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機関紙るうてる

るうてる 2018年6月号

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説教「「立ち止まり、共に歩み出す

小倉教会、直方教会 牧師 永吉穂高

イエスは、再び湖のほとりに出て行かれた。群衆が皆そばに集まって来たので、イエスは教えられた。そして通りがかりに、アルファイの子レビが収税所に座っているのを見かけて、「わたしに従いなさい」と言われた。彼は立ち上がってイエスに従った。イエスがレビの家で食事の席に着いておられたときのことである。多くの徴税人や罪人もイエスや弟子たちと同席していた。実に大勢の人がいて、イエスに従っていたのである。ファリサイ派の律法学者は、イエスが罪人や徴税人と一緒に食事をされるのを見て、弟子たちに、「どうして彼は徴税人や罪人と一緒に食事をするのか」と言った。イエスはこれを聞いて言われた。「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。(マルコによる福音書2章13~17節)

私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。アーメン

与えられた御言葉には、主イエスが徴税人レビを弟子として招かれた場面が記されています。
主イエスの時代、ローマ帝国は、イタリア半島からパレスチナに至るまで支配圏を伸ばしていました。各地の権力者に統治を任せ、ある程度の自由と引き替えに上納金を課し、ローマ帝国からは監督者を配置するにとどめることで広範囲の掌握を実現していたようです。パレスチナ周辺の管理は、ヘロデ大王の3人の息子たちに任されました。そして、上納金の回収への怒りがローマに向かないように、ユダヤ人の中から徴税人が雇われたのです。
ルカ福音書に「ザアカイという人がいた。この人は徴税人の頭で、金持ちであった」(ルカ19・2)とあるように、徴税人の中にも序列があったようです。定められた金額以上を集めれば、余剰を懐に入れることができるため、徴税人の頭は金持ちだったのでしょう。
しかし、下っ端の回収者たちは、決して裕福ではなかったようです。決められた金額以上に回収しようものなら、民の怒りは真っ先に彼らにぶつけられ、それでも上乗せ分は頭に吸い上げられてしまう。同胞から「利子も利息も取ってはならない。」(レビ25・36)との律法に背き、異教の神を信じる外国人との交流を持つという理由で、宗教的な罪人と囁かれつつも、彼らは生きるために仕事を続けなければならなかったのです。
レビは「収税所に座っている」(マルコ2・14)とあるように、徴税人の中でも下っ端の回収者だったと考えられます。収税を理由に人を呼び止めることはできます。しかし、しぶしぶ税金を支払った人々が世間話をするはずもなく、日常でも、徴税人のレビと深く関わろうとする村人は極めて少なかったことでしょう。生きるために働こうとも、道端の石ころのように無視され、通り過ぎられる人生とは空しいものです。
そこに、主イエス一行がやってきたのです。群衆が後に従うほど主イエスの噂は広まっていましたから、レビ自身も興味をもって様子を窺っていたことでしょう。すると、人々の注目の的である主イエスはレビの前で立ち止まり、なんと「わたしに従いなさい」(2・14)と招かれたのだというのです。
通り過ぎられる日々の中で、たったお独り、自らの前で立ち止まり、共に一緒に行こうと招いてくださる方と出会った。この出来事が、レビを立ち上がらせ、彼の内に全て捨てて従う想いを起こさせたのだと受け取りたいのです。
罪人というレッテルを貼られた者と共に旅をし、同じ釜の飯を食うとは、主イエスもまた、今後の人生において罪人の一人として数えられていくということを意味します。それを御存知の上で、主イエスはレビの手を取られました。決して偶然の出来事などではなく、今後の人生を視野に入れた覚悟をもって、主イエスが彼を弟子として招かれたのだと気づかされます。このレビの召命の出来事こそ、社会の価値観とは異なり、神が彼を必要としておられること、そして、御国の宴に招かれることの証明であることを覚えたいのです。
他の弟子たちは、主イエスの徴税人を仲間に加える決断を受け入れられずに沈黙しました。人が他者を罪人と定める時、その裏で、罪人ではない自分の評価が高められます。それは、他者よりも上に立つ「特別」こそ成功であるかのように語る競争社会の在り方と通じる理解です。
しかし、人が人の上に立ち、下に置かれる者が押しつぶされる構造と対峙し、主イエスは十字架へと続く道を歩まれました。私たちは、通り過ぎるのではなく、立ち止まることから始められた主より学びたいのです。
望みの神が、信仰からくるあらゆる喜びと平安とをあなたがたに満たし、聖霊の力によって、あなたがたを望みにあふれさせてくださるように。アーメン

コラム 直線通り 久保彩奈

③「すべてのキリスト者は、 小さなキリストである」 (ルター)

 

授業を終えて職員室に戻ると、わたしの机上に手紙がありました。差出人は生徒。慌ただしく過ごすわたしとなかなか会えないからと手紙に書かれていたのは受洗予定日と教会名。生徒が受洗するという、良き知らせを告げる手紙でした。手紙の最後の「待ってます!」の一言に胸が熱くなりました。洗礼式の日。生徒は証しの中で「年に数回教会に行くのは学校の宿題だからでしたが、ある時何もせずに日曜日を過ごすより、教会で神様のことを知りたいと思い、毎週通うようになりました」と語りました。聖霊に押し出されるように導かれた生徒。キリストに出会ったのは学校でしたが、育ててくださったのは神様と教会の方々の祈りと愛でした。教会の方々のキリストの香りによって結ばれた、神様につながる新しい命の誕生に思わず号泣、感無量でした。
そんなわたしも、かつてキリスト教主義学校に通い、宿題で教会に行く中学生の1人でした。教会学校の教師の女性は毎週両手を広げて「おはよう!よく来たね」と迎えてくれました。高校生になりに洗礼を願い出ると、牧師は「やったー!」とガッツポーズ。なぜこんなにも喜んでくれるのか、当時はよくわかりませんでしたが、時を経て、わたしが教会で共に過ごしていたのは小さなキリストだったことに気づきました。温かくて優しい彼らが放つキリストの香りに、わたしも育てられていたのです。
かつてわたしを育ててくれたあの女性も牧師も天国にいますが、彼らのキリストの香りは天国からも放たれています。キリストの香りは永遠なのですね。今でもその芳しい香りの力を得て、わたしも彼らと同じように、教会で、学校で、小さなキリストになりたいと願うのです。

第28回日本福音ルーテ ル教会定期総会報告

白川道生(第27総会期 総会書記)

第28回日本福音ルーテル教会定期総会が5月2日から4日にかけて、日本福音ルーテル教会宣教百年記念東京会堂(東京教会)において開催された。総会議員となる教職、信徒212名が全国から参集した。
聖餐礼拝から始まった総会は、続いて、来賓挨拶(日本キリスト教協議会、日本ルーテル教団)、更に退任・召天・新任教師の紹介があった後、議事に入り、「キリストに支えられ、育てられ、成長し、社会に仕える教会になろう」との標語のもと、12の議案が審議された。

◆第27総会期活動報告承認
まず、立山忠浩議長による議長報告では、2012年策定の第6次綜合方策の中から、「震災支援・社会に仕える教会」、「財政課題への対応」、「宗教改革500年」の三つを優先課題と絞り込み取り組んだ実施状況が説明された。続いて、事務局長~各室長報告、世界宣教~各教区、諸委員会、諸施設、関係団体からの活動報告が行われた。この部分は実に4時間にもおよぶ長時間を要したが、伝道・教育・奉仕と、広範多様な働きが展開されている、ルーテルの共同体が示されたところでもあった。
議題は「宗教改革500年記念事業」、「これからの世界宣教」、「礼拝式文の改定・典礼曲の公式使用承認」「収益事業のあり方」等々の審議と選挙であった。

・礼拝式文の改定
2年前の前回総会で「主日礼拝式文の文言」の公式使用が承認された。本総会での提案は、「主日礼拝式文の曲」の公式使用の開始であった。作曲者との協議を経て作業を担ってきた式文委員会(平岡仁子委員長)により、4パターンのメロディ案が議場で実演され、質疑と意見交換の後、使用開始が承認された。
なお、引き続き、洗礼式や結婚式、葬儀などの「諸式」の作成を進め、すべてが出揃う新たな式文の採決には期間をおいて、2028年開催(予定)の定期総会において決議する、との工程も承認された。

・市ヶ谷会館収益事業
同建物の経年劣化と耐震性の確保を課題に、対応方針の決定が総会に諮られた。まず積み上げた調査と所見を示しながら提案説明が行われた。そして採決の結果、事業継続のため対策を実施することの承認と、次回総会までに対策を立案し、実施計画として2020年に提案する、との工程が承認された。

・役員選挙
立山議長の任期満了を迎えた今期、選挙により第28総会期議長には大柴譲治牧師が選出された。また、副議長に永吉秀人牧師、書記は滝田浩之牧師、会計に木村猛さん(保谷教会)が選出された。加えて、2名の信徒選出常議員、各教区長及び教区選出常議員によって構成される、新常議員会の組織も承認された。

・2016、2017年度決算書・会計監査報告及び2018年度実行予算、2019、2020年度当初予算
豊島義敬会計より、27期の全体教会並びに諸部門の財務状況が報告され、好転した収益事業と、累積の欠損金の減少などの状況が説明された。
また木村猛財務委員長より、予算説明がなされた。
いずれも採決の結果、承認された。
* 詳細については、後日発行される定期総会議事録を参照ください。

総会議長に選出されて

大柴譲治

このたび立山忠浩議長の後を受けて総会議長に選出され、その重責に怖れとおののきを抱いています。担当する大阪教会ではちょうど5月よりヨナ書の聖研が始まりましたが、ヨナのように逃げ出したい気持ちもあります。しかし、総会での就任式の際に背後から力強く響く会衆の歌声『力なる神はわが強きやぐら』に押し出されるようにして覚悟を決めました。「主の山に、備えあり(イエラエ)」(創世記22:14)というみ言葉と「わが恵み、汝に足れり」(2コリント書12:9)というみ言葉に拠り頼みながら、共に選出された永吉秀人牧師、滝田浩之牧師、木村猛さん、古屋四朗さん、伊藤百代さん、5教区の新常議員、事務局の皆さんとその責任を担ってまいりたいと思います。
どうか皆さまの日々の祈りに覚えてください。復活の主の洗足の模範に倣いつつ、心を込めて神と隣人とに仕えてゆきたいと願っています。よろしくお願いいたします。

事務局長に指名されて

滝田浩之

第28回日本福音ルーテル教会総会において、大柴譲治総会議長より事務局長に指名され、議場にて信任を受けました。これから2年間、どうぞよろしくお願い申し上げます。
1995年に按手を与えられ、板橋教会で5年、大阪教会で16年、2年前からは管財室長の任を与えられてきました。牧師の同労者、そしてたくさんの信徒の方々の後ろ姿を通して「仕える」ということを学ばせていたいだいてきました。この職務を通しても、また深く「仕える」ことを教えられていくのだと思います。
大柴議長の就任の挨拶に、「ルーテル教会はみ言葉の教会だ」という言葉がありました。私も「み言葉には力がある」と信じています。事務局長として何ができるか、まったく白紙の状況ではありますが、ルーテル教会が大切にしてきたものをきちんと継承し、現代における「み言葉に立つ教会」をみなさまとご一緒に形作っていくことができればと願っています。

全国教師会報告

石居基夫(前総会期会長)

宗教改革500年を終えて、ルーテル教会はエキュメニカルな交わりの中で、いよいよ新しい時代の宣教を担うこととなります。その節目となる今年、2018年5月1日から2日にかけて、全国の教師会総会が宣教百年記念東京会堂を会場に開かれました。
総会は、2016年に行われた前総会以後の教師会の活動について、会長、安井宣生書記、和田憲明会計が報告を行いました。
折しも2年前の総会は熊本地震直後で熊本地域の諸教会の被災状況やまた救援の働きについての報告がなされたことでしたが、その5月末に全国教師会では被災牧師家族の慰問とお見舞いを実施しました。そして、執行部は今後のために、「教職家族見舞金」規定の改変を今総会で提案し、死亡や重大疾病への見舞いだけでなく、被災にも対応する改正案が可決されました。

宗教改革500年の教師会としての記念事業について、1.説教集は作成の最終過程にあること、2.牧師たちが自由に「ルターを語る」ネット企画は、寄せられたエッセーは少なかったけれどもすでに公開されていること、そして3.宗教改革500年のカトリックと日本福音ルーテル教会の共同企画に会わせた全国の教師退修会は、末竹十大師、内藤新吾師、沼崎勇師、宮本新師の4名の協力委員と講師選考や企画についての意見交換を行いながら実現することが出来たことが報告されました。

会長は次年度以降に向けての課題を挙げ、1.レヴュー制度の実施とそれに伴う牧師の自己研鑽に関する課題、2.教会でのジェンダーやハラスメントについての取り組み、3.急変する現代社会の現実に応答する教会の課題についての神学的考察などに取り組む必要があることを確認しました。

任期満了の書記、会計と共に会長も任を解かれ、新会長には立山忠浩師、書記に三浦知夫師が選任され、会計には池谷孝史師、そして相互扶助会会計に西川晶子師が会長からの推薦を受けて承認されました。

ドイツ・ブラウンシュヴァイク福音ルーテル教会/日本福音ルーテル教会
宣教パートナー関係締結50年

②喜望の家とディアコニア

釜ヶ崎ディアコニア・センター喜望の家 牧師 秋山 仁

エルスべート・ストロームとボド・ワルター。喜望の家と福音ルーテル・ブラウンシュヴァイク領邦教会の関わりを語る上で、この二人の宣教師の名前は欠かせないでしょう。
ストローム宣教師は、当初ドイツのミッドナイト・ミッションから日本に派遣されていました。そして、1963年に釜ヶ崎に隣接する山王地域で保育所「西成ベビーセンター」の活動を始めました。当時の大阪教会の内海季秋牧師が責任を持つ形で、ストローム師の活動は始まりました。
釜ヶ崎で働くことを決めた理由について、ストローム師は、「社会福祉事業(教会の言葉で言いますと『ディアコニー』という活動)をやりたければ、『陰のところで始めないとうその仕事になる』と心の中で感じていたからです」と著書の中で書いています。日本滞在10年目で、活動場所を模索していた彼女は、たまたま大阪で西成区の釜ヶ崎を訪れ、「日本の社会の一つの陰の所」と思い、そこで働くことを希望したわけです。
ドイツ福音ルーテル教会連合では、釜ヶ崎でのストローム師の活動を支援することを、1968年の段階で決定し、ドイツ・ブラウンシュヴァイク福音ルーテル領邦教会がストローム師を宣教師として改めて派遣することになりました。そして、1974年にブラウンシュヴァイク福音ルーテル教会がドイツ福音ルーテル教会連合の仲介で、日本福音ルーテル教会と正式の姉妹関係を締結するのです。
これに前後して1970年にはストローム師は、釜ヶ崎で活動していた神父や牧師、シスターたちと釜ヶ崎キリスト教協友会を結成して、共同で地域の問題に取り組み始めます。1973年ごろからは、彼女は釜ヶ崎のアルコール問題とかかわるようになりました。1975年には断酒サークル「むすび会」を始め、翌年1976年1月に古い倉庫兼住居を購入し、同じ年の11月に開設されたのが、喜望の家でした。
1977年には、喜望の家に日本福音ルーテル教会から初代の邦人教職として重野信之牧師が派遣されました(~1984)。それから42年、喜望の家は釜ヶ崎の中でアルコール依存症の方々の回復のための支援を継続的に行っています。ストローム師がいなければ、喜望の家は存在しなかったでしょう。ストローム宣教師は、1983年に引退され、ドイツに帰国されました。保育所「西成ベビーセンター」は、その2年後に「山王こどもセンター」として自立、教会の手を離れました。
1986年ストローム師の後任として来日したのがボド・ワルター宣教師です。ワルター師は、ブラウンシュヴァイクにあるルーカス・ヴェルク事業団から、アルコール依存症に関するソーシャル・セラピストとして派遣されてきました。そして、喜望の家は、1988年以降、同事業団でおこなわれているセラピー・プログラムをモデルとした「自立生活支援プログラム」を、ワルター師の指導と助言のもと始めていきます。この「自立生活支援プログラム」は、利用者が断酒決断を維持していくことを支援し、入院治療に代わる社会的リハビリテーションを行うことを目的として考えられたもので、現行の社会保障制度や医療制度では適切なリハビリテーションの可能性を持つことができない日雇い労働者の実情にあわせたものでした。ワルター師は、セラピーの実践を通して、職員の利用者に対する関わりを指導していきました。1992年にワルター師は任期を終えてドイツへ帰国されました。
ディアコニア、それは新約聖書の「給仕する」という言葉を語源として、人と社会に「仕えていく」というキリスト教の働きで、特に19世紀にプロテスタント教会で実践的に、また理論的に発達してきたものです。当時のあらゆる社会問題に関わった教会の取り組みでしたし、現在もまたそうです。
ストローム師とワルター師が伝えようとしたディアコニアの心は、釜ヶ崎における様々な働きとして、定着しています。

※ 前号掲載①「歴史と感謝」のドイツ・ブラウンシュヴァイク福音ルーテル(州立)教会をドイツ・福音ルーテルブラウンシュヴァイク領邦教会へ、また総幹事ヘンニェ・ベッカーを上席総幹事ヘンニェ・ベッカーへ訂正します。

カトリックと宗教改革500年⑧

現代のルター像

ルターが異端者であり、西方教会の分裂の責めを負う者と見る時代は過ぎ去りました。現代カトリックのルター研究においては、ルターが抱いていた真の宗教的な意図を理解することにより、彼がプロテスタント、ローマ・カトリック共通の教会博士であると認識されています。
ルターによる宗教改革の意図とは、福音によるキリスト教の再生でした。恵みの神、神の義、信仰について問うことで、停滞していた当時の教会に対して、キリスト教信仰に関する、より核心的で実存的な問いを提起したのです。ヨーゼフ・ロルツという カトリックの学者は、ルターは「本来のカトリック的なもの」に 戻ろうとしたのだと言います。
ルターの根本的な意図が「福音主義的であると同時にカトリック的」であろうとしたものであるならば、ローマ・カトリック教会は、2017年の記念を自らのアイデンティティの深化・再発見の機会とすべきでしょう。

現代のローマ・カトリック教会のエキュメニズム

ローマ・カトリック教会の教皇たちは、第二バチカン公会議以後、教会一致への強い責任感を示してきました。「教会はキリストにおけるいわば秘跡、すなわち神との親密な交わりと全人類一致のしるしであり道具」(『教会憲章』1項)だから。それは「すべての人を一つにしてください」(ヨハネ17・21)とのイエスの言葉にさかのぼる使命です。
・「すべてのキリスト者間の一致を回復するよう促進することは、聖なる第二バチカン公会議の主要課題の一つである」(『エキュメニズムに関する教令』第1項)。
・「キリストを信じる人々は、ともに結ばれて殉教者たちの跡を追おうとすれば、 分裂したままでいることはできません。あがないの秘義を空洞化しようとする世界の動きを、真に、また効果的に阻みたいなら、十字架についての同一の真理を、手を取り合って告白しなければならないのです」(ヨハネ・パウロ2世 教皇回勅『キリスト者の一致 Ut Unum Sint』1995年、1項)。

カトリック教会は、日本のカトリック教会の皆さんに宗教改革500年共同記念の意義を知らせるため、リーフレット『カトリックと宗教改革500年』(発行・カトリック中央協議会、制作・宗教改革500年記念行事準備委員会)を作成しました。編集責任を負われた光延一郎神父(イエズス会・上智大学教授)よりご提供いただき、紹介します。

ルーテル子どもキャンプへ行こう!

甲斐友朗(シオン教会)

毎年恒例のルーテルこどもキャンプが今年も行われます。今年は記念すべき20回目です。こどもキャンプは東京と広島、毎年交互に行われており、今年は広島で行われます。
広島でのキャンプのテーマは、ずばり「平和」です。キャンプでは、原爆資料館や平和の門、原爆ドーム、原爆の子の像などを巡ります。実際に被爆地ヒロシマの街を歩くことで、平和の尊さを肌で感じることができることでしょう。またキャンプでは、聖書が語る平和についても学びます。
今年の主題聖句は「平和のきずなで結ばれる」(エフェソ4・3)です。キャンプでは、この主題聖句を含め、平和についてのいくつかの聖書の御言葉を読み、聖書が語る平和について共に考えます。

何だかちょっと難しそう、そう感じるお友だちもいるかもしれません。でも、大丈夫です。キャンプにはちゃんと楽しみも用意されています。お好み村で本場広島のお好み焼きが食べられるのも楽しみのひとつです。
だから、みんな、どしどし申し込んでね!知り合いが誰もいなくて不安だなあというお友だちも大丈夫です。街を一緒に歩いたり、お好み焼きを一緒に食べたりするうちに、いろいろなお友だちと仲良しになれるよ。安心して申し込んでね。

また、同時にスタッフも募集しています。「甲斐さん、もうキャンプ来なくていいです」という連絡が来るくらい、スタッフが集まることを期待しています(笑)。リーダーは18才から、ジュニアリーダーは高校生から申し込めます。知識や経験がなくても、周りのスタッフがサポートしてくれますので、安心して申し込んでください。また、裏方としてキャンプを支えてくださるスタッフも募集しています。キャンプの対象は小学5、6年生です。日程は8月7日(火)~9日(木)、場所はルーテル広島教会です。ヒロシマで会いましょう!

オルガンは地域の財産

野村陽一(大分教会)

4月18日、大分教会にパイプオルガンが完成し、聖別式に続き試奏が行われました。平日午後の開催で出席者は限られたものの、その多くは新聞報道により集まった一般市民でした。オルガンは、足鍵盤付き手鍵盤2段、10ストップという大きめの小型オルガン、最低音は16フィートの重低音です。
礼拝堂には最初からオルガン用バルコニー(耐重2トン)があり、そこに設置するため、礼拝堂内に大がかりな足場が天井近くまで必要でした。オルガンは、イタリア北東部の谷間にあるアンドレア・ゼーニ工房が製作し、日本の教会に納入した最初のオルガンになりました。
イタリア国内の教会にはゼーニ・オルガンがありますが、日本の教会では初めて聞く名前であり、価格が非常に安く、CDで聴く音は明るいが多少軽い感じなどの不安はありました。しかし、決め手になったのは、オルガン製作の要ともいえるパイプの音色や響きの整音に非常に高い評価を得ている工房だったことです。予想通り、残響の多い礼拝堂にしっかりと対応した素晴らしい音色のオルガンが完成しました。
4月9日から10日間、組立・整音作業が行われ、これを地域に公開しました。数年前、大学の同窓生で地元民間放送局の幹部に、オルガンを導入するが組立作業など興味はあるかと打診すると「ぜひ撮らせて」との答えでした。大分ではめったに見られない光景だからです。それで今回、事前に大分県庁記者クラブにある各報道機関のメイルボックスに案内を投げ込みました。報道各社の取材、新聞を見た見学者が相次ぎ、関心の高さは予想以上でした。「自分の身近にパイプオルガンがあるなんて…」「ぜひ演奏会を」と近所の人。オルガンを聞きたくて礼拝に出席する人も…。オルガンによって無料で教会を宣伝してもらったようです。
もはや1教会の礼拝だけのオルガンにはできません。世間の関心の高さにオルガンが地域の財産でもあることを教えられました。

プロジェクト3・11キッズケアパークふくしま ご支援に感謝

栗原清一郎 (NPO法人キッズケアパークふくしま理事長、福島いずみルーテル教会員)

2011年3月11日の原子力発電所大惨事を伴った東日本大震災の発生直後から、福島県北の教会が集まり、様々な形の被災者支援をしました。また2013年の話し合いで放射線被ばくを恐れて外遊びができない子どもたちのために、安心して思いっきり遊べる場を無料で提供しようということになりました。
主の導きをいただき、アドバイザーとして専門家の福島大学教授の先生、ボランティアには、高校生と顧問の先生、大学生、教会関係者、子どもヨガを教えるお母さんグループなどに恵まれ、また日本ルーテル教団、日本福音ルーテル社団、日本福音ルーテル教会、ドイツ福音主義ルーテル教会、日本聖書協会、日本基督教団などの多くの皆さまからのご支援を受け、今では月に1回の、安心して自由に楽しく思いっきり遊べ、お母さんたちもホッとする移動式あそび場として喜ばれています。感謝しています。
お母さんたちから寄せられた声を紹介します。「お兄さん、お姉さんたちが本気になって遊んでくださり、子どもは本当に楽しみました。ありがとうございました」「市内の他の遊び場には、管理者はいても一緒に見てくれる人はいない。ここはボランティアの皆さんが気を配って温かく見てくださり、のびのびと遊べるので本当に嬉しそうです」「安心して遊べる楽しい遊び場なので、これ以上何もいらないから回数をふやして欲しいです」「赤ちゃんを連れてきてホッとして楽しめるのが嬉しいです。このような場所はあまりありません」
この遊び場は子どもたちの追加被爆を少なくするだけでなく、本当に楽しい、次のような場になっています。
・自然にできた年齢関係なく一緒に遊べる場
・年齢を問わずに人と交われる場
・小さい子も大きい人もお互いを認め合っている小規模な実社会のような場
私たちはこれからも福島の子どもたちと保護者の方たちのために、より良い成長の場、より魅力的な子育ての場を工夫し提供していきたいと思います。皆様からのお祈りとご支援を今後ともよろしくお願いいたします。
こどもあそびば

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