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るうてる福音版2010年2月号

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心の窓を全開せよ!

あなたがた自身、互いに愛し合うように、神から教えられているからです
日本聖書協会『聖書 新共同訳』第一テサロニケ4章9節

今年も、もう1ヶ月が過ぎました。
1年の暦の上で最も静かにゆっくりと時間が過ぎていくのは、いま迎えたばかりの2月のように私には思えてなりません。空気は冷たいけれど、どこか地の奥深くから春の振動が感じられ……、まだ冬の真最中だけれども、生活の中に春の色が見え始めている……。

私が今のアパートに移り住んでから二度目の春を迎えようとしています。西角部屋で、南側には農家の大家さんの畑が広がっていて、寒い寒いと言いつつも、畑には次々と新しい命が芽吹いています。
そんなある日の夜のことです。仕事から帰って来たら、南側の2枚の窓ガラスそれぞれにひびが入っていたのです。「風で石でも飛んできたのかしら……」「それとも、アパート周辺に集まるカラスのいたずら?」。そのときの私には、そのひびが大して気になることでもなく、むしろその原因を探る方が面白楽しく、すぐに何することもありませんでした。ところが、しばらく経ってそのことを大家さんに伝えると「ひびは気圧のせいかも知れない。だけど、地震でも起きたら危険だから、すぐ取り替えるように」とのことで、次の日、硝子屋に来てもらいました。
暖房を入れている寒さですから、当然私の部屋で1枚ずつ硝子を交換するのかと思っていたら、窓枠ごと2枚を店に持ち帰って交換してくるとのこと!! その間、硝子戸があった場所がすっぽりと外に向けて四角く抜けた状態になってしまいました。どんなにか自分が悲惨な状況にさらされるのかと思っていたら……「あぁ~、何て素晴らしい眺め! 何て気持ちの良い眺め!」 外の畑の風景が、まるで1枚の絵画の様に、はっきりとくっきりと私の部屋に広がっているのです。それも、何にも邪魔されないで。

普段、窓を開けていると言っても左右どちらかに硝子戸を重ねている分、風景は半分邪魔されていたのです。「私は、今まで一体何を見ていたのか」「私には、本当に外の風景が見えていたのか」そう思った瞬間、「私は自分を取り巻く人たちのことを、今まで本当に見て来ていたのか」「彼等を正しく見ていたのか」と、急に胸が締め付けられたのでした。

そのとき、私に届いた言葉は『心の窓を全開せよ!』。
これによって、初めて相手を正しく見て理解し、相手と本当に出会うことができることを教えられたのでした。                (JUN)

ネパールワーカー楢戸健次郎先生
ナマステ、サンチャイチャ

(日本の医療についてのお話の続きです)

Q.患者さんがやっと病院に来ても、薬がないってこともあるんですね。
そのようなことがないように、病院スタッフにアドバイスをしています。日本の場合、今は問屋でも1日分の在庫も置いてありません。0.8日分くらいです。病院によって違いはありますが、1~2日分の在庫はおきません。頼めばすぐに持って来てもらえるからです。
しかし、チョウジャリでは6か月分の在庫を用意しています。そうでないと患者が来たときに安心して提供できないからです。それでも、2~3種類、在庫を切らしてしまうことがあるのです。在庫が少なくなったら発注をかければいいのですが、何度アドバイスしても、なかなかうまくいかないのです。棚卸しを頻繁にきちんとすればいいのですが、間があいてしまったり、夜中に患者さんが来て薬を使ったのに、記録から抜けていたり、どこかへ勝手に持っていってしまったりとか、いろいろな原因があります。
もう1つ薬の問題といえば使いたい薬があっても、患者さんにお金がないので要らないといわれることがあります。そういう時はカウンセラーとよく話し合って本当にお金がないのか見極めて、無料で提供するかどうか決めたりします。そこまで話がいかなくて、会計の段階で薬はいりませんと帰ってしまう人もいます。薬があるということと、利用できることとは繋がらないのです。また、もらった薬を売ってしまう人もいるのです。
ですから、医療従事者が直接確認してその場で飲んでもらうということをします。そうすると薬を売ってしまうということはなくなります。それから、日本では薬を紙の袋に入れたりしますが、その紙すらネパールにはないのです。チョウジャリで新聞を取っているのはうちの病院だけです。
薬の飲み方を説明もするのですが、その時は分かったようなそぶりでも実際は理解してなくて、まとめて飲んでしまったり、飲まなかったり、誤った飲み方をしてしまったりします。

Q.医療保険制度などは?
試みはいろいろあります。キリスト教団体が15~20年前から地域の保険制度をスタートしています。2700万人のうちのほんの少しの試みですが1~2万人くらいが保険に入っています。それから軍隊は軍隊で保険を持っています。政府の共済というのはありますが、日本でいう、国民健康保険というようなものはありません。医療と教育にはお金がかかりますが、農家は食べていくのもやっとで、そのお金がないのです。

Q.国の方策もまだ充分ではない?
ネパールは観光資源の点では、山にしろ、文化遺産にしろ、世界に冠たるものを持っています。ですからスイスのように観光立国で充分人を世界から集めるだけのものはあるのです。しかし、インフラ整備が出来ていないのです。資本がない、技術がない、鉄道が1つもないというのもあります。トンネルも1つか2つしかなくて、迂回しなくてはいけません。それもたいへんです。ネパールは1/3が平野、1/3が山岳地帯、1/3が丘陵地帯です。平野には道路がありますが、丘陵地帯などにはまだほんのちょっとしか道路がありません。そうすると飛行機を使うのですが、国営の飛行機は国際線が2基あるうち1基が故障していて飛んでいません。国内線も6基あるうち4基が故障しています。チョウジャリに行くにも1週間に1度しか飛びません。空港まで行っても飛ばなくて「来週また来て」といわれることも時にあります。このように、観光立国となるためのインフラ整備はできてないのです。

イエスの生涯

【その8】 五千人の給食

マルコによる福音書 6章30?
【祈りの言葉】イエスさま。あなたが祝福してくださる糧によって
私たちの心と体を平安で満たしてください。

毎日あくしゅ

園庭の花壇には数本の水仙が咲き始め、ほのかな匂いを放っていますが、寒さのなかで、凛として咲いている水仙やさざんかの凛々しさに心惹かれ、私の気持ちまでピーンと引き締まります。
自然界の営みは少しずつ春の気配を感じるようになってきてはいますが、ある冷たい日の朝、園庭を見ると昨日の雨であちらこちらにできていた水たまりにうっすらと氷が張っていることに気付きました。
もうすぐ登園して来る子どもたちが、水たまりが凍っていることに気付いてどうするかな? と、ワクワクしながら、登園して来る子どもたちを迎えるために門に立って待っていました。すると、いつもより早めに登園して来た年長児が、「アーッ!! 凍ってる」と叫びながら水たまりの方に走って行きました。
私は、もしかするとその氷を踏みつぶすのかな? と思ったのですが、その子はしゃがみ込んで指や手のひらでソ―ッ!! と氷をなでた後、その凍っている水たまりを大股でまたぎ、またしゃがみ込んで氷をなでては、またぐことを繰り返したのです。何を感じているのかな? どう思っているのかな? 何を発見したのかな? きっと氷が透き通っていたり、白っぽく見えることで氷の厚さの違いなどにも気付いたことでしょう。そのあとほかの園児が登園して来ると、大事そうに氷を見せたり、踏みつぶしたり投げて割る子どもたちもいて大騒ぎとなりました。
子どもたちが自然の営みの変化に目を向け、心を動かし、科学する姿は真剣そのもので、食い入るような眼差しや見つめる時の姿に心打たれます。
私たち大人も子どもたちの心の動きに寄り添い、感動や感激を共有できる存在でいたいなぁと思います。
(園長)

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