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機関紙るうてる

るうてる2014年6月号

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「ふりそそぐ主のまなざし」

イエスはそこをたち、通りがかりに、マタイという人が収税所に座っているのを見かけて、「わたしに従いなさい」と言われた。彼は立ち上がってイエスに従った。マタイによる福音書九章九節

徴税人マタイはいつものように通りの収税所に座って仕事をしていました。そこをイエス様がお通りになりました。マタイはイエス様のお姿にいつ、気づくでしょうか。
 イエス様は直前の箇所で、中風の人を癒されました。自分で起き上がれない中風の人は、寝かされたまま友達にイエス様のところに連れて来られました。イエス様は中風の人に向かって「あなたの罪は赦される」という言葉で癒されましたから、律法学者の反感を買いました。「この男は神を冒涜している」。見ていた群衆は大騒ぎです。
 この騒ぎですから、イエス様は大勢の群衆に取り囲まれながら通りを歩かれたことと思います。マタイはいつ、イエス様に気づくでしょうか。マタイはいつ、イエス様の方に顔を向けるでしょうか。
 イエス様がこんなに近くに来てくださったのに、マタイは気づかないのです。気づいていても顔を向けなかったのかもしれません。マタイ自身にとって、イエス様は自分には関係がないと思ったのかもしれません。マタイは徴税人として自分が世間ではどう見られていたかをよく承知していました。自分の仕事は同胞に嫌われ、罪びととさげすまれている毎日。自分のことをだれかが心に留めてくれることは久しくなかったのかもしれません。
 このマタイに転機が訪れました。イエス様のたったひとことでした。
「わたしに従いなさい」。
 このイエス様のひとことで、マタイは人生が変わるのです。これまで何年と同じところに座っていたマタイは立ち上がってイエス様に従うのです。
 同じところに座りっぱなし。それはマタイが自分の力で、今の現状をどうすることもできないとあきらめていた心をあらわしているかのようです。毎日同じことの繰り返し。だれからも声をかけられない。だれからも頼りにしてもらえない。だれからも自分の存在を喜んでもらえない。かたくなにしていたマタイの心のカギをイエス様が開けてくださいました。
「わたしに従いなさい」。
 イエス様に従うということ、それは、今までマタイが自分の方にだけ向けていた心を、イエス様の方に向きを変えるということです。イエス様の方に心の向きを変えることを、マタイは自分の力でできませんでした。イエス様の方から心の向きを変えるように声をかけてくださいました。たった一言です。イエス様の一言には、マタイの生き方を変えるほどの大きな力、権威がありました。
 続く十章三節には、十二弟子のひとりとして「徴税人のマタイ」が数えられています。マタイはほかの弟子たちと同じように、汚れた霊を負い出し、病気をいやす権能を授けられました。イエス様の教えを身近に聞き、奇跡を見るのです。
 次にマタイの名前が聖書に登場するのは使徒言行録一章十三節です。マタイはイエス様の十字架の死と復活を目撃することになります。マタイもイエス様を裏切ったひとりでした。にもかかわらずマタイもイエス様のご復活、昇天、聖霊降臨を経験していくのです。 聖書は弟子としてのマタイの働きを詳しく記しません。けれどもイエス様の「罪のゆるし」の文脈で、マタイはイエス様のお声掛けによって立ち上がり、全く新しい生き方へと招かれた人として大事な位置に置かれています。
 雑踏の中でイエス様から声をかけられるまで、徴税人マタイのそばを数多くの人々が通り過ぎたことでしょう。けれどもイエス様はマタイのそばを通り過ぎることはなさいませんでした。
 「わたしに従いなさい」。
このイエス様のみ言葉をわたしたちも人生の途上で聞きました。わたしたちも心の向きをイエス様の方に変えるのです。わたしたちもイエス様の不思議な選びに与っています。
 「前からも後ろからもわたしを囲み、御手をわたしの上に置いてくださる。」(詩編一三九編五節)
刈谷・岡崎教会牧師 宮澤真理子

宗教改革五〇〇周年に向けて ルターの意義を改めて考える(26)

ルター研究所所長   鈴木 浩

宗教改革のきっかけとなったのは、よく知られているように、『九五箇条の提題』と呼ばれる文書であった。もともとは『贖宥(しょくゆう)の効力を明らかにするための討論』という題が付けられていたこの文書は、一五一七年一〇月三一日にヴィッテンベルクの城教会の扉に掲示された、と言われている。『九五箇条の提題』と略称されるのは、九五項目の箇条書きで書かれた文書だからである。
 この文書で問題にされていたのが、「贖宥状」である。「贖宥」とは、「罪の償いの免除」という意味である。
 ルターは、この文書を「わたしたちの主であり、師であるイエス・キリストが、『悔い改めよ』と言われたとき、主は信じる者の全生涯が悔い改めであることを望みたもうたのである」という一文で始めた。
 問題は「悔い改めよ」というマタイ福音書四章一七節の言葉のラテン語であった。「悔い改めよ」という言葉は、ラテン語で「ペニテンティアム・アギテ」となっていた。無論、もともとは「悔い改めよ」という意味であった。
 ところが、中世後期になると、その意味がすっかり変わってしまっていたのである。

議長室から

全国総会を終えて

総会議長 立山忠浩
 第26回全国総会が開催されました。議案のひとつが「宗教改革五〇〇年記念事業案」でした。無事に承認されましたので、今後白川道生宣教室長を中心に具体的な活動が展開されて行きます。皆さまのご協力、ご参画をお願いいたします。
 課題も与えられました。議長報告には「社会に仕える教会の姿を提示して欲しい」との意見が複数寄せられました。
 三年間の震災支援活動には評価をいただきましたが、今後の活動や社会問題への積極性を促されました。
 二年後の全国総会での採択を目指す新式文は、議案とするまでに諸調整を図らなければならないことが明らかになりました。
 その他にいただいた意見や質問には、各個教会の厳しい財政事情を窺わせるものが多々ありました。教勢不振、会員の高齢化が進んでいる現状から、財政面の不安感が伝わって来ました。
 収益事業の好転傾向、子供たちや青年伝道の着実な成果は希望を与えるものでしたが、財政の課題は今期の懸案事項となるでしょう。
 総会は報告を聞き、議案を審議するだけではありません。私にとっての総会の楽しみのひとつは、牧師の説教をたくさん聞けることでした。
 引退を間近にされた牧師の説教があり、五千人の食事の奇跡を 思わせるような証と新教区長の説教もありました。それぞれに説教の味があり、心に響くものであり、感謝でした。
 私自身は開会礼拝を担当させていただきました。総会の主題聖句から(Ⅰテサロニケ五・一六~)「喜びと感謝、そして祈り」について語りました。ルーテル教会の現状は厳しく、明るい話題だけではありませんので、そこに喜びと感謝を見出すことはなかなか難しいことです。しかし「主が共にいてくださる教会」であることを忘れなければ、それは喜びであり、感謝なのです。
 この「主にある喜びと感謝」を大切に、皆さんの祈りに支えられながら、議長としての二年間の職務を務めさせていただこうと思います。

春キャンを契機に私は去年の12月15日、堅信をしました。

健軍教会 安藤 風
 私は父が牧師であるにもかかわらず、高校生になっても堅信する気が全くありませんでした。私は教会でも、教会学校にしか出席していなかったし、大人の礼拝は少し堅苦しくて、よくわからない部分もいくつかありました。でも、いつか分かる日がくるだろう、そして自分から堅信しようと思える日がきたら、そのときにすればいいと思っていました。
 だけど、父は少し焦っていたのかもしれません。私は次の年から受験生で、あまり時間がありませんでした。でも私は自分が納得できないうちから堅信するのはおかしいと思っていました。
 私は、早く堅信しなきゃいけないような、でもまだしたくないような、そんなもやもやした気持ちをずっと抱えていました。

 このもやもやが消えたのは、去年の「春キャン」のときでした。イエス様が十字架にかかるまでの追体験をして、その中で十字架の代わりに重い木を背中にのせました。
 背中に重みがかかったその瞬間、その重みは同時に私の心にのしかかりました。こんな瞬間は生まれて初めてでした。私の中のもやもやがすっと消えたのです。今まで、礼拝って良くわかんないとか、教会に行かないことを許してもらえないとか、早く堅信しなきゃいけないのかな、とか、もういろんなことがグチャグチャになっていたのが、ただ、「イエス様、今までごめんなさい。そしてありがとう。」という気持ちでいっぱいになりました。そしてその直後、私は堅信しようと決めました。

 それ以来、私は教会に行くとき、時々このことを思い出します。イエス様に、ごめんなさい、ありがとう、という気持ちになると、素直な気持ちで礼拝にでることができます。

 もし今、堅信のことを考えているteensがいるなら、私は何も心配しなくていいと思います。最後は神様がきっといいようにしてくださいます。

 最後に、春キャンのスタッフやteens、そして神様、イエス様に改めて感謝します。

蒲田教会オルガンCDが完成

蒲田教会牧師 渡邉 純幸

 「教会にパイプオルガンを!」という蒲田教会の長年の夢が叶い、2013年12月1日(待降節第一主日)、待ちに待ったオルガンの奉献聖別礼拝が執り行われました。そしてその日の午後、フランシス・ヤコブ氏によるオルガン奉献演奏会が盛会のうちにもたれました。教会近隣の方々は言うに及ばず、遠く九州、広島、関西、甲信からお越し下さり、300人以上の方々と共に、オルガン演奏に酔いしれました。
 パイプオルガンはフランスの西、ジュラ地方に位置する、オーベルタンの工房で制作されました。このオルガンは、フランスの名工、ベルナール・オーベルタン氏の手によるものです。837本のパイプは14ストップに操られ、これからどれだけ鳴り続けることでしょう。神さまへの讃美の音色として、きっと多くの人々の耳を心を貫くことでしょう。
 ヤコブ氏は、1972年生まれ。1987年ブローニュ・シュール・メール・A・ギルマン記念コンクールに第1位入賞。1997年ベルギーのブリュージュ国際オルガン・コンクール最高位入賞。ソロ活動はもとより、ヨーロッパ内外の器楽、声楽アンサンブルと共演し、2001年よりシュトラスブール音楽院教授として現在に至っています。 氏の演奏は、深井李々子氏の言葉を借りれば、「バッハを中心に、イタリア初期バロックからフランス古典、バッハの弟子に至るオルガンの音色の可能性をオーベルタン・オルガンから引き出す。」とのことです。
 オルガンについては、「14ストップの小規模のオルガンながら、14の音色はそれぞれ個性があって良く歌う。さまざまに組み合わせても互いに溶け合って新しい個性の音色が生まれ、美しく鳴り響く。837本のパイプは天の声を伝える道具として人々に喜びを与える。」(CDジャケットの解説より)とありますように、コンサートにお越しいただいた方々の感動を呼びました。
 当日の演奏曲目を収録したものが、この度のCD「フランシス・ヤコブ オルガン演奏会」です。この作品が、多くの人々の魂の慰めと安らぎとなり得れば幸いです。
 CDについてのお問合せは、左記のとおりです。
ルーテル蒲田教会 
電話:03-3731-6777   E-mail: jelckama@yahoo.co.jp

礼拝式文の改訂

②生きた水の流れ

式文委員会委員長 平岡仁子

 「救われるためにどうすべきでしょうか」(使徒言行録16・30)この問いは長い迫害の時代を生きたキリスト者にとって、試金石であったかもしれません。何故なら答えは次のようであるからです。「『主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます。』」弟子たちは主の言葉を語り、そしてそれを聞いた人たちは迷わず洗礼を受けました。(使徒言行16・31~33)信仰は洗礼へと導き、そして洗礼は信仰によって受け入れられます。言い換えるなら、信じることは現実において形となって現れると言えるかもしれません。だからこそ迫害の時代、洗礼は日本人として生きるのか、それとも洗礼によってキリスト者として生きるのかということを選ばなければならない試金石になったのではないかと考えるのです。
 しかし反対に、だからこそ洗礼を受ける人々は彼らの信仰を人々に示すことができたと言えるでしょう。しかし洗礼とは実際、このようなものなのでしょうか。故郷の美しい思い出を諦め、人を孤独へと追いやるものなのでしょうか。
 先ほどの続きにこう書かれています。「この後、二人を自分の家に案内して食事を出し、神を信じる者になったことを家族ともども喜んだ。」(使徒言行録16・34)受洗した後、彼らは弟子たちを家に招き食事をし、神の恵みを頂いたことを一緒に喜んだと書かれています。
 彼らはそもそも、お互い友人ではありませんでした。そうではなく、囚人と看守という対立する関係にある人たちでした。にもかかわらず、彼らは食事を共有し、一緒に喜んだのです。そして私たちはここに、信仰の形成を、そして洗礼によって始まる新たな現実を見い出すことができるのではないでしょうか。即ち、私たちを他者から引き離したり、あるいは私たちを孤独の中に置くのではなく、洗礼が神の恵みを共有する他者との出会いを生み出すことを。
 みことばは洗礼へ、そして洗礼は聖餐へと私たちを導きます。この全てはこの世の苦しみのただ中におられる神であるお方との出会いの中へ私たちを運びます。そしてこれが、キリスト教共同体において共に生きる第一に大事なことと言えるでしょう。みことばを聞き、洗礼を思い起こし、聖餐に与ることはキリスト者にとって飢え渇く心が生きた水によって潤されることです。そしてそのような礼拝への参加はみことばを聞き、まだ洗礼の恵みに与っていない神を求める人々の心にも、きっと洗礼や聖餐への飢え渇きを生じさせることでしょう。
 ハワイにバニヤンツリー(Banyan Tree)という木があります。(写真左)火山灰の地層は水分が少なく、そのため木の根は水を求め地上に上り、まるでクリスマスツリーの電飾のように気根という長い根が木全体を覆います。木は水を求め続けるのです。 私たちもまた生きた水の流れを絶やさず、洗礼によって真に他者と出会い、共に渇きを潤して頂きましょう。
 

ルーサーリーグ・ウェルカムパーティ開催

 去る4月20日に日本福音ルーテル東京教会にて、ルーサーリーグWelcomePartyを行い、36名もの青年が参加してくれました。中には、この春、「春キャン」を卒業した卒業生や、ルーサーリーグの活動初参加の子も来てくれました。
 役員紹介、自己紹介、アイスブレイク(人間知恵の輪、自己紹介ビンゴ)、二月に行われたJELAカンボジアワークキャンプ報告会、その他報告、歓談タイムと非常に濃い内容になりました。最初の緊張した雰囲気は時間が経つうちに、温かい雰囲気へと変わり、いい雰囲気の中カンボジアワークキャンプの報告会を行うことが出来ました。
 報告会はプログラムの説明、竹田大地牧師が作成してくださったムービーをみんなで鑑賞し、その中には日本では見ることのない地雷の写真等があり参加者を通して分かち合う時間を持つことが出来ました。最後になりましたが、 今回忙しい中参加してくださった皆様、お祈りの中に覚えてくださった皆様、そしてなにより私たちを導いて集めてくださった神様に感謝いたします。
 今年度も、ルーサーリーグ並びに全国にある青年会のことをよろしくお願いいたします。
 市ヶ谷教会 平井瑶子
 
4月20日に東京教会で東教区青年会(ルーサーリーグ)の歓迎会が行われました。私はこの春高校を卒業し、春の全国teensキャンプで青年会のお誘いを受け、初めて参加しました。
 普段それぞれの教会に通っている青年がひとつの場所に集まり、お祈りしたり分かち合いの時間を持ったり、とても楽しく実りある一時でした。東教区の方々に温かく迎えていただき、すぐに打ち解けることができました。
 この春高校を卒業された方をはじめ、少しでも青年会の活動に興味を持った方、是非各教区の青年会に参加してみてください。きっと温かく迎えてもらえることでしょう。
若者ならではの力で、一緒に教会の活動を盛り上げていきましょう!
  大岡山教会 角本茜

第16回ルーテル子どもキャンプ

チャプレン 市原悠史

今年も第16回ルーテルこどもキャンプの季節がやってきました。1999年に全国の小学5・6年生を対象にした「ルーテル国際少年少女キャンプ」が誕生し、2006年に「ルーテルこどもキャンプ」と名前を変えバージョンアップ! 近年は平和について考えるキャンプと外国について学ぶキャンプを交互に行っています。
 今回は8月7~9日、ルーテル広島教会を会場に、「平和とは何か」「わたしたちはどう行動すべきか」を、様々なプログラムを通し共に学び、 考えます。
 テーマ「来んさい ヒロシマ ピースじゃけん」主題聖句「平和のきずなで結ばれて、霊による一致を保つように努めなさい。」(エフェソ4・3)です。
 イエス様は言われました。「平和を実現する人々は幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる。」(マタイ5・9)イエス様に結ばれているものとして、教会につながっているものとして、聖書が語っている平和とは何なのかを考え、またそれを実現するためにはどうすればいいのかを考えていくことは、とても大切なことです。69年前に原子爆弾が落とされた街・ヒロシマで、様々な歴史資料を見ながら、触れながら、訪れながら、思いを深めていこうと思います。  過去のキャンプで、たくさんの子どもたちが祈り、賛美し、御言葉を受け止めてきました。毎回、全国から集まる子どもたちが、初対面とは思えないほど”平和の絆で結ばれて”いくのです。そこに神様の御業が働いていることを深く感じます。
 また、 ここで与えられた”霊による一致”は、小学校卒業と共に終わるものではありません。毎年3月に行われているティーンズキャンプや、各教区で行われているティーンズのためのプログラムへと引き継がれています。成長と共に、より大きな絆、一致へと広がっていくのです。子どもたちが心から生き生きとしている姿は、大人たちにとっても大きな希望となるでしょう。
 どうか、一人でも多くの子どもを送り出してください。聖書を通して、過去に学び、未来へ向けて、現在を歩むために。
お問い合わせは松本奈美(神戸教会) TEL078‐691‐7238

26回 日本福音ルーテル教会 定期総会

総会書記 白川道生

 日本福音ルーテル教会第二十六回定期総会が四月二九日から五月一日にかけて、日本福音ルーテル教会宣教百年記念東京会堂(東京教会)において開催された。総会議員として全国各地から参集した教職、信徒の人は220名を数えた。
 本総会では、「キリストに支えられ、育てられ、成長し、社会に仕える教会になろう」との標語のもと、全部で12号の議案が協議された。
聖餐礼拝から始まった総会は、来賓挨拶(日本キリスト教協議会、日本ルーテル教団)、続いて退任・召天・新任教師の紹介が行われた後、議事に入った。
◆第25総会期活動報告承認
 まず、議長報告から過ぐる二年間の活動と課題・対応が報告された。二〇一二年から八年間に渡る宣教方策をまとめた第6次綜合方策の中で、二十五期は優先的に「震災支援」、「財政」、「宗教改革500年」と三つに絞り込んだ課題への取り組みが報告された。そして事務局長~各室長報告、世界宣教~各教区、諸委員会、諸施設、関係団体報告が続き、ルーテルグループが全体として多岐にわたる務めを実践している姿が浮かび上がった。審議では「社会に仕える教会」のあり方を巡り、実際に起こる事柄に関する、ルーテル教会の会員及び信仰者としての理解と行動等の議論がなされた後、活動報告は、議場より承認をうけた。
◆役員選挙
 執行部選挙が行われた結果、第二十六総会期議長には立山忠浩氏が再任された。副議長・大柴譲治氏(新任)、書記・白川道生氏(再任)、会計・豊島義敬氏(新任)が選出され、これに信徒選出常議員、各教区長及び教区選出常議員を加えた新常議員会の組織も承認された。
◆教会組織の変更
 九州教区・大江教会と宇土教会「教会連立」の件が承認された。
◆東日本大震災救援活動
 二〇一一年三月から活動してきた「ルーテル教会救援」につき、青田本部長、野口勝彦派遣牧師、佐藤スタッフより、諸々の組織(全国の各個教会・他教派・初動から現地拠点づくり、ボランティア等)、海外からの支援受け入れ態勢、会計執行、現地での要請と活動内容など、震災支援の広範な実践報告がなされ、感謝をもって承認された。
◆礼拝式文の改訂
 来る二〇一七年の完成を目指して改訂作業を担ってきた式文委員会(平岡仁子委員長)により、改訂式文案が解説と共に議場で実演された。変更はメロディ、言葉、順序に及ぶ内容であり、全国の教会の実情に照らして多数の議員から意見や提言が出された。またアンケートも実施されて、引き続き、同委員会にこの調整がゆだねられた。
◆宗教改革五〇〇年記念事業
 マルティン・ルターの宗教改革から五〇〇年を迎える二〇一七年、これに向けて、日本福音ルーテル教会全体として策定した記念事業計画案が宣教室より提案された。単なる祝祭イベントに終わらせずに、この機会を通して、教会の内に向けては「ルーテル教会に属することの誇りや感謝の思いを深める」、教会の外に向けては「改めて聖書が指さしている事柄に広く、人々が目を向ける事をめざす」と、事業の狙いを定めて展開する姿勢が強調された。
 全体教会で企画実施する主要な三つは「推奨四冊の出版を通した活学運動の展開」、「全国巡回企画の実施」、「記念大会の開催」。また記念事業が教会だけでなく、学校・幼保、施設等広くルーテルグループで取り組まれていく展開と募金活動の実施も含めた提案内容であった。議場からは有益な宣教の機会となる期待を前提にした更なる提言や要望が積極的に挙がり、記念事業計画は共に承認された。
◆二〇一二・十三年度決算書・会計監査報告及び二〇一四年度実行予算、二〇一五・一六年度当初予算の承認
 森下博司会計より、二十五期の全体教会の財政と諸部門の財務状況が説明された。規模の大きなものとしては在京の収益事業建物で耐震工事を実施した影響が報告された。
 また豊島義敬財務委員長からは、過去40年間の収益事業の経営推移が紹介され、変遷はあったが宣教に益する収益事業となっていた事実を確認した。反面、収益事業建物の老朽化に伴う更新を課題と指摘がなされた。
 緊急の課題とされ、全体的な対応を取ってきている退職教職退職金・年金制度は、収益事業と各教会の財政拠出によりぎりぎり成立している現状が報告された。
 議場では、ひっ迫する各教会の財務状況を背景にした意見も出され、協議の後、財務関連提案は承認された。
(※詳細は、発行される定期総会議事録を参照ください。)

2014年 日本福音ルーテル教会全国教師会報告

全国教師会は宣教師を含む現任教師97名が会員として、神学的研鑽や諸課題についての神学的検討を行っている。全国教会総会に先がけて全国教師会総会が開催され、2年の歩みを振り返り、また各地域教師会の取り組みを分かち合う時をもった。

 期間中4度の礼拝が行われ、開会礼拝において永吉秀人会長は、エレミヤ書17章14節から教師集団の使命を告げた。晩祷では、沼崎勇師により、連続テレビ小説にも取り上げられている村岡花子の信仰に学び、二日目の朝祷では現在の最年少牧師である永吉穂高師より、教会のみならず関係施設の利用者の方々と共にあるという宣教について教えられた。
 閉会礼拝では今年度定年引退が予定されている最年長牧師である吉谷正典師により、その牧師生活を振り返り、神の前における誠実さを探求してこられたその歩みについてお話しいただいた。

 教会総会でも協議された、新式文、また宗教改革500年記念についても教師会として意見交換をし、その取り組みへの理解を深めた。また式文委員会からの問いかけを受け、キリストのからだとして設定されたパンとぶどう液を主日礼拝後に配達する可能性、また信徒奉仕者による聖餐式の司式の可能性、緊急聖餐の可能性、堅信の意味付けについて意見交換を行った。
 これらについては、いずれも時間をかけて議論を尽くしていく必要が確認された。

 宗教改革500年記念については、宣教室が主導する全体教会の取り組みの他に、各地域教師会などにおいて「ルターを語るために」といった観点からの研究によりこの宣教の機会を教師集団として生かすことについて検討がなされた。
 また立山議長よりの期待として、教師会として宗教改革に関連する出版、また語学の研鑽を積み、世界のルーテル教会のネットワークを豊かにしていくことなどが寄せられた。

 なお、役員選挙が行われ、永吉秀人(会長)、安井宣生(書記)、和田憲明(会計)、石居基夫(無任所)が選出された。
 全国教師会書記 安井宣生


《奨学金のおしらせ》

 ELCA(米国福音ルーテル教会)は教会指導者のための短期研修及び女性指導者養成のための国際奨学金を提供しています。いずれも個人的研究ではなく、将来日本福音ルーテル教会および関連施設に資することを目的としています。受給希望者は所属教会、施設等の所属機関を通して、JELC事務局へお申し込みください。
 締め切りは7月7日。


[連絡先変更]

■藤が丘教会メールアドレスfujigaoka@jelc.or.jp
同ファックス
045‐479‐7009
■星野幸一先生メールアドレス:hoshino33@outlook.jp

 

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