔話をしても仕方がないのですが、思い起こせば、「小児陪餐開始の適齢期」について大いに議論したのが全国の牧師たちが集う退修会でした。私が神学生の時のことです。「信徒説教者」についてはわざわざ臨時の教師会の退修会を富士山の麓で開催し、徹底的に議論したことを記憶しています。
なぜこのような議論が行えたのか、様々な分析があることでしょう。私はこう考えるのです。1988年には教師会に170人が属していたのです。その人数で担っていた教会と諸施設などの働きを、今は70名ほどで担っているのです。一人の牧師に期待される働きが明らかに増大しているのです。インターネットによる礼拝や聖餐式をどう考えるのか、教師会の責務である「教会の教理、神学に関する共通の理解に係る事項」に関わる問題です。これは教師会という集団で協議すべき責務ですが、しかしそのような神学的課題に取り組む余裕が今の牧師集団にはないように思えるのです。もちろん個人での研鑽を積み上げている教師が幾人もいらっしゃるのですが、それが教師集団のものとなり得ていないのです。
 このような現況の中で、教師集団が取り組める具体的なことを会長報告で提示しました。「教師の生涯研修に係る事項」に関しては個人の研鑽意欲に委ねることが基本ですが、ルーテル学院・神学校で定期的に開催される教職セミナーやルター・セミナーに積極的に参加して欲しいのです。教会からも財政支援をいただいています。そこで研修意欲を高めていただくことを期待します。退修会は3年~4年ごとの開催が慣例でしたが、牧師数が減少し各牧師が孤独感を高める傾向が否めない中では、毎年の開催とし、研修もさることながら、同労者の働きの成果と苦悩を分かち合い、励まし合うことを目的とした会の重要性を指摘しました。これらは新役員に託すことになります。その他、COVID-19で休止状態にあった牧師レヴューは各地域教師会ごとに再開されることになります。
 教師会の役員には以下の方々が選出されました。
会長:松本義宣牧師
書記:安井宣生牧師
会計:西川晶子牧師
相互扶助会会計:坂本千歳牧師
 閉会礼拝は今年度で定年をお迎えになる竹田孝一牧師に担当していただきました。礼拝の終わりに新役員と地域教師会会長5名の就任式を執り行っていただき閉会しました。

公 告

 この度左記の行為を致しますので、宗教法人法第二三条の規定に基づき公告致します。

2023年6月15日
宗教法人 日本福音ルーテル教会 代表役員 永吉秀人

信徒利害関係人 各位

本教会所管の市ヶ谷会館耐震補強工事費用借入(最終支払資金)
借入先 三井住友銀行
借入額 4億8,000万円
返済期間 10年
支払利率 年利1.11%(予定)
担保 追加担保なし
2022年6月15日に借入全体の公告は実施済
銀行借入に関して取引銀行、条件が整い、これを公告するものである。

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