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機関紙るうてる

るうてる 2018年7月号

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説教「隣人として生きる」

ルーテル学院大学・日本ルーテル神学校チャプレン 河田 優

さて、あなたはこの三人の中で、だれが追いはぎに襲われた人の隣人になったと思うか。」律法の専門家は言った。「その人を助けた人です。」そこで、イエスは言われた。「行って、あなたも同じようにしなさい。」    (ルカによる福音書 10・36~37)
「善きサマリア人」の譬えは、ルーテル学院大学新入生必修である「キリスト教概論」で必ず取り上げます。聖書を読んだこともない学生も多くいますから、この聖書個所からミッションスクールである本学の使命を学び、対人援助を行うための専門的な学びの土台としてもらっているのです。
この譬えは「何をしたら永遠の命を受け継ぐことができるか」というある律法の専門家の質問から始まります。その問いにイエスは「律法には何と書いてあるか。あなたはそれをどう読んでいるか」と問い直されます。律法の専門家は、申命記、レビ記にもあるように「主を愛すること」「隣人を愛すること」と満点の回答をしますが、悲しいことに彼はイエスの2つの問いのうち、「どう読んでいるか」ということには答えられていないのです。そこでイエスは「善きサマリア人」の譬えを語り出します。

主な登場人物は、祭司とレビ人、そしてサマリア人です。祭司とレビ人は、どちらも宗教的儀礼、祭儀を行う責任を神から与えられた人たちです。神を礼拝するユダヤの人々に対しては指導的な立場にあったと言えるでしょう。 これに対してサマリア人は、ユダヤ人と同じイスラエルの民でありながら長い歴史の中で分裂が起こり、この時は険悪な関係にありました。

譬え話は、ある旅人が追いはぎに襲われ、半殺しにされ、倒れている場面から始まります。「エルサレムからエリコに向かう途中で」との前置きがあるので、この旅人とはユダヤ人を表します。倒れている旅人のそばを、最初に祭司、続いてレビ人が通りかかりますが、これらの人々は「その人を見ると道の向こう側を通って行く」のです。彼らは急いでいたのかもしれない、また倒れている様子に恐れをなしたのかもしれない。さらに、律法では血や傷は汚れたものとされているゆえに、律法を重んじるあまり、関わりを持とうとしなかったとも言えます。つまり、律法を知っているが行えない、律法に縛られた人々をイエスはこの譬えで浮き彫りにしたのかもしれません。その後で、傷ついて動けない旅人のそばを通ったのがサマリア人でした。彼はその人を憐れに思い、近づいて応急処置をし、ろばに乗せ宿屋へと連れていき、泊りがけで介抱します。
このようにイエスは譬えを語られ、律法の専門家に言われるのです。「行って、あなたも同じようにしなさい」。この言葉こそ「あなたは律法をどう読んでいるか」ということであり、「あなたが隣人になりなさい」というイエスの教えです。

私は授業でこのように話した後、学生たちに尋ねます。「ところでサマリア人が倒れているユダヤ人と出会ったのは、行きだった?それとも帰りだった?」と。答えはすぐには出てきませんが、やがて学生たちは「費用がもっとかかったら、帰りがけに払います」というサマリア人の言葉を見つけます。つまり、このサマリア人はどこかに出かける時に倒れているユダヤ人と出会ったのです。出かける時とは、仕事にしろ誰かに会いに行くにしろ、自分に与えられているはずの時間であり、余った時間ではありません。サマリア人は自分の時間を捧げたのであり、主イエスはそのことこそ「隣人になることである」と教えているのです。

キリスト者として105歳の生涯を全うされ、聖路加国際病院の名誉院長であった日野原重明先生はその著書『十歳のきみへl九十五歳のわたしから』で、読者である子どもたちに次のように語ります。
「できることなら、寿命というわたしにあたえられた時間を、自分のためだけにつかうのではなく、すこしでもほかの人のためにつかう人間になれるようにと、わたしは努力しています。なぜなら、ほかの人のために時間をつかえたとき、時間はいちばん生きてくるからです。」
私たちもそのように告白するものになりたい。与えられたこの生涯は限られたものですが、その生涯を「隣人となって生きる」ことに精いっぱい捧げて生きていきたいのです。

連載コラム 直線通り 久保彩奈

④「神の国はこのような者たちのものである」ルカによる福音書 18・16

「聖書は世界のどの地域で書かれたと思う?」と中学1年生の授業で問題をだした時のこと。生徒たちはスイス、イギリス、アメリカ…と口々に言うので「ブー!違うよ~」と言っていると、ある生徒が「わかった!神の国だー!」と言いました。「なんで神の国だと思ったの?」と聞くと、「だって大切な神様のことだから、神の国で書かれたはず!」と言うので、思わず感心してしまいました。神の国という言葉をどう理解しているかはさておき、その感性に心奪われました。
続けて、わたしは「聖書ははじめから文字で残されたわけではないんだよ。文字を使わずに、どうやって残したと思う?」と違う問題を出しました。答えは、口伝…の予定でしたが、子どもたちは、ここでも想像力を発揮してくれました。ジェスチャー、手話、ダンス、ラップ、テレパシー…いろんな答えが飛び出し、思わず笑ってしまいました。神様のことを必死に残そうとするとき、人はあらゆる手段をもって伝えようとするはず!という子どもの豊かな発想に驚くと同時に、わたしの中でも改めて、聖書がより躍動感ある色彩豊かな本として輝き出しました。
教師は己の知識があってこその仕事なので、わたし自身が「正解」を導き出すことにこだわっていたのかもしれません。いかに聖書と向き合うか、その素直で自由な姿勢の大切さを子どもたちから教えてもらいました。
それにしても、神様のことをジェスチャーで伝えようとするなんて、なんだか想像しただけでワクワクしませんか?そんな必死さが、わたしには欠けていたのかもしれません。今度、子どもたちと一緒に挑戦してみようかな。

新常議員あいさつ

私は何者なのか

副議長 永吉秀人

「これは何者か。 知識もないのに、言葉を重ねて神の経綸を暗くするとは。」(ヨブ記38・2)

先月号の議長、事務局長の挨拶に続き、自己紹介と副議長としての指針を求められています。
私は久留米教会で生まれ、天王寺教会で育ち、献身した者です。すでに牧師となって久しい頃、天王寺教会初代牧師であられた森勉牧師から、「お前はどこから来たのか」という問いを受けました。なるほどルーテル教会はファミリーであり、久留米閥や天王寺閥などのルーツを問われるのかと感じたものです。この問いへの私の答えは、「久留米教会で渡辺潔牧師より洗礼を授かった者です」でありました。
では、副議長とは何者か。もちろん、議長以上のものではなく、異なる思想は求められておらず、危機管理下での議長の影であります。ポスト「500」、宗教改革500年を通して「来た処」を振り返った今、新たに常議員とされた方々と共に、「行く処」を見定めて参りたい。

福音の香りに包まれる教会

会計 木村 猛

この度、全国総会において会計に選出されました木村猛です。日本福音ルーテル保谷教会に所属する平凡な信徒の一人でありますが、これも「召し」の一つかと折り合いをつけて、皆さまの支援を受けながら、任期を全うしようと考えております。
幸いにも私たちの教会の経済状態は、諸先輩方が築いた献金体系と収益事業を柱に小康を得ております。しかし、各個教会を支える献金は、残念ながら、漸減傾向です。マイナスの要因は多く数えることができますが、卓越した解決策を持ち得ません。共に取り組む課題と考えます。収益事業は現在、順調に推移し、今までできなかった大型修繕に取り組み、事業の安定化を目指せる時期です。
ポスト宗教改革500年の時に居あわせています。この時期に学んだ福音(救い)を信じ続けていたいものです。私たちの各教会・教区・全体教会がそれぞれ福音の香りに包まれることが、経済の課題の解消につながることと信じております。

LCM会議報告

5月23日から25日にかけて東京において、LCM会議が開催されました。本会議について、その内容と成果について、浅野直樹世界宣教主事と滝田浩之事務局長(るうてる法人会連合事務局長を兼任)より報告が寄せられました。

喜びと感謝

日本福音ルーテル教会(JELC)は、海外諸教会や宣教団体の福音宣教活動によって誕生、成長し今日に至っています。そして今も引き続き支援をしてくれているのが、アメリカ福音ルーテル教会(ELCA)、フィンランド・ルーテル福音協会(SLEY)、ドイツ・福音ルーテルブラウンシュヴァイク領邦教会(ELKB)です。ELCAが1892年より126年、SLEYが1900年から118年、ELKBが今年でちょうど50年の節目を迎えました。いずれもJELCの生みの親、育ての親と言えます。各国代表者が来日しJELCと宣教について話しあう場が、LCM(Lutheran Cooperative Mission)会議です。個別の話し合いは毎年ありますが、各国代表者たちが一堂に会してJELC代表と協議するのは3年ぶりのことでした。
今回のテーマ「社会におけるルーテルの宣教/信仰と教会、世界と福音」に基づき、フランクリン石田牧師(ELCAアジア太平洋局長)、ヴィッレ・アウヴィネン牧師(SLEY海外伝道局長)、ディルク・グルフケ牧師(ELKBエキュメニズム委員)が、各国における教会のディアコニア活動について講演しました。JELCからは立山忠浩総会議長が基調講演、白川道生宣教室長がるうてる法人会連合と一体となったJELCの宣教方策について講演しました。社会における宣教がテーマということで、今回は特に、るうてる法人会連合にも呼びかけたところ3法人から出席があり、従来にも増して活発な意見交換ができました。
会議は日本語中心ですが、英語、ドイツ語、フィンランド語の通訳が入るので、初めて参加された方々は少し戸惑いがあったかもしれません。それでも聞き慣れない言語で講師たちが福音宣教とディアコニアについて熱く語る様子は心に響くものがあったのではないでしょうか。殊に法人会連合からの出席は、なんといっても現場の声なので、それを各国の代表者に届けることができたという意義は大きかったと思います。
いずれもかつてはキリスト教国と呼ばれた国々ですが、等しく聞こえてきたのは福音宣教の難しさです。規模こそ違え、その点ではJELCと同じ視点から議論ができたといえます。厳しい状況にありながらも、これら3カ国の多くの信徒がJELCのために祈り、献金を献げてくださっていることを私たちは忘れることができません。そうして今も宣教師を派遣して、宣教活動を経済的にも支援してくださっていることを思うと、喜びと感謝があふれます。(世界宣教主事 浅野直樹)

るうてる法人会連合の視点から

今年のLCM会議は、例年1月に行われる「教会推薦理事研修」と合同で行われました。2日目には法人会連合に属する学校法人、社会福祉法人の関係者が参加してくださり、ドイツ、フィンランド、アメリカの教会と教育や福祉の現状について、各代表の方から報告をお聞きする時となりました。
ドイツでは、いわゆる社会保障としての働きとして公の教育と福祉がありますが、その働きでは手の届かないところに教会のディアコニアの働きが教会制度として存在すること。そこでの働きを行うためには、公で働くことのできる資格を必要とすることはもちろん、それに加えて2年ほどのキリスト教の学びが必要であるとのことでした。
フィンランド(SLEY)の報告では、SLEY自らの中心的な役割を伝道と位置付けながら、キリスト者一人一人は教育や福祉など積極的に社会の働きに参与していることを聞きました。人口の70%を占める国教会の信徒(SLEYも国教会の一部)は、教会法でディアコニアの働きに参与することが義務付けられています。このことは、改めてルター派の「キリスト者の自由と愛」のあり方について確認する時となりました。また個別の教会内の信徒相互の支え合いについても、この理解のもとで、週日の子どもたちの居場所確保、あるいは独居の高齢者の訪問等、積極的に行われている印象を持ちました。
アメリカ(ELCA)の報告では、ELCAの持つ多くの教育機関、福祉機関、医療機関の存在を知ることができました。アメリカ社会では、公の教育や福祉と対等に、いやむしろ質については、それ以上の働きをこれらの施設が担っており、その担い手は、日本同様、すでにキリスト者ではない人たちに支えられていることを知りました。このような中で、教会内、あるいは教会発信のディアコニアの働きを強めていくために、牧師按手とは別に、ディアコニアのミニストリーを担う者に「按手」を行う方向があるとのことでした。専門性を持つ働き人が、更にキリスト教の学びを行った上で、社会に仕えていく道を開こうとしているのです。
報告の後の協議のセッションでは、法人会連合に属する、「現場」の方々からも多くの質疑、意見が出されました。そこで問われる具体的な質問は、学びをさらに深めるものになりました。周知のタイミングや、研修の学びの狙い等をオリエンテーションでしっかり確認する必要等、課題は残りましたが、今後も、このような学びの時を「教会推薦理事研修」の一環として整えることは重要だという認識では一致できたのではないでしょうか。
いずれにせよ刺激的だったのは、全体的に「キリスト教に根差した教育、福祉」に自信と誇りを持っているということでした。これは表現を代えて言えば、キリスト者として職業に従事にすることの大切さとも言えると思いました。教育、福祉の働きにキリスト者として働くことはもちろん、一人のキリスト者がその信仰に基づいて社会で、あるいは教会の中で隣人を愛するというディアコニアの働きに召されていることの意味を改めて心に刻む時となりました。感謝して、報告いたします。  (事務局長 滝田浩之)

カトリックと宗教改革500年⑨

日本福音ルーテル教会・日本カトリック司教協議会『平和と実現する人は幸い』
日本のカトリック教会とルーテル教会は、2017年の11月23日に、長崎の浦上教会にて共同の記念の集いを催します。
現代世界の共通の経験は、社会と文化、宗教の混乱と脅威、そして暴力の爆発でしょう。キリスト教のネットワークは、今こそ、国境、民族、人種、宗教を越えて、愛の福音、正義と平和、自由など、真にグローバルな価値を示さねばなりません。
「神」という言葉は、現代人には意味の分からない言葉になりつつあるかもしれません。ルターの改革は、当時の社会と教会に「福音」が見えなくなったことへの異議申し立てでした。それゆえ、今年の記念の課題は、分断されたこの世界において、今一度共通の救い主イエス・キリストのもとに集い、いつくしみの神の証人となる歩みを始めることでしょう。1571年は、分裂の始まりでしたが、2017年は、一致への道を歩み始めるスタートです。
「カトリック」とは、全地に行きわたる神の愛、キリストの新創造の協働者になることです。迫害から復活へ、破壊から平和への道を歩んできた長崎から、キリスト教が人類の新たな一致の道標となるように、共に祈りましょう! (終)
カトリック教会は、日本のカトリック教会の皆さんに宗教改革500年共同記念の意義を知らせるため、2017年にリーフレット『カトリックと宗教改革500年』(発行・カトリック中央協議会、制作・宗教改革500年記念行事準備委員会)を作成しました。編集責任を負われた光延一郎神父(イエズス会・上智大学教授)よりご提供いただき、紹介しました。今回で最終回となります。

第6回 全国青年バイブルキャンプのご案内

バイブルキャンプは、宣教室TNG委員会ユース部門により2013年に始められ、ルーテル教会に属する青年への信仰継承のプログラムとして開催されています。その目的は以下の3点です。
①「春のティーンズキャンプ」の卒業生への継続的な関わりを持つこと
②聖書に聴き、神様からのメッセージを受け取ったことをアウトプットする作業を通して、所属教会などでの奉仕(教会学校、奨励など)に繋げていくこと
③ルーテル教会が設立した学校、社会福祉施設などについて知りディアコニアについての理解が育まれること
これらのことに触れる機会を創出し、ルーテル教会の信徒としての自覚を励ましていければと願っています。
今年は、②を軸にプログラムを計画しており、具体的には、聖書を読み、み言葉を通して与えられた福音を他者に宣べ伝えることを、実践を通して学びます。東京の日本ルーテル神学校・ルーテル学院大学を会場に3日間のプログラムを行います。青年の皆さんには、ぜひ参加いただきたいと思っています。教会の皆さんには対象の青年たちを送り出してくださいますよう、よろしくお願いいたします。
宣教室TNG委員会  ユース部門  代表 竹田大地
スタッフ 大和由祈(大岡山教会)、 多田 哲(日吉教会)、渡辺高伸(津田沼教会)
開催要項
【日程】2018年8月20日(月)15時・集合~22日(水)12時・解散
【会場】日本ルーテル神学校・ルーテル学院大学(東京都三鷹市)
【内容】「福音を宣べ伝えよう!!」
聖書を通して与えられた福音を他者に伝える(宣教する)ことを実践的に学びます
【対象年齢】18歳(大学1年生相当)~35歳
【参加費】1万円(交通費補助有)
【持ち物】聖書(旧新約聖書)、着替え等宿泊用具、ご当地お土産大歓迎
【テキスト】『だれにでもできる楽しい聖書研究法―聖書研究の手引き』(森優・著、聖文舎)
*テキストは古い資料のため、当日必要ページのみを配布します。アマゾンなどでも販売していますので、購入してくださっても構いません。
【申込み・問い合わせ】[メール]lt.tngyouth@gmail.com[FAX]083(242)6980(竹田大地)
申し込み締切は7月31日(火)です。

ディアコニア・キャンプのご案内

東教区が主催するディアコニア・キャンプに参加しませんか。障がいのある教会の仲間と夏を過ごします。昨年参加した小澤周平神学生の感想と共にご案内します。
初参加のキャンプ。それでも、当初の私の緊張は参加者の皆さんの笑顔と優しい言葉であっという間に吹き飛びました。3日間、とても楽しくて、時間を忘れて過ごしました。特徴を持った仲間が寝食を共にし、困っていることを助け合う。キャッチボールをして、DVDを鑑賞して、ショッピングに出かけて、驚いたり笑ったり。まるで夏休みに帰省したような和やかな生活。そして、賛美歌を歌い、み言葉に耳を傾け、キリストの体と血を分かち、手を繋いで祈りを合わせる。キリストに繋がる兄弟姉妹が共に座っている、なんという恵み、なんという喜び。私は、ただそこに居るだけで、涙が出るほど嬉しくなりました。
介助等も初めての体験でしたが、互いを尊重し合うという視点から丁寧に教えていただきました。実際には、私は上手くできないことの方が多く、大切な兄弟姉妹に辛い思いをさせてしまったと反省しています。それでも、「ありがとう」、「大丈夫」という言葉をかけていただき、このような未熟な私を受け入れていただいているのだと感じました。感謝しつつ支え合う、その姿勢を学びました。
夜には有志で、ディアコニアとは聖書の語るよき知らせを具体的に伝え、実りあるものにしていくことだと学び、それぞれの思いを語り合いました。私たち一人ひとりは神様にとってかけがえのない存在。それでも社会の荒波は容赦ない。時に、各々の特徴を差別し、個人の存在さえも認めない思想まで生まれ、悲惨な事件となって表出してしまう。私自身もその社会を生きる一人。聖書は、そんな社会に、そんな私の心に問いかけている。ディアコニアとはキリスト者として生きることそのものだと学び、私の生き方を見直す大切な機会となりました。そして、ヨハンナ・ヘンシェル宣教師のことや半世紀以上に渡るディアコニア・キャンプの思い出話もとても興味深くうかがうことができました。キャンプで与えられた恵みのすべてを神様に感謝いたします。(小澤周平)

第5回 東所沢ディアコニア・キャンプ参加者募集
~障がいのある仲間と過ごす~

【日程】2018年8月9日(木)~11日(土)2泊3日
【場所】埼玉県所沢市東所沢(民家)
【参加資格】キリスト教会員または求道者で16才(高校生)以上の方
【募集人数】3~4名
【費用】2000円(参加者の教会で補助していただければ幸いです)
【スタッフ】チャプレン・小勝奈保子(聖パウロ教会牧師)、キャンプ責任者・原田積夫(保谷教会)
【申込締切】7月末日
【申込・問合せ】電話または郵便にて、責任者の原田まで
[電話]04(2945)8769(18時~22時のみ)
〒359ー0021 所沢市東所沢3ー9ー13
* 申込時に名前、住所、電話、年齢、所属教会をお伝えください

追悼 緒方一誠牧師

緒方牧師に仕えた事は私にとって人生で最も素晴らしいことでした

竹内一臣(合志教会)

緒方先生に、「先生の説教集を出したい」とお願いしたことがあります。その時、「いかん、いかん、説教集なんか出されると、自分が実際よりよく書かれたり、神様に栄光を帰するのではなく、自分が神様よりも偉くなったりする」と言われて、なかなか許していただけませんでした。
先生は、先の大戦で一瞬にして視力と左手を奪われ、絶望と苦しみの中で、石松量三牧師に出会い、キリストに出会われました。その時のことを、「洗礼の水が注がれ、頬を伝わった涙、それは失明の苦しみの涙ではなく、罪赦され、新しい命に召してくださった神様への感謝と、心に満ちる平安の涙だった」と書き残されています。
自分に残された体の働きを通して神様を証していきたいという強い思いを持って神学校へ入学され、35年に亘り挙母教会に、その後、名誉牧師として20年間、合志教会に仕えられました。
人びとに福音を伝え、信仰を育てる伝道者としての人生は、多くの問題を抱え、現実は苦労の人生でもありました。しかし、キリストにあって、生きる目的を極めていた人生でしたから、一人の孤独な人生ではありませんでした。深い愛と信頼で周りの者を包んでくださいました。必ず、神が共にいてくださり、イエス様の深い憐れみの御手に抱かれていることに感謝を持ち、自らの罪深さを忘れない謙虚な信仰と、十字架の罪の贖いによって生かされている神の恩寵の感度の深さから生まれてくる言葉の一つ一つに信仰の命を感じさせるお方でした。人生は、死で終わることのない希望に満ちた喜びの世界が存在することも良く知っておられ、5月17日、平安のうちに天に帰って行かれました。
緒方一誠牧師:1925年、熊本県生まれ。熊本師範学校在学中に第2次世界大戦に召集され、両眼を失明し、左前腕を失う。1947年、熊本盲学校聴講生となり、同年、神水教会で受洗。1950年、日本福音ルーテル神学校入学。卒業後、1957年に按手を受け、挙母教会で35年牧会した後、2001年、合志教会名誉牧師に就任。2018年5月17日帰天。

ドイツ・福音ルーテルブランシュバイク領邦教会/日本福音ルーテル教会
宣教パートナー関係締結50年

③両教会の協力の意義と今後
日本福音ルーテル神戸、神戸東、西宮、松山教会 牧師 松本義宣

本紙5月号の当欄で紹介された百年史論集篇所収の「ブラウンシュヴァイク・ルーテル教会と日本福音ルーテル教会との交流と共働」に、上席総幹事ベッカー先生による詳細な両教会の2000年までの歴史と経緯が記されています。人的な交流の大きなものが、いわゆる「交換牧師」でした。故谷口博章牧師、渡邉純幸牧師、秋山仁牧師に続いて、2003年より2008年までの5年間、私もELKBで働く機会が与えられ、得難い貴重な経験をしました。
その際、ELKBの教会行政関係、特に海外教会との協力を担う方々から言われました。これまで海外教会との人的交流は、主にドイツで学んでもらうことが目的だった。しかしこれからは、自分たちも海外教会から「学ぶ」という姿勢で牧師を迎えたい。世俗化で低迷するドイツの教会こそが、改めて宣教に真剣に取り組まねばならず、交換牧師には、まさにドイツに来た「宣教師」として働いてもらいたい、と。
同じく交換牧師として来ていた海外(インド、タンザニア、ナミビア、南アフリカ等)の牧師達と共に、「ドイツ教会に率直に物申す」といった会に招かれたりもしました。もちろん、普段教会で接する方々には、「君は何を学びに来たのか」としばしば聞かれ、自分の課題や興味を語り、それに邁進もしました。残念ながら、教会財政の悪化でELKBとの交換牧師は、私の後は行われていません(それとも評判が悪かったせい?)。
しかし、先日来日されたメインス監督とホーファー上席総幹事との懇談では、期間は以前より短く(3年程度?)なるが、交換牧師の再開も検討したいとの意向も聞けました。私自身は、やはり貢献よりは多くの学びを頂いただけで終わりましたが、これからは、こちらからも何か(伝道のパッション!)をもたらす人的貢献ができればと願います。一方で、主にディアコニア関係の短期研修の機会も広げて行きたいものです。
昨年は、宗教改革500年の記念企画の「特別演奏会」に、JELCからも聖歌隊メンバーが参加しました(本紙2017年11月号既報)。滞在中、ELKB「日本共働会(Arbeits Kreis Japan)」(本紙5月号参照、6月号紹介のワルター師が代表)との交流会を持ちましたが、JELCからの若い参加者があったことに、大きな期待と喜びがあったとAKJから伺いました。
そうなのです。両教会の協力関係の今後、それは日本でも「ブラウンシュヴァイク共働会」(略称はAKB!)を結成して、さらなる人的交流を強め深める以外にないのではないかと思います!

新刊案内

『すべての壁をぶっ壊せ!Rock’n 牧師のまるごと世界一周』
関野和寛(2018/6/25、日本キリスト教団出版局)

月刊新聞『こころの友』において好評を博した関野牧師(東京教会)の連載コラムが、書き下ろし原稿と旅の写真を加えて出版されました。20数カ国を旅する途上で、人を隔てる「壁を取り壊す」(エフェソ2・14)キリストを共に味わった出会いの経験を綴っています。キリスト教に馴染みのない方へ向けた内容となっており、お勧めします。
1冊1,080円(税込)

『神の恵みによる解放 聖公会-ルーテルの黙想』
日本聖公会・JELCエキュメニズム委員会(2018/5/20)

宗教改革500年に「現代を生きる教会」について、世界各地の聖公会とルーテル教会員が共にこの問いに向き合いました。そこで表現された黙想と両教会の伝統的文書・聖書の引用による、6週間分の日々の黙想集です。個人、またそれぞれの教会で、またエキュメニカルな交わりの場で「キリスト者としてこの世界で生きる」ことを考えるのにふさわしい内容です。自由にダウンロードできる電子版(PDF)に加えて、書籍版(無料)も送料300円にて頒布します。以下に連絡ください。

聖公書店 [TEL]04-2900-2771[FAX]04-2900-2722
[E-mail]seikoshoten@bible.or.jp
ダウンロードと詳細は、以下まで。
https://jelc-news.blogspot.jp/2018/05/blog-post.html

公告

左記の通り、土地建物の売却をすることになりましたので、宗教法人法第23条の規定に基づき公告します。 2018年7月15日

信徒その他利害関係人各位

宗教法人
日本福音ルーテル教会
代表役員 大柴譲治

東習志野 土地建物売却

(1)東習志野 土地
所在地 千葉県習志野市東習志野6丁目
所有者 日本福音ルーテル教会
地番 2142番16及び25
地目 宅地
地積 124・62㎡

(2)東習志野 建物
所在地 千葉県習志野市東習志野6丁目16
所有者 日本福音ルーテル教会
家屋番号 2142番16
種類 礼拝堂・居宅
構造 木造軸組2階建
床面積
1階 108・89㎡
2階  42・23㎡

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