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るうてる《福音版》  2009年 4月号

機関紙PDF

バイブルメッセージ  希望の確率

なすべきことはただ一つ、後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けつつ、神がキリスト・イエスによって上へ召して、お与えになる賞を得るために、目標を目指してひたすら走ることです。…(中略)…しかし、あなたがたに何か別の考えがあるなら、神はそのことをも明らかにしてくださいます。いずれにせよ、わたしたちは到達したところに基づいて進むべきです。(フィリピの信徒への手紙3章13b~16節)

幼い頃の夢が実現する確率というのは、3%らしい。ふと、そのようなことを小耳にはさみました。3%、100人に3人。30人程度のクラスメイトがいたとして、1人いるかいないか、というところでしょうか。
もちろん、成長していくにつれてまた別の夢が生まれてきて……ということもありますから、一概にはどうとも言えません。しかしそれでも、おそらく90%以上の人は、幼いころ夢に描いていた自分とはちがう人生を送っている計算になります。
幼いころの夢を持ちつづけて実現させるという、その意志の力は本当に貴いものだと思います。しかしわたしたちが人生を歩む中で、何かをあきらめなければならないことが決して少なくないのもまた、事実です。
ある目標に向かって進んでいたはずが、気がつくと思っても見なかった場所にいることがあります。夢を追い続けることを状況が許さないことがあり、また、努力したのだけれども、どうしても届かないことがある。人生思うようにはいかないというのは充分わかっているつもりなのだけれども、理想と現実の差に苦しみ、立ち止まってしまう。大なり小なり、そのような経験は誰にでもあるのではないかと思うのです。
しかし、泣く泣く夢をあきらめて別の道に進んだ、けれどもその道こそ自分の天職だった、ということだってあります。華やかなプロスポーツ選手になりたかった、けれども実際についたのは希望とは違う、目立たない裏方の仕事だった。けれども裏方がいなければ、試合は成り立たないのです。人生思うとおりにいかないことがある、いやむしろ、思うとおりにならないことの方が多いかもしれません。しかしそこで、ただむやみに理想ばかりを見るのではなく、立ちどまってもう一度、今いる場所を見直してみる。するとそこで新しく、見えてくるものがあるかもしれません。そこで生きがいを見出し、そこにとどまるという道もあり、もちろんそこから一発逆転を目指して夢を追い求める道もある。選択肢はいくつもあります。しかしどの道を選ぶにせよ、まず立ちどまって、深呼吸。そこから見えてくるものが、きっとあるはずです。
新しい季節が始まります。これからもまた、理想と現実の差に悩むことはあるのでしょう。思いがけないできごとに、まったく違う方向へと背中を押されて戸惑うこともあるのでしょう。しかしそこで「世の中、思い通りにならない」と嘆くより、今いるところでいったん立ちどまり、いま何ができるか、自分はどうしたいのか、今の自分の役割は何か、と「到達したところに基づいて」考え、問いかけながら歩んでいく。そのような歩みもまた、楽しいものとなるかもしれません。祈っています。どうぞ、良い人生の旅を!
Aki

十字架の道行き

【第十三留】イエス、十字架から降ろされる
【祈りの言葉】
まことに主は死なれました。
一人の人間の死、一人の英雄の死ではなく、死によって死を滅ぼす、
まことの神の子の死です。

ネパールワーカー楢戸健次郎先生 ナマステ、サンチャイチャ

※「ナマステ、サンチャイチャ」はあいさつの言葉で「元気ですか?」等の意味です。

楢戸健次郎 先生
日本福音ルーテル教会の教会員である楢戸健次郎先生は、北海道で25年以上にわたり家庭医をされていました。JOCS(日本キリスト教海外医療協力会)の理事や常務理事などを歴任し2005年から2008年4月までネパールのNGO団体HDCS(Human Development and Community Services)へ派遣されました。一時帰国した後、現在ネパールへ再赴任され、ルクムという地方のチョウジャリ病院でスタッフの指導や病院の運営アドバイス、診療を行っています。

Q. 日本では聞きなれないですが、「家庭医」とはどのような医師のことを言うのですか? また、具体的な働きは何なのですか。
A. 近頃、欧米ではどこにでもいる医師ですが、日本ではまだ珍しいでしょうか。”身近なところにいて病気のこと、健康のことなら何でもいつでも相談に乗ってくれる医師”と言えば分っていただけるでしょうか。ホームドクター、かかりつけ医とも言われます。
私が北海道でしていた仕事の一端をお話ししましょう。小さな田舎の診療所です。外来は乳幼児からお年寄りまで、いかなる病気でも相談に乗り手当てをします。そして難しい病気や入院が必要な時には病院を紹介します。普段は9時ー5時の外来ですが、診療所に寝泊まりし、いつでも患者さんの相談に乗り、必要な時には往診をしていました。予防にも力を入れ健康教室を開いたり、月に1度ですが新聞も発行していました。

Q. 中学生の時にシュバイツァーの本を読み、海外医療協力という働きがあることを知り医学の道を目指したとお聞きしましたが、海外医療協力のどんなところに興味を持ったのですか?
A. 小さい頃は野口英世のような細菌学者になりたいと夢見ていました。中学の時にシュバイツァーの生き方を知り、海外医療協力に興味を持ちました。理由は、小学校の時から教会に通い、ボーイスカウトの活動にも参加していましたので、他の人があまりしない、それでいて困っている人の役に立つ仕事に就きたいとの願いだったと思います。

Q.家庭医をされていたのも、海外医療協力に携わりたいという思いからでしょうか?
A. 1つの理由はそうです。医療に恵まれない開発途上国では医者はたくさんおらず、どんな患者でも見なければなりません。もう一つは、当時、1960年代ですが、医学部の同僚の多くが専門医を目指していましたが、将来日本でも専門医ばかりでなく医療の第一線でどのような病気でも見る家庭医は住民にとって必要だと考えたからです。

Q.家庭医をしていて苦労されたことはありますか?
A. 開院当初、診療所に医師は私1人、24時間365日の診療で肉体的にも大変でした。ただ、数年たって医師が2名、3名と増えてからは、苦労というより喜びのほうが多くなりました。時間にも余裕が出てJOCSの働きにも参加できました。
(つづく)

毎日あくしゅ

Iちゃんは、年長組のなかでもとりわけ落ち着いた利発な女の子です。どんな課題にも積極的に取り組み、素直な性格から誰からも好かれていました。
この頃少し元気がない様子が気になっていたある日、担任に『あのね、せんせいパパとママ毎日けんかするんだ……』ポツリと言ったこの一言で担任教師はIちゃんの元気のない理由がわかりました。
その数日後Iちゃんは担任に会うなり『先生、昨日パパが帰ってきて、ママのこと包丁で切ったんだよ』と衝撃的な話をしたのです。心が暗いままお迎えの時を待ちました。するとお迎えに来たお母様の手に痛々しいほどの白い包帯が目に飛び込んできたのです。思い切ってお母さんに『今日Iちゃんからお母さんがけがをしたこと伺いました』と尋ねると、照れくさそうに『昨日、包丁でうっかり……』との答えでした。安堵したと同時に、ウソをついたIちゃんのことが気になり、おかあさんにIちゃんがここ数日の元気のない事を伝えると、夫婦げんかがこのところ絶えない事情があったことを話してくださいました。更にIちゃんが話した〝包丁事件〟の事を伝えると、さすがにお母さんも驚きを隠せず急に心配になりました。今までウソなどついたことのないI

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