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るうてる2021年

るうてる2021年8月号

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「あなたのそばにある平和」

日本福音ルーテル下関教会・厚狭教会・宇部教会牧師 中島共生

「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい。
これがわたしの掟である」(ヨハネによる福音書15章12節)

 昨今の世界的なCOVID-19感染拡大にあって、病院や施設を訪問する機会が減ってしまいました。ご家族さえ面会が厳しく制限されている状況に在って、『お元気ですか』と訪ねてゆくことのままならない日常は、やはり平時とは異なると感ぜずにはいられません。施設によっては、市内の感染状況と照らし合わせながら面会制限の緩和がありますから、制限が緩和されたと報せを受けたならば訪ねてゆきます。

 ある施設に入るAさんを訪問した時のことです。その施設では、施設内に立ち入っての面会は許されておりませんでした。ですが、入り口の自動ドア越しにお顔を見ることができます。そして私の携帯電話と施設の電話とを繋ぎ、ガラス1枚を隔てではありますが近くに居ながらお話しすることができるよう配慮してくださいます。何度か訪問するうち、その方式にお互い慣れてきた頃のことです。面会の最後にはお祈りをするのですが、施設の職員さんが少しだけ、10センチほど自動ドアを開けてくださいました。そして私の手を消毒するよう促し、『どうぞ、Aさんの手を握ってあげてください』と言われたのです。

 驚きと同時に、喜びがこみ上げてきました。その職員さんは、いつも面会を隣で見ている中で、お祈りは特別なものだと感じられたそうです。そして、きっと手を握ったほうが良いと感じたと言うのです。
 私たちは教会で、それぞれの生活の中で、祈ります。祈りがどれほどの力を持っているか、疑うことはなくとも、どれほどその力を確信しているでしょうか。しかし、祈り合う姿を見て、確かにそこには力があるのだと感じられた隣人がいたのです。

 訪問の度に「教会の皆さんは元気ですか?」「教会は礼拝できていますか?」と繰り返し心配されるAさんの姿を見て、Aさんが本当に大切にしているもの、委ねているものが何であるかがはっきりと伝わっていたのです。

 「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい。」この言葉は、イエスさまの告別説教と呼ばれる箇所の真ん中に記されています。弟子たちに託した、最後の教えの中心です。互いに、ですから、他者・隣人を愛することを教えています。そして隣人とは、自分の思い描く好き勝手な誰かのことではありません。イエスさまに敵意を向け十字架につけて殺した彼らを、それでもなお彼らをお赦しくださいと父なる神さまに祈るような、壁という壁を超えた先にいるような、そういう隣人です。

 憎しみに対して憎しみをもって対峙するのではなく、愛をもって向き合ってゆく姿勢は、弟子たちを通して、そして2000年の時を超えて今の私たちに語られるイエスさまの大切な教えです。それこそが平和への道であるのです。

 2000年、イエスさまが大切な教えを残されてから長い時が流れました。それでも、この世界は平和であるとは言えません。6月にはミャンマーにおいて教会を標的とした砲撃が何度もありました。平和は、どれだけ手を延ばしても届かないようなところにあるとさえ思います。

 しかしイエスさまは、隣人を愛することを私たちに最も大切な掟として、一番近くに、いつでも振り返り、立ち帰ることのできる場所に置かれました。何故なら、平和は私たちのすぐそばにあるからです。

 私たちが隣人へと愛を持って接するとき、そこには確かにキリストの平和があります。とても小さいことかも知れません。

 しかし、この小さな平和を信じられずに、どうして大きな平和を信じることができるでしょうか。イエスさまが示された、私たちにも祈り求めてゆくことのできる平和。隣人へと愛をもって接することによって、この世界に現わされてゆく平和。それは扉をたった10センチ開けることしかできないものかも知れません。

 しかし、この10センチが、確かにこの世界にキリストの平和があることを教えてくれているのだと思えてならないのです。

エッセイ「命のことば」 伊藤早奈

⑰「目に見えなくて触れられないもの」

「神はわたしたちの避けどころ、わたしたちの砦。/苦難のとき、必ずそこにいまして助けてくださる。」(詩編46・2)

 「シャーッ」いきなり目の前のカーテンが閉められました。6人部屋に入院していた私は面食らいました。慌てた様子で白衣の先生が「検査で陽性が出たんだよね」と私に言い、そして「部屋を個室に移ってもらわないとならないんだ」と何人かの看護師さんたちが私の荷物をガタガタとまとめ始めます。しかも普段どんなに私が不便そうにしていても一度も手伝ってくれなかった看護師さんまで手伝って下さって。「あら、ありがとう」と思いながらあれよあれよとあっという間に部屋を移動しました。

 部屋を移ってからは、「触れるなキケン」扱いです。なるべく部屋から出ないように言われ、部屋に入ってくる看護師さんはビニールのエプロンをかけ私の部屋を出たらエプロンを捨てていました。違う病棟に入院していた友人も私と親しく接触していたと言う理由で個室に移ったそうです。他の人にうつらないように?看護師さんのため?私が悪いの?

 これは10年前、インフルエンザの時の体験です。時々目に見えなくて触れられないものは恐怖や不安を私たちに抱かせます。私たちはあたかも見えて触れられるものだけしか安全ではないと思う時があります。でも目に見えて触れられるものも見えなくて触れられないものも全ては神様に守られています。決して恐れることはありません。

議長室から 大柴譲治

韓国・巡礼の旅

「そのとき、イエスは言われた。『父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです。』」(ルカ23・34)

 1991年8月6日(火)〜13日(火)の「韓国・巡礼の旅」(西教区・平和と核兵器廃絶を求める委員会=PND主催)からちょうど30年。暑い夏、忘れられない夏でした。「過去に目を閉ざす者は、現在に対しても目を閉ざす」(ヴァイツゼッカー『荒れ野の40年』)。過去の過ちを繰り返さないためにも私たちは過去を心に刻み、それを想起し続けることが必要です。旅の目的は韓国ルーテル教会(KLC)池元祥(ジ ウォンサン)議長に宛てた内海望議長の書簡に記されていました。「私たちJELCの宣教百年を前にして、過去の検証と罪責告白とを目的としたメタノイアの旅です。そしてそれは過去への旅でもあると同時に、新しい未来に向かっての旅でもあります」。私たちを受け容れてくださったKLCをはじめ韓国の関係者の方々に心より感謝します。

 武村協牧師(PND委員長)が団長で私が全体の世話役、私の妻・韓国出身の金賢珠(キム ヒョンジュ)が通訳。参加者は西教区から水野登美子氏や高田敏尚氏、仙台から杉山昭男牧師と伊藤節彦氏(後に参加者同志でご結婚。後に牧師となられました)、熊本から斉藤忠碩牧師、三鷹の神学校から永吉秀人チャプレン、白川道生、三浦知夫、白井真樹(NRK)など神学生ら総勢27名(3歳と1歳の我が子2人を含む)。8月6日、当時広島平和公園の「外」にあった韓国人原爆犠牲者慰霊碑の前で祈りを捧げて旅は始まりました。関釜フェリーで釜山に渡り、慶州(ナザレ園訪問)、ソウルと進みます。ソウルでは9日に三・一万歳運動が始まったパゴダ公園、景福宮を遮るように建てられていた旧朝鮮総督府の建物(当時はソウル国立中央博物館。1995年に解体撤去)、10日に天安の独立記念館と堤岩里教会を訪問。記念館では「天皇の軍隊」による拷問場面が蝋人形で再現されていて、ちょうど見学に訪れていた小学生たちと共に見ることになった心痛は忘れられません。堤岩里の生き証人の田同禮(チョン ドンネ)ハルモニにはお会いできませんでしたが、ハルモニは72年間毎日欠かさず事件のあった午後2時に日本のために「彼らをお赦しください。何をしているか分からずにいるのです」と十字架の祈りを捧げてこられた方です。そこで発せられた在日コリアン参加者の「私はどうしても日本人を赦せない」という悲痛な声と重なります。主の十字架による和解と平和を祈らずにはおれません。

 11日(日)早朝、南山にある義士・安重根(アン ジュングン)記念館を訪ね、そこから中央ルーテル教会まで歩いて主日聖餐礼拝を守りました。礼拝では私が英語で説教し、金海喆(キム ヘチョル)中央教会牧師が通訳でした。説教後に金先生が「配餐はどうぞ日本語でしてください」という言葉と差し出された手の温もりが忘れられません。私にとって一つの和解の体験でした。そして教会員との昼食交流会。午後3時にはそこで韓国原爆被害者協会会長の辛泳洙(シン ヨンズ)氏から被爆証言を伺いました。いずれの場所でも私たちは、自らが日本人であることを深く恥じいたたまれない思いになりました。しかしこれが私自身の原点となっています。アジア諸国と向かい合う時、過去の罪責を踏まえながら主の憐れみのうちに未来の和解に向かって共に歩みたいと願っています。
(韓国・巡礼の旅の報告書はルーテル学院大学図書館に収蔵)

「教会讃美歌 増補」 解説

⑭ルターのコラール
讃美歌委員会 日笠山吉之(札幌教会牧師)

 「讃美歌委員からの声」が一巡りしましたので、いよいよ「増補(分冊1)」に収められる曲目の解説に入っていきたいと思います。まずは、最初の方に収録されるルターのコラール群の全体像についてお話ししましょう。

 今回収められる全54曲のうち、23曲はルターのコラールが占めています。コラールとは、賛美歌のこと。賛美歌は言うまでもなくまず歌詞があってこその賛美歌ですから、ルターのコラールと言った場合もルター自身が歌詞を書いた賛美歌を指します。現行の「教会讃美歌」には、ルターが歌詞を書いたコラールが17曲収められていますが、それはルターが生涯に書いたと言われるコラールの半分にも満たないものでした。それで、今回はルターが作ったと言われるコラールはすべて収録しよう!という編集方針のもと、試行錯誤しつつ成し遂げました。ルターが書いたオリジナルのドイツ語の歌詞を、単に日本語に訳し直すだけでなく、賛美歌として歌えるようにする作業は本当に大変だったのです。これだけでも、ルーテル教会はもとより日本の賛美歌界にも一つの貢献が出来たのではないかと思います。

 ルターは神学者であるだけでなく、リュートをたしなむ音楽愛好家でもありましたので、作曲も出来ました。従って、ルターのコラールの中には彼自身が作詞・作曲をしたものも幾つかあります。「教会讃美歌」の中に収められた23番「天よりくだりて」や、450番「ちからなる神は」等は皆さんもよくご存知でしょう。今回の「増補(分冊1)」の中にも、ルター自身が作曲も手がけたコラールがかなり含まれています。あるいは、ルターが当時のカトリック教会で歌われていた聖歌や世俗の流行歌を編曲して歌えるようにしたものもあります。ルターといえば、当時のカトリック教会と喧嘩別れして追い出された人?というような印象があるかもしれませんが、カトリックの良いところはちゃんと認めて吸収したのです。それだけでなく、世俗的な歌まで取り入れて賛美歌に仕立ててしまうのですから、なかなか懐が深い人ですよね。それでは、次回から1曲ずつルターのコラールを取り上げていきましょう。

世界の教会の声

浅野 直樹Sr.(世界宣教主事 市ヶ谷・スオミ教会牧師)

スウェーデンのインターネット牧師①

ルーテル世界連盟(LWF)がスウェーデンのシャルロッテ・フルックルンド牧師にインタビューした記事(2021年3月19日)を何回かに分けて紹介します。

(元の記事のURL)
https://www.lutheranworld.org/news/sweden-internet-pastor-engages-faith-seekers-online

 シャルロッテ・フルックルンド(Charlotte Frycklund)牧師は、スウェーデン教会(Church of Sweden)のソーシャルメディア上で牧会する「インターネット・プリースト(司祭)」として、コミュニケーション部門のスタッフと夜昼問わずネットで人々を教会へつなぐ働きをしています。信仰、教会、神学など、簡単な質問から込み入ったものに至るまで答えながら祈り、COVID–19という未曾有の時代と向き合っています。

 フルックルンド牧師は、ウェブの場を自身の牧会地とするスウェーデン教会最初の牧師です。彼女はCOVID–19で多くの教会がオンラインを使い始める数年前から、すでにこの働きに着手しています。

インターネット・プリーストとして活動を始めたのはいつからですか。
 2016年です。スウェーデン教会が、ソーシャルメディアを利用して人々とのつながりを深めようとキャンペーンをやり始めたのが出発点です。話を進めていくうちに、信仰や教会の伝統に関する質問にオンラインで答えてみてはどうか、というアイデアが浮かびました。礼拝で祭服を着るのはなぜかとか、善と悪の問題のような牧会的な質問もあります。ソーシャルメディアは、答えを求める求道者と牧師が深く対話できる格好の場です。そういうやりとりなら、日曜日の朝の時間帯よりずっと多いですよ。(以下、次号につづく)

パンデミックの中の教会
北海道特別教区の取り組みから

中島和喜 (恵み野教会牧師 札幌教会協力牧師)

 昨年のクリスマス礼拝後、次第に教会でもオンライン化の機運が高まっていく中で、教会員が一言「これだけオンライン化が進んでいるんなら、聖研もオンラインで出来るんじゃないですか?」とおっしゃられました。なるほどと思い、教区の牧師会が開かれた際に「そういえばオンラインで聖研なんてのも面白いんじゃないですか?」と何気なく投げかけたところ、あれよあれよと話は進み、今年の4月から毎週水曜日の夜と木曜日の朝に「教区主催合同オンライン聖書研究会」がZoomを用いて開かれることとなりました。即座に決まっていったのには、皆で共にみ言葉を聞く時を渇望する気持ちが表れていたのだと思います。

 北海道には4名の牧師がいますので、春夏秋冬の4学期制にし、それぞれがテーマを定めて7回ずつ担当、年間で計28回の聖研をオンラインで開くこと となりました。初めはどれだけ人が来るのか予測もつかず、「夜の部は3名以下の場合は開講いたしません。」そんな保険をかけていましたが、蓋を開けてみると夜20名、朝20名、計40名が集まる大変賑やかな聖研となりました。

 参加される方々はオンラインに慣れている方ばかりではありません。むしろZoomを初めて使うという方が多く、初めはサポートも必要でしたが段々と慣れていき、今となっては初めのころに接続がうまく繋がらず牧師が電話越しでサポートしつつ数十分格闘して何とか出来るようになった方が、今度は誰かに設定方法を教えて聖研に参加できるようにするなんて事も起こり、人から人へ主の御業が広がっていく伝道の豊かさが表されていきました。

 年齢層もバラバラ、地域も同じ北海道とは言え端から端まで400キロ以上。中にはドイツから参加される方もおられ、まさにオンラインだからこそ実現した聖研となり、同時にそこには新しい群れが生まれました。「コロナが納まったらこの人たちと実際に集まりたい!」そんな思いが強められ、北海道特別教区の繋がりは以前よりもより深いものになったように思います。

 実際に会って集うことができない現状でありますが、北海道特別教区はそもそも距離の問題から中々集まることが難しい教区でした。だからこそ、オンライン化によって以前よりもむしろ各教会の心の距離が縮まっていったように思います。画面越しでも共に豊かに集うことが出来る。それは中心に主のみ言葉があるからでしょう。改めて、主のみ言葉の力強さを味わうひと時となりました。

神学生修養会報告と「献身者を求める祈り」の呼びかけとお願い

神学教育委員会  池永清(市ヶ谷教会)

神学生修養会(報告)

 「2021年度神学生修養会」が6月7日(月)、8日(火)いずれも9~12時にルーテル神学校で開催されました。参加者は神学校の牧師養成コースに在籍する神学生全7名(現在すべてJELCでNRKは在籍者なし)、神学校教員、神学教育委員で、オンライン参加も併用して行われました。 以下に簡単に概要だけご報告いたします。

〇修養会のテーマ
『神学すること~実存的な出会い』

〇修養会が目指すこと/
自分の信仰のルーツと思える体験を互いに分かち合い、信仰とは私の人生においてどのようなものであったのか、そして、あるのかを考える。

6月7日
テーマ『私の信仰のルーツ』
⑴証し(神学校教員1名、神学教育委員1名)
⑵協議/グループに分かれて自分の信仰のルーツを共有し分かち合う。

6月8日
テーマ『私と神学』
⑴ミニ講義「神学すること」(ルーテル学院大学学長 石居基夫)
⑵ワークショップ/グループに分かれ相互インタビュー形式により「聞く力、伝える力」を学ぶ。

「献身者を求める祈り」の呼びかけとお願い

 私たち信徒は教会でみことばを聞き、交わりを持てることを何よりの喜びとしています。牧師はさまざまな形で神さまと私たちとの取り次ぎをしてくださいます。しかしその牧師が現在も将来的にも不足しています。

 本紙4月号で三浦知夫先生(神学教育委員長・東京池袋教会牧師)が「献身者を求める祈り」について次の様に述べておられます。

〇神学校と日本福音ルーテル教会と日本ルーテル教団の神学教育委員会で「献身者を求める祈り」の動画を作成しました(中略)可能ならそれぞれの教会で動画を一緒にご覧になる機会を設けていただければと思います。

〇今年の第5日曜日となる5月30日、8月29日、10月31日の礼拝の中でともに祈りを合わせていただければと思います。

 献身者を生み出すのは教会です。お一人お一人の祈りの中に、また教会の祈りの中に献身者を求める祈りを加えていただければと思います。なお動画(約30分 YouTube)は関係者限定公開となっていますので、視聴のためのURLは所属教会にお尋ねください。

連帯献金の呼びかけ

事務局長 滝田浩之

 2021年度の連帯献金を呼びかけます。

 今年度は「世界宣教のために」、「災害支援のために」、「喜望の家の働きのために」、以上の諸課題のために献金を呼びかけます。

 「世界宣教」は「ブラジル宣教」については一区切りとなり、今後はアジアへの宣教について世界宣教委員会から提案される予定です。

 また「災害支援」につきましては、日本福音ルーテル教会はACT–JAPANに加入しています。国内外の災害に、迅速に対応していきます。このたびの豪雨被害についても「災害支援」としてお受けしています。ご支援をお願い申し上げます。

 今回は、特に「喜望の家」の働きをご紹介いたします。関心を持って頂き、貴重な働きのためご支援を頂けますと幸いです。

喜望の家の活動紹介と現状報告

秋山仁(喜望の家代表・ 豊中教会牧師)

 いつも皆様には、お祈りとお支えをいただき、ありがとうございます。紙面をお借りして感謝申し上げます。

 喜望の家は、1976年11月、大阪市西成区の日雇い労働者の町、通称「釜ヶ崎」に、日本福音ルーテル教会によって設立された施設です。当初より、アルコール依存症およびギャンブル依存症の問題を持った方々が回復していくための援助を行っています。

 活動の内容は、毎週火曜日から土曜日まで、⑴依存症の問題を抱えている方々の居場所提供、⑵カウンセリングや作業療法など、依存症からの回復のためのプログラムの提供、⑶生活保護受給並びに受給後の生活相談などを行っています。また他にも⑷厳寒期の越冬夜回りの担当など、釜ヶ崎キリスト教協友会のメンバーとして共同で地域活動をしている、⑸依存症や教会のディアコニア運動に関する啓発活動などを行っています。

 昨年は、COVID-19感染に対する最初の緊急事態宣言の際には、週5日の活動日を週4日にするなどして対応しました。ただ利用者の方から「休館日が退屈で仕方がない」という話が出てからは、マスク着用、手指の消毒、室内では3密にならないようにする、部屋の換気を心がけるなど、感染予防対策をしっかり行ったうえで通常通りの活動をしています。とはいえ、食事会や外出レクリエーションなどのプログラムは、COVID-19の流行が収まるまでは休止していますし、「宣言」が発令されればボランティアの方々の出入りも休止していただくなど、制限されることも多いのが現状です。ただ、高齢者の方々のワクチン接種も進んでいて、皆さんお元気に毎日を過ごしています。

 隔月でニュースレター「きぼう」を発行し、喜望の家の活動や様子、釜ヶ崎地域での出来事、依存症やディアコニア運動に関する啓発活動などの記事を掲載して、支援者の皆様のところにお届けしています。各教会にもお送りしていますので、是非お読みください。今後ともご支援をよろしくお願いいたします。

第7次綜合方策の紹介⑷

事務局長 滝田浩之

■方策本文より

教会のリ・フォーメイション
 第7次綜合方策は、そのキャッチフレーズを「教会のリ・フォーメイション(再形成)」として、「魂への配慮」を実現することによってルター派に立つ教会形成を行い、そこに徹底的にこだわることによって教会が成長することを信じるものである。個々の教会が宣教の最前線であり、この成長と充実が目指されるべき方向である。

 第7次綜合方策は、長年、教会の中で課題とされてきた「宣教力の低下」を、明確に「牧会力の低下」、「分かち合う力の低下」にその原因を見る。「牧会力と分かち合う力」は、牧師の責任は言うまでもないが、個々の教会の課題であると告白する。しかし戦後宣教師を加えると200名近い教職が在籍していた時の教会数を、80名前後の教職で担わなければならないという物理的な環境の変化にも原因の一因があると考える。更に、このような外的な要因は、今後教職が明らかに減少する傾向を見る時に、より一層深刻化することは間違いがない。

 もちろん、私たちは教職の与えられることを祈り、ありとあらゆる施策を実行する。一方では牧師の数を確保するため牧会委嘱のあり方についても検討を開始する。

 しかし、「目指すべき教会の姿」を実現しようとする時、牧師が個人として資質を成長させるのと同時に、一人の牧師が、どのような形で、託された群れの牧会を実現していくのか。いかにすれば、「牧会力と分かち合う力の回復」を果たし、「ルター派に立つ教会」を形成できるのか。
 
第7次綜合方策は、経済的自給を果たした今、牧会力と分かち合う力の回復を課題としつつ宣教のあり方を再考し、ルター派に立つ教会の形成を目指し教会の「リ・フォーメイション(再形成)」を行う。

■解説

 日本福音ルーテル教会は各個教会主義の連合(連盟)組織ではありません。それは規則の上でも「個々の教会」と表現するところに表れています。「個々の教会」は近隣の個々の教会と「教区」を形成し日本福音ルーテル教会を形成しているのです。そして私たちは確かに教区という単位で経済的に相互に分かち合ってきました。しかしこれから重要なことは、更に近隣の教会同士が「ルター派の教会を形成する」という旗印のもとに、どうすれば血の通った一つの宣教共同体を形成することができるのかにあります。

 よって第7次綜合方策は、トップダウン式に教会の統廃合を行うことを目指すものではありません。なぜなら教会は分かち合うことを通して本来の姿を取り戻すと考えるからです。牧師不足の中で、個々の教会が牧師によって結びつくという形から、個々の教会同士、信徒の方々が、宣教の働きを相互に分かち合うところに生まれる、宣教共同体となっていく道筋です。

 分かち合う教会への成長、この思いが「教会のリ・フォーメイション(再形成)」というキーワードには込められています。

第28期第14回 常議員会報告

事務局長 滝田浩之

 6月14日、オンライン会議で行われた標記の件、ご報告いたします。

⑴人事案件
 病気休職中であった宮川幸祐牧師の退職、鶴ケ谷・仙台教会の太田一彦牧師の引退を受理しました。日本福音ルーテル教会の宣教の働きに献身くださったことを心から感謝すると共に、これからの新しい歩みが主に祝されたものになることを心からお祈りしています。

⑵「教会讃美歌 増補(分冊1)」について
 ルーテル4教派で10年以上の歳月をかけて準備をしてきた「教会讃美歌増補(分冊1)」の発行が今年の宗教改革主日に行われることが報告されました。1冊1100円(税込)での販売になります。ルターの賛美歌を多く収録し、また現代の賛美歌も収録されています。各教会での礼拝がさらに豊かにされるものになることが期待されます。各教会へはサンプルとして1冊を贈呈することを予定しています。各教会で購入をご検討頂けますと幸いです。

⑶教会関係法人関連規程の問題点と見直しの方針
 財務委員会から検討資料として標記の案件について説明が行われました。
 「関係法人」とは個々の教会の宣教の働きから生まれた幼稚園、保育園の働きが、運営の安定、あるいは地域行政の働きかけで学校法人、あるいは社会福祉法人を取得して運営されている法人を指します。規程が作成された時代から年月が経過し、現在の法律に適合していない部分、また法人化することで個々の教会の宣教の働きとしての位置づけが継続的に行われていくことができるように、そのガイドラインを改めて確認する必要が説明されました。

 今回の常議員会での説明、また今後は教区や、実際に関係法人の意見を集約しつつ議論を重ね規則改訂を進めていくことが確認されました。

 なお「議長報告」において「集計表における男女の人数」の把握について、多様な性のあり方が尊重される今日の社会的状況を加味し、男女の区分の取りやめなど 、人数の把握のあり方について適切な対応をしていくことが提案されました。事務局としては、これを受けて社会委員会に、この件に関する意見を求めることとし、それを踏まえて次回常議員会に提案する予定です。単に集計表の記載方法を変更することに留まらず、社会委員会の作成された『多様な性を知るために』などもお読み頂き、関心を深めていただけますと幸いです。またこの件に関して、ご意見を事務局までお寄せください。

 この他の案件については常議員会議事録でご確認頂けますようにお願い申し上げます。

全国ルーテル青年の集い、再び!

森一樹(市ヶ谷教会)

 今年2月に開催された全国のルーテル教会に集う青年を対象にしたオンライン合宿の好評を受けて、新たに、月に1度の青年の集い「Pray! Play!! Friday!!!」略して【ぷれぷれ】がオンラインで開催されることになりました。昨今激減している青年同士の交流や分かち合い、また新たな仲間との出会いの場を定期的に持てたらと、有志の青年らによって企画がなされました。今回の【ぷれぷれ】では、共に聖書を開き、御言葉を分かち合うことで、自身と神様、また教会との繋がりを考えるだけではなく、毎月異なる牧師をゲストとしてお招きし、青年に向けた聖書のお話をして頂く予定です。また、青年同志の交流にも重点を置き、同世代の信仰の友と出会い、親交を深められるよう準備もしております。開催方法としては今回もオンラインですので、全国どちらからでもご参加頂けます。また青年活動への参加が初めての方や久しぶりの方でも参加しやすい様、配慮をしていますので、ぜひこの記事を読んで下さっている皆さまから、お知り合いの青年にもお知らせ頂けると幸いです!そして、この先の教会を担っていく青年たちが互いに信仰を励まし合う関係を築ける様に、またこれから新たに教会の輪に加わる青年が一人でも多く与えられるようお祈りください。

 開催日時など詳しい情報は、各教会の牧師宛てにメールでお送りしている開催案内とポスターをご確認下さい。また青年向けに公式インスタグラムでも情報を発信していますので、左記QRコードからぜひインスタもご覧ください。

開催期日:毎月1度いずれかの週の金曜日21時より(今年12月まで)。
開催方法:オンライン(Zoom)
参加対象:全国のルーテル教会に集う青年(18歳から35歳まで、原則高校生不可)。

2021年度「日本福音ルーテル教会教師試験」について

 2021年度「日本福音ルーテル教会教師試験」を下記要領にて実施いたします。教師志願者は必要書類を整え、教会事務局にご提出くださいますよう、お知らせします。

〈提出書類〉

◇教師志願書
◇志願理由書
テーマ「なぜ『日本福音ルーテル教会の教師』を志願するのか」
書式 A4横書き2枚 
フォントサイズ11ポイント
◇履歴書(学歴、職歴、信仰歴、家庭状況等を記入すること)
◇教籍謄本(所属教会教籍簿の写し)
◇成年被後見人または被保佐人として登記されていないことの証明書(法務局交付のもの。任用試験時に必要になります)
◇所属教会牧師の推薦書
◇神学校卒業(見込)証明書及び推薦書
◇健康診断書(事務局に所定の用紙があります)

〈提出先〉
日本福音ルーテル教会
常議員会長 大柴譲治宛

〈提出期限(期限厳守)〉
2021年9月17日(金)
午後4時までに教会事務局へ提出すること

◇個人で神学の研鑽を積み受験を希望する者は、必ず神学教育委員会の推薦を得ること
◇国外のルーテル教会の神学機関に学び神学修士を持ち受験する者は、願書提出前に事務局に相談すること

〈試験日及び試験内容〉
志願者本人に直接連絡します。

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