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るうてる2025年

るうてる2025年5月号

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「主に招かれた朝食」

日本福音ルーテル久留米教会・田主丸教会・二日市教会牧師 大和友子

「イエスは、「さあ、来て、朝の朝食をしなさい」と言われた。弟子たちはだれも、「あなたはどなたですか」と問いただそうとはしなかった。主であることを知っていたからである。」(ヨハネによる福音書21・12)

 小学校に勤務していたとき、毎朝、正門で子どもたちを迎えていました。学校が156段の階段の上にありましたので、子どもたちは息を切らして上ってきます。「おはよう」の一言から子どもたちの様子を観察します。階段を駆け上り笑顔いっぱいの「おはよう」、心配そうな不安な「おはよう」、「おはよう」の一言から子どもたちの心身の状態を感じ取ります。
 教室に入っても覇気がなく、集中できない児童に「朝ご飯食べてきた?」と尋ねると、食べていなかったり、食べて来ても果物と飲み物、あるいはお菓子類だったり、孤食だったりすることが多くありました。朝食を欠食する者の割合は、男女とも、20歳代が最も多く、男性で37・0%、女性で23・5%、高校を卒業する18歳〜19歳で、急増し、20歳〜30歳代の一人世代では、朝食の欠食率が特に高いそうです。(厚生労働省「国民健康・栄養調査」2024年)
 ヨハネ21章は、復活されたイエスが弟子たちに姿を現された三回目の記録です。21章は、1章から20章までのヨハネ福音書が完成された後で、補遺として付け加えられた部分だと考えられていますが、ガリラヤ湖でイエスに出会い、仕事も家族も残してイエスに従った弟子たちが再び復活されたイエスに同じ場所で出会うというのは重要な意味を持ちます。
 弟子たちは、復活されたイエスに出会い、罪赦され、「父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす」(ヨハネ20・21)と約束されました。
しかしローマの兵卒に捕らわれるかもしれない、裏切り、見捨て逃げてしまった自分たちが、本当に赦されるのだろうか不安の中で過ごしていました。そしてイエスの弟子として仕えた日々を忘れたかのように、再びガリラヤ湖に戻り漁師を始めようとします。
「シモン・ペトロが「わたしは漁に行く」と言うと、」(ヨハネ21・3)他の弟子たちも「わたしたちも一緒に行こう」と言って舟に乗り込みます。決して前向きな転職ではなく、生きていくために漁師に戻るかという消極的な転職です。みんなで一緒にいれば何とかなるだろうという気持ちだったことでしょう。しかし転職はうまくいかず、夜通し舟を出して漁を続け、明け方になっても魚は一匹も捕れませんでした。そのとき「子たちよ、何か食べる物があるか」(ヨハネ21・5)と尋ねる者がいました。そのときまだ弟子たちはこの人がイエスであることに気づいていませんでした。漁師としてのキャリアも知識も豊富な自分たちが夜通し漁をしても一匹も捕れなかったのに、「舟の右側に網を打ちなさい。そうすればとれるはずだ」(ヨハネ21・6)と言われます。その通りに網を打ってみると、網を引きあげることができないほどの魚が捕れます。ここで弟子たちは初めてこの人が主であることに気づくのです。
 主であることが分かると、ペトロは上着をまとい湖に飛びこみ、岸辺におられるイエスに走り寄ります。他の弟子たちは魚のかかった網を引いて舟で陸に戻っていきます。陸にあがってみると、炭火がおこしてあり、魚がのせてあり、パンもあり、朝食の準備がされていました。そしてイエスはパンを取って弟子たちに与え、魚も同じようにして分け与えました。主の朝食に招かれた弟子たちは、どこまでもついていくと約束していながらイエスを裏切り、見捨てて逃げ去った自分たちの罪が赦されたこと、漁師として生きていこうとした弱さを自覚し、恵みにあふれた朝食を主イエスと共にし、再び立ち上がります。朝食を欠食する人が増えている時代ですが、朝食こそが1日の活力の源となり、学力、体力も朝食欠食が大きく影響することは明らかになっています。主に招かれた朝食は、再び立ち上がる人生の活力になることは言うまでもありません。聖餐を受けるたびに私たちは、主の食卓に招かれていることを再体験し、聖霊の導きによって力づけられます。全ての人が主の食卓に招かれていることに感謝し、共に主の食卓にあずかる喜びを多くの人と分かち合ってまいりましょう。

エッセイ「命のことば」 伊藤早奈

(62)「一人一人に」

「主は常にあなたを導き/焼けつく地であなたの渇きをいやし/骨に力を与えてくださる。/あなたは潤された園、水の涸れない泉となる。」イザヤ書58・11

 「何か庭にまいた?」…えっ桜かしら?でもまだ2月だから桜は咲いてないよな。庭の奥の見えにくいところに大きな白い梅の木があります。それから散った花びらなのかしら。庭の土の上をバーッと白いものが覆っていました。
 「春だっ」て思わずうれしくなりました。なぜって白い梅の花が木に咲いている状態を私は見に行くことができなかったのですが、見たくてしょうがなかったからです。花が散ってしまったと思うと、木を見上げるたびに寂しくなるかもしれませんが、散った花びらは土の上に春を運んできてくれて、上を見ることが少ない人たちにも春が来ていることを教えてくれているのだと思うとなんだかうれしくなります。
 一つのメッセージを受け取るといろいろなものやことが季節や存在を自分にも語ってくれていることに気づきます。少しずつ延びている昼間の時間。光の色。風の吹きかたや気温の変化。鳥のさえずる声や聞こえて来るいろいろな音。一つ一つのことをどう受け取るかは一人一人の受け取り方だし、その一つ一つは、一人一人の真実です。それを一番わかってくださるのは一人一人にメッセージをくださる神様です。
 私が、庭に散っている梅の花びらを見て「春だ」と思っても、誰も共感できないかもしれません。でもね「そうだね」とそのまま受け入れてくださる方がそばにいてあなたにメッセージを贈ってくださっています。

「全国の教会・施設から」㉔

日本福音ルーテル大岡山教会
松岡俊一郎(日本福音ルーテル大岡山教会、仙台教会、湯河原教会牧師)

 大岡山教会は1934年に宣教を開始し、2024年で宣教90周年を迎えました。また、併設されている大岡山幼稚園は1940年に開園し、84年を迎えています。ともにフィンランドの教会の支えと宣教師の先生方の働きによって支えられてきました。
 大岡山教会の特徴は何といっても信徒の活躍の機会が多くあり、信徒の皆さんが積極的に賜物を用いて活動しているところです。礼拝の奉仕も盛んで、聖書朗読はもちろん、司式は毎日曜日(聖餐式は牧師)、信徒説教も月1回行われています。これは牧師がいないための措置ではなく、牧師がいても奉仕しています。このため牧師が他の教会を奉仕する主日でも信徒礼拝として問題なく礼拝が守られています。ウイークデーも教会の利用者が多く、教会員、幼稚園保護者がさまざまな活動をしています。大岡山は東急電鉄が2本交差する大変便利で人気のある住宅地にあり、信徒の皆さんも徒歩や自転車で来られるほどのご近所の方が多くいらっしゃいます。各世代に幼稚園の卒園生がおられ、幼稚園と教会の連携と結びつきがうまくいっています。幼稚園と教会学校との共同のプログラムの行事も多く、イースター親子礼拝、ペンテコステガーデンパーティ、小児祝福礼拝、アドベント点灯式、クリスマスイブ礼拝も子供向けと大人向けの2回行われるなど盛りだくさんです。
 幼稚園は早くから統合保育が行われ、障害を持つお子さんも多く受け入れています。また教諭にはクリスチャンが多く約半数が洗礼を受けており、数年ごとに洗礼を受ける教諭がいます。また教会との関係もよく、それぞれ独立採算で、園長は牧師以外の教諭がなることが伝統になっています。近年では就園前の小さいお子さんのクラス、預かり保育も大変多く利用されています。毎日の各クラスでの礼拝、月に1度の全体礼拝を中心としたキリスト教保育に力点を置いています。

ひかり幼児園
新美美穂(ひかり幼児園前園長)

 ひかり幼児園は、今年創立77年を迎えました。熊本地震を乗り越え、園舎を建て替えて7年、日々の生活も行事も工夫をしながら歩んでいます。広い園庭、小さいながらも畑があり、東日本大震災を教訓にした非常食体験、ロアッソ熊本と業務提携したロアッソサッカー教室も特徴とする保育所です。職員不足や少子化の進行から、定員を少し縮小し、これまで先達たちが大切にしてきた保育観をベースに、時代のニーズにあわせた情報発信や地域との共生を織り交ぜながら保育を続けています。
 本園は、モード・パウラス先生が創立した慈愛園の関連施設です。歴史的な背景から、園の行事や職員のための聖書の学びは、神水教会の牧師が担ってこられました。毎年2月9日の創立記念日を牧師と共に感謝の礼拝をささげ、2月末にはひかり幼児園とその姉妹園である愛光幼児園の年長児が神水教会とパウラス記念館を訪問する恒例の行事も行ってきました。しかし、本園と愛光幼児園は地理的には大江教会の近くにあります。地域に根差した宣教方策として、また、牧師の働きの負担軽減も相まって、この4月からは、神水教会との関係も大切にしつつ、ひかり幼児園と愛光幼児園のチャプレンには大江教会の牧師が遣わされることになりました。
 本園もクリスチャンワーカーがおらず、モード・パウラス先生の心を心とする理念の継承も難しくなりました。そんな中、潮谷愛一先生の発案で、モード・パウラス先生が心に刻み実践してこられた聖書の言葉が記された額と、それをカード仕立てにしたものが慈愛園全施設の全職員に配布されました。『謙遜・献身・愛をもって仕えます』と宣言するには、働き方改革などから、惜しまず働くことの意識が変わってきた今日であっても、始業前にパウラス先生の思いを胸に刻んで保育にいそしむことで、よりよい保育の実践ができるのではないかと思っています。

改・宣教室から

小泉基(日本福音ルーテル札幌教会牧師・宣教室長)・たかみねみきこ、こと片山幹子(日本福音ルーテル賀茂川教会信徒)

小泉 こんにちは。たかみねみきこさんは、イラストレーターとしての賜物を生かして、宣教に取り組んでおられますね。どういう経緯で今のお働きをはじめられたのですか。
たかみね 教会学校向けのカードを作っていた会社が高齢のため2社続けて廃業することになり、私がイラストを描いていることを知っていた地元のキリスト教書店の方からお声掛けいただいたのです。それで元保育士という経験も活かしながら、2009年から、イラスト工房フラワーポットとしてカードなどを作成するようになりました。全国のキリスト教書店などで取り扱っていただいています。
小泉 フラワーポットでは、どのようなイラストを扱っておられるのですか?
たかみね 主に教会学校や、キリスト教保育の園など、子どもさん向けのカードの扱いが多いです。よく出るのは、お花や動物などをあしらった、クリスマスやイースター、誕生日カードなどですね。昨年は銀座の教文館でも原画展を開催していただきましたし、ルーテル教会では2024年より聖書日課の表紙イラストを担当させていただいています。
小泉 イラストを描かれるなかで、大切にしておられることがおありですか。
たかみね 物のあふれるこの世の中では、小さなカードはあっという間に捨てられてしまいます。けれど『かわいいな捨てるのが惜しいな』と思ってもらえれば、そっとどこかにしまわれて、いつか誰かのもとにカードに書かれたメッセージを届けてくれるのでは、という気持ちでイラストを描いています。
小泉 今日はありがとうございました。最後にたかみねさんとキリスト教との出会いを教えていだたけますか。また、大切にしておられる聖書の言葉がありましたら教えてください。
たかみね 両親ともにクリスチャンなので、子どものころから教会に通っていました。大切にしているみ言葉は、『今や、恵みの時、今こそ、救いの日。』(コリントの信徒への手紙二6・2b)です。

第25回こどもキャンプ開催!

池谷考史(日本福音ルーテル博多教会・福岡西教会・大牟田教会牧師・TNG委員会子ども部門長)

 2025年8月5日(火)〜7日(木)、日本福音ルーテル東京教会を会場に、第25回ルーテルこどもキャンプが開催されます。小学5年生から中学3年生まで広く参加できます。今回は、南太平洋の15の島々からなる美しい国、クック諸島がテーマ国です。キャンプでは、仲間と楽しくクック諸島について学び、神さまがこの世界とわたしたちを素晴らしいものとして造られたことを知りたいと思います。全国の教会の友達もできることでしょう。
 申し込みは二次元コードからお願いします。締め切りは6月末日です。参加費は一人1万2千円。合わせて、キャンプを支えるリーダーも募集しています。
テーマ:「キアオラナ!クック諸島〜わたしはすばらしいものとしてつくられた〜」

主題聖句:「あなたに感謝します。私は畏れ多いほどに驚くべきものに造り上げられた。あなたの業は不思議。私の魂はそれをよく知っている。」(詩編139編14節)

世界の教会の声

浅野直樹Sr.(日本福音ルーテル市ヶ谷教会牧師・世界宣教主事)

義認の教理に関する共同宣言」(JDDJ)25周年

 ストラスブールのLWFエキュメニカル研究所で「義認の教理に関する共同宣言」(JDDJ)25周年記念会が催され、共同宣言に署名した5教派の代表者が集まりました。1990年代にカトリックとルーテルの神学者によって共同宣言の執筆が行われた場所がこの研究所でした。そして1999年の10月31日、宗教改革記念日にアウクスブルクにてLWFとカトリック教会の代表者らが歴史的文書に署名しました。
 記念会にはJDDJの署名に賛同したメソジスト、アングリカン・チャーチ、改革派教会の代表者も出席し、講演や共同研究とディスカッションを通して義認の教理の今日的意義が話し合われました。「JDDJは、単に教義に関する声明というだけでなく、信仰告白であり、ひとつのアクションとしての決意表明、そして祈りなのです。」会議に出「義認の教理に関する共同宣言」(JDDJ)25周年席したLWFのランゲ教授はこのように語っています。

JDDJ起草者の一人で研究所元所長のディータ氏が、宣言文中の特定の言葉にまつわる議論をいくつか紹介、調印に至るまでのプロセスに触れ、出席者たちは教会政治の影響力の大きさに気づき、エキュメニズムの進展(あるいはその欠如)が、個人的決断に左右され得ることを学びました。

 ディスカッションは、JDDJが2教会間の合意から多数教会へと広がった点についても集中し、「教会間のコミュニオン(キリストにある共同体)」の意義について議論が交わされました。メソジスト教会の名誉監督クライバー氏は、署名した教会にとって義認に関する聖書的根拠が依然として課題となっていることを指摘しました。

 カトリックの神学者マイヤー教授は、言語の違いや教派によって表現の仕方が異なるといった教会論的相違についての議論を呼びかけました。違いを相関的に扱うことができるか、違いが手に負えないほど膨れ上がったらどうなるか、JDDJのような合意文書から差別化が生じたとしたら、牧会現場への影響は、などといった問いが投げかけられました。

 参加者たちは今後を見据えて、多文化的な脈絡で福音宣教をしていく際の課題と恩恵といった、義認の教理の現代との関連性についても振り返り、宣言文の翻訳は字義通りであるべきか、それとも異なった文化的背景を踏まえたものにすべきかといった議論も行われました。

 「コミュニオンが強まり教会論的ポテンシャルが大きくなることを考えると、大変な作業ではありますが、やりがいがあります。意見交換することで相互理解と信頼が深まります。真理を探る共同作業はお互いがあってこそできること。そこから、この旅路を共に歩むことの意義が見えてきます。」(ランゲ教授)

https://lutheranworld.org/news/joint-declaration-doctrine-justification-25-years

東海教区総会報告

渡邉克博(日本福音ルーテル浜松教会・新霊山教会牧師・東海教区書記)

 2025年3月20日に名古屋めぐみ教会にて東海教区の教区総会を開催しました。
 教区の主題「神に献げて生きる」、主題聖句「自分の体を神に喜ばれる聖なる生けるいけにえとして献げなさい。これこそ、あなたがたのなすべき礼拝です。」(ローマの信徒への手紙12・1b)を掲げた教区宣教方策が承認されました。
 東海教区では現在21教会25礼拝所と諸施設を10名の現役の教職で働きを担っていますが、このままの状態が続けば近い将来8名になる時がやってきて、一人で少なくとも3礼拝所以上を担当するのが標準的になります。さらに、毎週対面で牧師の礼拝にあずかることができない教会も徐々に増えてきます。そのような時代にあって礼拝を大切に考え、礼拝の中でインターネット配信でも説教を視聴できる環境作りのためのICT(情報通信技術)補助金が今回の総会で承認されています。
 教区会計の状況も大きく変化しています。これまで大きな支出となっていた「福祉村募金」(デンマーク牧場福祉会設立のために用いた資金の返済募金)は2023年末で完済し、教区会計に経済的にゆとりが生まれ、人件費共同拠出金制度から特別協力金制度に完全移行をしています。
福祉村構想については、デンマーク牧場福祉会に主な働きを委ねつつも、ふくしむらフォーラムを通して教区も関わっていく体制を模索しています。東海教区はまさに歴史の転換点に立っていることになります。
 そのような中にあって、今年からは教区宣教部が運営主体となって東海信徒フォーラムを2年ごとに開催することとなり、今年は初回の開催です。片柳弘史神父に講演を頂き、コンサートも予定されています。今年は特に東海教区の宣教の基の大部分を築いたELCの宣教75周年の年で記念品の配布も予定しています。
 今回の教区総会では他教区でも導入しているWEBベースの投票システムのワークショップを行いました。来年の選挙から東海教区でも活用し、総会運営の円滑化を目指します。

東教区総会報告

佐藤和宏(日本福音ルーテル藤が丘教会・小田原教会牧師・東教区副教区長)

 東教区定期総会は、3月20日に開催されました。東教区では選挙がある年は対面で、選挙がない年はウェブでの開催としています。ちなみに11月に全役員協議会、2月に牧師代議員会がありますが、対面総会を迎える際はそれらをウェブで、ウェブ総会を迎える際はそれを対面で開催し、バランスをとっています。今回の総会はウェブ開催の年でした。ウェブ会議にもずいぶん多くの方が慣れて来たように思いますが、対面の場合と違う負担も大きいので、会期を午前中のみと短縮しています。
 総会の礼拝は、3月に定年を迎えられた、平岡仁子牧師(開会)と中島康文牧師(閉会)が担当されました。報告事項は、教区長報告から始まって諸報告がそれぞれ承認され、議案は予算案のみでした。
 前回の総会にて2026年度までのロードマップが承認されましたが、それによると今年は、教区宣教方策を具体化していく1年と位置づけられています。しかし教区が一方的に策定し提案を目指すのではなく、地区を中心にして広く教職、信徒の皆さんと作り上げていくことを意識しています。そのために、今回「意見交換」の時間を設け、次の2点に触れました。
①「新しい教会を目指して」の資料(今後考えられる教会のあり方を一覧にしたもの。それぞれメリットデメリットを書き込みつつ、自分たちが目指すところを意識的に考えるきっかけ)を提示し、今後開かれる地区長会で具体的に詰め、各地区各教会でも取り上げてほしいこと。
②松本義宣教区長より、総会の隔年開催の可能性について提議されました。理由としては、すでに兼牧体制が始まっているが、今後さらに教職の負担が大きくなることがあげられました。議場からは「信徒も共に担うことで、教職の負担を軽減することが出来るのではないか」との声もあがりました。
 首都圏でも兼牧体制の必要に迫られています。より良いあり方を模索し、ルーテル教会が一つの教会であることを改めて覚える機会としたいと考えています。どうぞ私たちのために、お祈りいただければ大変うれしく思います。

2025年度日本福音ルーテル教会教職授任按手式報告

竹田大地(日本福音ルーテル天王寺教会牧師・広報室長)

 3月2日(日)午後7時から日本福音ルーテル教会宣教百年記念東京会堂で「2025年度日本福音ルーテル教会教職授任按手式」が執り行われた。
 本年は、大和友子氏が按手を受けられた。
 松本義宣教師会会長・東教区長の司式、高橋のぞみさん(日本福音ルーテル東京教会信徒)が奏楽、永吉秀人総会議長の説教であった。
 按手授任の際、大和友子氏は滝田浩之副議長、各教区長より頭に手を置かれ、祝福の言葉を受けられた。その後に、ストールを派遣先教区の白川道生九州教区長より肩に掛けられ、大和友子牧師が誕生した。
 礼拝後には、江本真理NRK議長からのお祝いのあいさつがされた。
 多くの人が集い、大和友子牧師誕生を共に祝い、これからの働きに神の守りと導きがあるようにと祈り合わせた。
 礼拝後の茶話会では、松本義宣教師会会長、谷口和恵全国女性会連盟会長、⻆本浩九州地域教師会会長、宮本新神学校校長から歓迎のあいさつがされ、大和友子牧師に向けて励ましの言葉が述べられた。最後に、大和友子牧師からあいさつがあり、改めて牧師として召され、福音宣教のために神と人とに仕えていく固い決意が述べられ、盛会の内に一連のプログラムは閉じられた。

大和友子(日本福音ルーテル久留米教会・田主丸教会・二日市教会牧師)

 4年間の神学校での学びを終えて、4月から久留米教会、田主丸教会、二日市教会の3つの教会に遣わされました。私は、長年キリスト教学校の小学校教諭として勤務し、定年退職後に神学校で学び始めました。常識では考えられないような第2の人生のスタートで、神学校での4年間も、決して順風満帆な日々ではありませんでした。しかし多くの教会の皆さま、神学校の先生方、友人の祈りと励まし、そして何よりも主に導かれて、今、ここに立ち、福音宣教の業を始めるこ
とができました。
 私の勤務していた学校は、1880年、アメリカ・メソジスト・プロテスタント教会の宣教師、ミス・ブリテンによって創立されました。ミス・ブリテンは、アフリカで2年間、インドで17年間の宣教活動を終えて、ニューヨークの病院で病棟管理に従事していていました。しかし日本宣教のために渡航準備をしていた親友が急死したことにより、「わたしがここにおります。わたしを遣わしてください」という召命を受け、来日されました。
そのとき彼女は既に53歳でした。病弱だったこともあり、日本で働かれた年数は4年間でしたが、まかれた種は、枯れることなく、学校は145年の歴史を刻んでいます。ミス・ブリテンは私にとってのロールモデルということができます。
 慣れない土地で、しかも新任教職としてできることは限られているかもしれませんが、主の召しに応えて歴史ある教会の伝統を大切に、主と教会に仕えていきたいと思います。

第4回リーダー研修キャンプ開催のお知らせ

多田哲(日本福音ルーテル合志教会・水俣教会牧師・TNG委員会ユース部門

 2025年9月1日(月)〜4日(木)、沖縄にて「第4回リーダー研修キャンプ」を開催いたします。
 18歳(学生以上)〜35歳までの方が参加できます。
 沖縄の過去・現在・将来を見つめ、聖書に学び、キリスト者としての在り方を共に黙想します。
 沖縄戦の戦跡、辺野古基地建設予定地ゲート前、伊江島にある「わびあいの里」を訪れるなどいたします。
 現地で長く働いている方の生の声を聞く貴重な機会もあります。今年は、わびあいの里理事長の謝花悦子さん、「強姦救援センター・沖縄(REICO)」代表、「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表などを務めている高里鈴代さんにお話ししていただく予定です。
 申し込みは、各教会に案内を送っている要項をご覧ください。参加費は1万円です。昨年同様に社会委員会との共催となります。35歳を超えた一般の方の参加費は3万5千円とさせていただき、青年の参加費軽減に用いさせていただきます。
 参加申し込み締め切りは、6月末日です。

北海道特別教区総会報告
「北海道特別教区第45回定期総会に出席して」

有働あけみ(日本福音ルーテル帯広教会代議員)

 2025年3月20日木曜日春分の日、一刻雪が舞う時もありました。開始30分前、札幌教会新札幌礼拝堂に道内各地の教区正議員が集まりました。
私たちは前日から移動してきていましたが、函館から日帰りで出席の方々に「何時に出発でしたか?」とお聞きすると「今朝5時半に出てきました」と聞き、労をねぎらうとともに、北海道は広いなと、改めて感じました。広域兼牧体制が3年目を迎えますが、この広い地域を牧師3名で担い、4教会(6礼拝堂)で休むことなく礼拝を行うことができていることに感謝し、あらためて神様の働きはすごいなぁと思いました。
 教区長の小泉牧師の開会礼拝では、2025年度の主題「礼拝に生き、礼拝に活かされるわたしたち。」について主題聖句の「息あるものはこぞって主を賛美せよ。ハレルヤ。」詩編150・6)を用いてお話しくださいました。数年前の決断によって現状があるのですが、「これからも主日礼拝を中心に据え、宣教の力を落とさないよう、各地の教会なりにできることを続けていきましょう」と話されました。
 財務報告では、広域兼牧体制に入ったことにより牧師給は教区として自給を達成できているが、全国からの支援(北海道特別教区自立支援会計)によって広域兼牧が運営されていることの説明がありました。全国の皆さんの祈りと支援にあらためて感謝の思いです。
 道内唯一の関連施設であるめばえ幼稚園からは退任される竹原真理子園長より「神様の愛を伝える幼稚園として100年まで存続できるように覚えて知って頂きたい」とのアピールもあり印象に残りました。
 伝道部、教育部、社会奉仕部の活動報告などは、帯広教会の代議員になり総会に出席するようになって初めて知ることもあり、戸惑うこともありますが、わたしなりに努めたいと思います。
 総会資料を読み、対面で出席することで、北海道特別教区として共に励まし合い、祈り合い、支え合う群れであることを確認し合うことができました。

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