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るうてる2022年

るうてる2022年06月号

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 「友と呼ぶ―信仰の継承」

日本福音ルーテル箱崎教会・聖ペテロ教会・二日市教会・長崎教会 牧師 和田憲明

「わたしはあなたがたを友と呼ぶ。父から聞いたことをすべてあなたがたに知らせたからである。」
ヨハネによる福音書15章15節

 今年の聖霊降臨(ペンテコステ)は、どんな風が吹くのでしょうか。世界を取り巻く環境や身近なところにおいて、疫病も戦渦もなくしてほしいと願っている人は多くおられます。そのなかで、私たちは聖霊の息吹きに希望をいだいています。
 この数ヶ月、私たちの教会や幼稚園・保育園において「キリエ・エレイソン/主よ、あわれみを」(『こどもさんびか改訂版』27番/曲・ウクライナ民謡)の短い賛美をくり返し歌い続けています。そして、東方正教会でもちいるイコン(挿絵参照)も飾り、心に留めています。子どもたちから「このクリクリお目々のふたりはだあれ?」と聞かれます。「イエスさま(右)とメナスさん(左)だよ」と話しました…。

 このイコンに私が出会ったのは、以前ショートターム研修(ELCA主催)に単身で訪れたフランスのテゼ共同体でした。創立者ブラザー・ロジェ(1915〜2005)が特に心にかけていたイコンで「和解の教会」の礼拝堂に飾られています。学びのなかで気づかされたことの一つは「信仰の継承」です。ロジェに大きな影響を与えたのは、第一次世界大戦中、難民を次々と家に迎え入れていた祖母の生き方でした。彼女はキリスト者がいくつもの派に分かれて武器をとり戦っていることを憂い、キリスト者だけでも和解することが出来れば次の戦争を防げるのではないか、と思い描きます。プロテスタントに立脚しながらカトリックの人々と聖書を学び、そして改革派の牧師のロジェの父も祈りを共にしました。ロジェは、超教派(エキュメニカル)の修道会の構想をいだきます。彼もまた第二次世界対戦で戦禍を逃れてきた人々を迎え入れ、その中のロシア難民との出会いで霊性に強い関心をよせます。これらのテゼのビジョンに共鳴したのが東方正教会のコンスタンティノープル総主教アテナゴラスで、正教会内にもう一つのテゼ共同体を創立したいと願い出ました。ロジェは本来の一致への歩みとは異なることを丁寧に説明し、修道士の派遣を要請して創造的な交流を深めました。この流れなかでロシア正教会のひとりの若い神学生がテゼを訪問します。後に彼は神学校の校長、府主教となり、この人物、キリル府主教はテゼに関心を向け再訪し、ロジェの後のテゼを継いだブラザー・アロイス現院長もモスクワに招待します。2009年彼はモスクワ総主教となり、エキュメニズムに関しての展望、ロシアの青年たちへの司牧などについて会合を開きました。今この時に、もう一度それぞれに受け継がれた互いの信仰が交わるよう願い求めたいのです。

 挿し絵のイコンは「友情のイコン」(Icon of friendship)と称されます。子どもたちには…メナスさんは、ローマ帝国の軍人だったのだけれど、ある時国からイエスさまを信じてはダメと言われて立ち止まった。武 器を捨て軍隊をやめんだ。その後、捕らえられてしまったけど、メナスさんの横にはイエスさまがおられる。よく見ればイエスさまの右手がメナスさんの肩を抱いている。そしてイコンの裏には、ロシア語(キリル文字)で「わたしはあなたがたを友と呼ぶ。父から聞いたことをすべてあなたがたに知らせたからである」と聖句が書かれているよ。イエスさまは、世界のお友だちとも肩を組み「互いに愛し合いなさい」(ヨハネ15・17)と言われたいのだね。いっしょに前を見つめながら…と伝えています(詳細はYouTube「ルーテル箱崎教会」こどもへのおはなし)。

 眼前の戦乱に、いち早く動いたテゼ共同体は宿を構えウクライナからスペイン、ポルトガルなどへ逃れていく人たちをコーディネートしています。テゼに関係の深いロシアにいる友は和平を望む声を総主教に働きかけています。またロシアの青年に対して積極的にテゼを訪れてほしいと呼びかけています。表立って目に映るニュースになりませんが、無力ではありません。聖霊の力は、かつて和解の歴史をつくり、今なお私たちを突き動かします。聖霊降臨(ペンテコステ)を迎える時、主は友と呼ぶ私たちに、余すことなくすべて御心を知らせるのです。

エッセイ「命のことば」 伊藤早奈

㉗「主われを愛す」

「ひととき、お怒りになっても/命を得させることを御旨としてくださる。/泣きながら夜を過ごす人にも/喜びの歌と共に朝を迎えさせてくださる。」(詩編30・6)

「先生おはようございます。一緒に歌いましょう」とその方は私が施設に来るのをいつもいつも楽譜を手にして待っておられました。そして必ず歌うのは私がコピーした賛美歌の「主われを愛す」でした。その方は100歳近い方で、幼い頃毎週のように宣教師が行う集会で歌っておられたそうです。本当は宣教師の方から配られる手作りの美味しいお菓子が目的だったと笑っていました。
 まさか今になってこの歌を歌えるなんてと喜ばれていました。
 あっそうかいつも一緒だもんね。と不思議なくらいわかったような気がしました。
 その方がクリスチャンであったのかそうではなかったのかはわかりません。ただわかっているのはその方がクリスチャンであってもなくても神様が寄り添ってその方と共に歩まれて今があることです。
 「まさか今」ということがあります。神様があなたを驚かせたいのではなくて神様はただあなたといつも共に歩まれてくださいます。あなたがそれを忘れているだけです。「あっ神様おられたんですね。」とあなたが神様を思い出す時いつも神様は「あなたを待っている。お帰りなさい。」と喜んでくださいます。

議長室から 大柴譲治

「メタ認知」と「メタノイア」

「命を救うために、神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのです。」(創世記45・5b)

 2月20日(日)の第一日課は創世記45章でした。兄たちの嫉妬により奴隷としてエジプトに売られたヨセフ。彼は天賦の夢解き能力を発揮しその宰相にまで登りつめてゆく。長引く飢饉の中で食料を求め、父ヤコブによってエジプトに派遣された兄たち。彼らとの再会を通してそこに和解がもたらされてゆくというヨセフ物語の白眉とも呼べる場面でした。
 ヨセフは自分が奴隷として売られたことの中に神の御心があるとは思いもしなかったことでしょう。期せずして兄たちに再会した時、彼は過去を思い出して怒りを抑えられなかったのではないかと思います(創42・7)。しかしヨセフは3度涙を流すのです(創42・24、43・30、45・2)。その3度の涙によってヨセフの目からはウロコが落ち、それまでは曇って見えなかった神の御心がハッキリ見えるようになる。神ご自身がこのために自分をエジプトに派遣されたのだと。
 自己を超えた視点から自身を見つめることを「メタ認知」と呼びます。鏡に写る姿が自分であることを知るにはこのメタ認知能力が必要となります。チンパンジーやオランウータン、イルカやヒトなど限られた動物にその能力は備えられているそうですが、イヌやネコなどはその力を持たないために鏡に写った自分を別の個体としか認識できないと言われます。人間でもある年齢にならなければそれが自分の姿だとは分かりません。ちなみに「メタ」という語はギリシャ語で「超越」を意味します。例えば「メタフィジクス」とは身体性や物質性を超えるところから「形而上学」と日本語に訳されます。
 ヨセフは兄たちとの再会を通して神が自分に与えた使命を知ることができました。それは神の備えられた「和解の時」でもありました。そこに至るために彼は辛く長いトンネルを通らなければならなかった。日毎のCOVID-19やウクライナ危機の報道に接し私たちは断腸の思いを持ちます。一日も早く地上に平和と和解が回復されるよう切に祈ります。
 私たちにとって大切な瞬間は常に水の中から始まります。母の胎内では羊水において、罪からの解放は悔い改めの涙において、新しい人生は主の洗礼において。神の御心に心の目が開かれるというメタ認知の視点は私の中では「メタノイア」(悔い改め)と重なります。ギリシャ語で「ノエオー」は「認識」を意味するからです。「認識を超越する」という神の視点によって私たちは涙と共に新たにされてゆく。「涙と共に種を蒔く人は/喜びの歌と共に刈り入れる。」(詩126・5)のです。

「教会讃美歌 増補」 解説

㉔創作賛美歌解説4
友枝久美子
(二日市教会)

増補27番「イエスさま 名前」

 以前所属していた教会の日曜学校の生徒さん(当時は幼稚園児で、ともえさんというお名前でした)のために作った曲です。悲しいとき、淋しいとき、イエス様のお名前を呼んでみたくなることがあります。お名前を呼ぶだけで、イエス様がいつも一緒にいてくださることが感じられて、心が温かくなります。つらいことも、楽しいことも、全部イエス様にお話ししたくなります。そんな気持ちを歌にしてみました。

増補32番「苦しみも重荷も」
 

 この曲は、最初、全く違う曲でした。讃美歌委員会の方から、歌詞の前半と後半を入れ替えて、それに合った曲にしてください、とのお知らせをいただき、作った曲です。思い切って、歌詞に寄り添って、短調から長調へと移る曲にしてみました。もとの曲は、長調の元気の良い曲で、曲想はとても気に入っているのですが、もともとの歌詞がなくなってしまったので、その曲には新しく、詩編の言葉をアレンジして歌詞とし、「詩編歌」として再生を試みました。

増補35番「イエス様 わたしを見つめてください」

  以前所属していた教会で、同じオルガニストとしてお世話になった方のために作った曲です。その方の柔らかい、優しい雰囲気を、3拍子の曲で表現してみました。その方が、当時悩んでおられたことを知って、少しでも慰めになりますように、という願いを込めて作りました。どんな苦しい状況のもとでも、イエス様に見つめていただいているということが、生きていく力になるのではないか、と思います。

世界の教会の声

浅野直樹Sr(世界宣教主事 市ヶ谷教会・スオミ教会牧師)

LWFのウクライナ難民支援

 ロシアがウクライナに侵攻して以来、LWF(ルーテル世界連盟)は現地で救援活動をするLWF加盟教会をサポートするためチームを結成し、支援態勢を強化しています。近隣諸国の5教会との協議を受けて、まずはポーランドのワルシャワに事務局を設け、ゆくゆくはウクライナに活動拠点を設立することを目指しています。
 チームのリーダーはジェセフ・ファトナーさん。これまでヨルダン、南スーダン、チャド、中央アフリカといった国々でLWF緊急支援チームを率いてきました。もう1人がLWFの教会プログラム担当のレベッカ・マイスナーさん。彼女は最近ルーマニア、スロバキア、ハンガリー、ポーランドを訪れて現地の状況を調査しました。今回は2人の声を取り上げます。

「活動資源があまりないにもかかわらずハンガリーの教会がしていることに驚いています。難民シェルターや食糧支援、輸送、通訳、医療サポートなど、やれることをとにかくやろうという熱意、意気込み、ひたむきさがすごいですよ。教会も手一杯です。それでも困っている人を助けねばと頑張る人たちを後押しする聖霊の働きには目を見張るものがあります。」(ファトナー)

「UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の推定によると、490万人以上がウクライナから避難しており、700万人が戦闘によって現地に取り残されたままとのこと。今後のLWFの役割としては、国ごとに活動内容に地域差があるなか、既に前線で活動中の教会やディアコニア団体をどのように支援するかが重要な鍵になります。」(ファトナー)

「2月24日ロシアがウクライナに侵攻して難民が発生、そこから救援活動も始まりましたが、今は活動にあたる教会の方々への牧会的ケアとサポートも必要です。」「現地の教会は、助けを必要とする隣り人たちと思いを一つに、神様の召しに応えてもてなそうとしていらっしゃいます。ただ現状は複雑でニードが絶えず変化し続けているので、そうした変化に適切に対処して支援できるよう態勢を整えることが私たちの役割です。」(マイスナー)

 マイスナーさんが強調するもうひとつのこと、それは支援する人たちが中立性を保てるのか、対立に加担することなく人道的視点から応答するにはどのようにすればよいのか、という難しい課題です。「ヨーロッパでは今ラディカルな変化が起きていて、これまでは確かだとされていた平和と戦争に対する考え方や対応ですが、本当にこれでいいのかが問われています。殊に教会はそうした問いへの神学的な検討が求められています。」(マイスナー)

 

 ※詳細についてはWEBサイトをご参考ください。

エキュメニカルな交わりから

 

③アジア・キリスト教協議会(CCA)の現状と課題
藤原佐和子(仙台教会・NCC書記)

 

 大学院生の頃、アジアのフェミニスト神学運動史についての博士論文を執筆するために、タイ北部のチェンマイで研究生活を送っていたことがあります。資料収集のために訪れていたのが、アジア・キリスト教協議会(CCA)の資料室でした。当時の私はエキュメニカル運動についてよく知りませんでしたが、アジアの女性神学者たちについて調査する中で、彼女たちの多くがこの運動に深くかかわっていることに気付かされました。このような経緯から、私は2015年からプログラム委員、2018年から常議員としてCCAの働きにかかわり、アジア各地を旅し、新しく出会った人々から学ぶ貴重な機会を与えられました。「旅すること」と「出会うこと」は、エキュメニカル運動の伝統になっているという実感があります。
 歴史を振り返ってみると、エキュメニカル運動の出発点である1910年の世界宣教会議で議長を務めたジョン・R・モットという信徒のエキュメニカルリーダーが、1912年から広範囲にわたり旅をしたのは、他ならぬアジア地域でした。CCAの歴史は、1957年、前身である東アジア・キリスト教協議会(EACC)がインドネシアのプラパトで行った設立準備総会にまで遡ります。1959年、EACCがマレーシアのクアラルンプールにおいて正式に設立されたのは、ペンテコステの前の主日でした。これを記念してCCAは同じ主日を「アジア祈祷日」(Asia Sunday)と呼び、大切にしています。毎年新しく作られる式文は、日本語を含む様々な言語に翻訳されています。本稿執筆時点で、2022年の「アジア祈祷日」(5月29日)の式文はまだ発表されていませんが、過去2年のテーマは「神よ、弱いわたしたちを癒してください」(エレミヤ17・14)、「わたしはあなたをいやす主である」(出エジプト15・26)でした。その背景には、新型コロナウイルスの世界的流行があります。
 新型コロナウイルスの世界的流行以来、「旅すること」と「出会うこと」は難しくなり、CCAもこれまで通りに活動できなくなりました。2020年4月に最初のオンラインセミナーが企画された際、私は日本の様々な教派の牧会者から共有していただいた現場の声をリポートしました。日本福音ルーテル教会の対応に関しては、浅野直樹Sr.牧師(市ヶ谷教会・スオミ教会)から現状と課題を教えていただきました。CCAの活動はその後、オンラインに移行し、アジアを生きるキリスト者たちをつなぐ役割を続けていくための試行錯誤を続けています。5年に1度開催される総会もすでに2年延期されたままですが、CCAの抱える困難はこれに留まりません。
 2021年2月の軍事クーデター以降、ミャンマー軍は不服従運動に参加する市民への弾圧を続けていますが、CCAは一部の共同司牧書簡や声明を除き、平和のメッセージを強く発信できていません。CCAや世界教会協議会(WCC)が軍事政権を公に批判しがたい背景には、迫害の悪化を恐れる現地教会の意向があります。CCAやWCCが大胆に行動できない時にこそ、アジア各地、そして日本におけるエキュメニカルな交わりの働きが切に必要とされていると痛感します。

社会委員会リレーコラム 「本・出会い・教会」①

高田敏尚(修学院教会)

「人生の秋に—ホイヴェルス随想選集」(H・ホイヴェルス著/
林幹雄編、春秋社1969)

 みなさんは、日本人の平均年齢っておわかりですか?平均寿命はよくきくけど、平均年齢は…とおっしゃる方が多いのでは。調べてみると48・4歳だそうで、世界では2位。ちなみに世界の平均は30・9歳です。日本も、1960年は29歳でした。どうりで、まわりをみると老人ばかり。教会も高齢化で維持がたいへんな問題です。社会委員会でコラムを担当することになったのですが、今回はこんな話からはじめようと思います。これを書いている私も高齢者に数えられる年齢です。そんな折に読んでみたい本が『人生の秋に』です。「人生の実りのときを迎える人たちに」という帯がついています。「この世の最上のわざは何?楽しい心で年をとり、働きたいけれども休み、しゃべりたいけれども黙り、失望しそうなときに希望し、従順に平静におのれの十字架をになう」というのが「最上のわざ」という詩の一節です。この本はドイツ生まれのホイヴェルス先生が残したエッセーです。54年間の在日宣教生活、その人生のおりおりに出会った喜びや悲しみ、そのすべてに神の業を見出していく。いやそんな極端なことでなく、鳥の声、花の一輪、それが「どんなことの中にも神をみつけましょう」という小タイトルにこめられています。小さな子どものほほえみにも神のやさしさが輝いているのです。このような本が一人静かに読める、そんな心境になるのも高齢者だからでしょうか。教会や団体に人が集まらない、社会の個人化といわれています。一昔前は、組織化される社会といわれていたのに。社会委員会は、このような社会も分析をして、教会が社会のなかで果たす役割は何かを問いかけられたら。そんなことを願っています。「孤独・孤立担当大臣」をおいているこの日本でこそ求められるのではないでしょうか。

教会のコロナ禍2年間の記録─ 『教会と宣教』第26号の紹介 ─

江口再起(東教区宣教ビジョンセンター『教会と宣教』編集委員)

 

  日本福音ルーテル教会は宣教百年(1993年)を機に、各教区に宣教センターを設置し教会宣教の研究・活動をすることを決議しましたが、結局設立されたのは東教区宣教ビジョンセンターのみということになりました。その活動の柱の一つは雑誌『教会と宣教』の発行ですが、2021年度の第26号は「コロナ禍の教会」特集号です。以下、内容を紹介します。
 意外なことですが、教会の歴史(記録)において肝心な事が残っていません。たとえば戦時中の教会の様子、100年前のスペイン風邪時の様子など。そこで今回のコロナ禍の教会の歩みを、まずは客観的に記録として残しておくことが大事です。
 「コロナ禍の教会」特集号の内容は4部構成になっています。第一部は教会の動向です。教会事務局の対応(「議長談話」等を含む全国の教会への通達など)の完璧な記録、また全国の諸教会のコロナ禍における礼拝や感染対策などへのアンケートの記録。各個教会の努力奮闘ぶりがわかります。
 第二部はルーテル学院大学・神学校の動向、ルーテル関連の諸社会福祉施設の感染対策等の詳細な記録です。機関紙「るうてる」にくわしく連載されていた記事を全て再録しました。実に貴重な記録となりました。その他、青年やこどもキャンプなどの諸活動の記録等々。
 第三部は他教派・教団・海外の動向です。カトリック教会、聖公会、日本基督教団、日本ルーテル教団よりの寄稿を収録しています。そして第四部は数名の牧師先生よりの論考、エッセイを載せました。
 このように全258頁、相当大部ですが客観的記録に徹した内容になっています(なおコロナ禍をめぐる神学的考察については、ルター研究所発行の『ルター研究』17巻(特集・宗教改革と疫病)に掲載されています)。
 2020〜2021年のコロナ禍の2年間、ルーテル教会そして関連諸施設は、どのように感染対策をしたのか、どのように礼拝を守ったのか、どのように活動し信仰生活を送ったのか。恐らく日本中の他教団・教派を眺め渡しても、これほど詳しい記録はないでしょう。あの時代、ルーテル教会はどのような教会活動をしていたのか、と問う50年後100年後に、この『教会と宣教』26号はきっと役に立つと信じています。どうぞお読みください(各教会・施設に送呈させていただいております)。

第28期第18回臨時常議員会報告

事務局長 滝田浩之

 4月25日に開催された標記の件について、ご報告いたします。
 第29・30回定期総会の延期を受けて、総会で扱う予定であった議案について、以下のように審議されました。詳しくは常議員会議事録でご確認ください。

「宗教法人日本福音ルーテル教会規則第26条を適用し承認した案件」
『第26条 総会の権限に属する事項で総会閉会中の緊急必要な事項は、総会に付議しないで、常議員会において決定し、及び執行することができる。』
(1)第2号議案 鶴ヶ谷教会・仙台教会合同の件
 本案件は、すでに個々の教会の総会で合同の決議が行われ、東教区総会で承認されたものである。個々の教会が合同し、共同の宣教を具体的に進める上でも、次年度の総会を待たずに正式な合同教会としての歩みを進めることが肝要と判断し、この合同について承認を行った。合同後は日本福音ルーテル仙台教会宮町礼拝堂、鶴ヶ谷礼拝堂となる。
(2)第3号議案 本教会常議員構成の件
 本案件は、各教区総会が行われ、新たな教区長、教区選出常議員の選出が行われたことを受けて、本来は総会において承認を得るものであるが、常議員会を教区議決を受けて構成するために、これを承認した。但し、九州教区においては4月29日に総会が行われるので、ここで選出される教区長、教区選出常議員については6月の第19回常議員会において承認するものとする。
(3)第8号議案 神学教育に関する協約の件
 本案件は、2022年度末をもって終了する標記の協約(ルーテル学院大学への教会からの支援を規定するもの)を間断なく継続するために、これを承認した。協約の内容は2018年締結のものと同一の内容となっており、日時の更新のみの変更となり、大きな変更がないものであることを確認している。すでにルーテル学院大学理事会において承認されている内容である。
(4)第9号議案 市ヶ谷耐震工事の件
 本案件は、2020年度総会に提案される予定であった。2018年度総会においては、すでに市ヶ谷事業所の耐震問題について何らかの対応を行うという点については承認を受けていることを踏まえ審議を行った。2022年度に入り、入居している賃貸先から耐震補強工事の実施について早急に、その実施についての返答と年度内での実施を強く要望され、かつこれを行わない場合、賃貸契約の解除の可能性を打診されたこと、またすでに2007年耐震検査において大きな地震が発生した場合、市ヶ谷事業所は中破以上の損壊を受けることは確実であり、この状況に対して法人として緊急に対応する必要を確認し、ルーテル学院大学からの借入、それに伴う担保提供、銀行からの借入を含めて、事業計画全体について、2022年度内の実施が承認された。工期は2022年7月~2023年9月初旬の予定である。

「仮承認とした案件」
(1)第5号議案 第7次綜合方策の件
 本案件は2020年度総会に提案される予定であったが、これの延期を受けて2020年度には常議員会で再考を行い、「COVID-19がもたらしたもの」を付記した形で提案される予定であった。2021年度には機関紙「るうてる」において、その内容が紹介されてきた。2022年総会の延期に伴い、2020年から3年間、方策のない状況が続くことを鑑み、常議員会において「仮承認」とした上で、次年度総会において「本承認」を求めることとした。「仮承認」を受けて「方策実行委員会(兼憲法規則改正委員会)」が発足し、予備的な準備を進めることを確認した。また方策の内容について、次年度総会で変更が求められれば「本承認」前に修正され、議場にて承認されることを確認した。
(2)第10~12号議案 決算・予算の件
 2020~2021年度決算、2022年度実行予算、2023~2024年度当初予算については、日本福音ルーテル教会規則第61条2項をもって「仮承認」を行った。

「次年度総会に提案する案件」
(1)第6号議案 アジア宣教の件
 カンボジアへの宣教、そして交流を主たる内容とする「アジア宣教」の件については、海外渡航が難しい状況においては次年度の総会に提案することがふさわしいと判断した。提案者である世界宣教委員会に、総会議決後の具体的な動きについて研究することを付託することを確認している。
(2)第7号議案 ハラスメント常設委員会設置の件
 本案件は、すでに日本福音ルーテル教会規則第61条4項を適用し運用が実施されている状況がある。これを61条3項に明記することを目的とする規則改正提案となっている。本案件は、次年度の総会において、しかるべき講師を招き、総会全体で学びを行った上で承認をうけるのがふさわしいと判断した。

「平和と共働の祈り」がオンラインで行われました

  日本国内における新型コロナウイルス感染症の拡大状況を鑑みて、5月3〜5日に東京・市ヶ谷を会場に予定されていた第29・30回全国総会を1年延期とすることが、3月28日に行われた第18期第17回臨時常議員会にて決定されました。このため、2年に1度行われる定期総会での礼拝が4年間行われていないことを踏まえ、日本福音ルーテル教会に関わるすべての方々が参加できるオンライン(Zoom)による「平和と共働の祈り」の時が5月3日(火)10時半から開催されました。
 当日は145アカウント・220人の参加者と共に、東京教会のパイプオルガンの演奏と聖歌隊による賛美、そして大柴譲治議長によるメッセージ「主の山に備えあり?!」(創世記22・1〜18)を聴き、各教区の代表による連祷を通して、ウクライナおよび世界の平和のため、新型コロナウイルスの終息のため、福音宣教の最前線で活動する個々の教会のために、また2018年以降に主のもとに召された 教職者、定年を迎えられた教職者を覚えて祈りを合わせました。
 なおLWFによるウクライナ人道支援のための連帯献金として4月末時点で503万2689円が捧げられました。感謝して報告いたします。なお連帯献金でのウクライナ人道支援は5月末にて一次受付を終了いたします。
(広報室)

公 告

 この度左記の行為を致しますので、宗教法人法第23条の規定に基づき公告致します。
2022年6月15日
宗教法人日本福音ルーテル教会
代表役員 大柴譲治

信徒利害関係人 各位

本教会所管の市ヶ谷会館耐震補強工事実施の件

・総工費
7億8603万8千円

・資金計画
自己資金(収益会計)
603万8千円
借入金
7億8千万円
借入先 ①学校法人ルーテル学院
借入額 3億円
返済期間 10年
支払利率 年利1%
借入先 ②銀行借入
借入額 4億8千万円

耐震補強を要する理由
・市ヶ谷耐震性能はIS値0・6を大きく下回り中破以上の損壊の可能性が高い。
・賃貸先テナントが耐震工事を実施しない場合、賃貸契約解除の可能性が高い。

・担保
 右記の借入に対する担保を左記の物件とする。

イ 不動産担保
 学校法人ルーテル学院から借入に対して市ヶ谷会館の土地建物(第3順位)に抵当権を設定する。
担保明細は次の通り。
・市ヶ谷会館
土地
所在 東京都新宿区砂土原町1丁目
   地番 一番
地目 宅地
地積 1669・42㎡
建物
所在 東京都新宿区砂土原町一丁目一番地
家屋番号 一番七
種類 教会 事務所
構造 鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付6階建
床面積 4612・65㎡
順位 3番

ロ 銀行借入分の担保設定
 借入条件決定後、この件に関する公告を行うこととする。

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