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るうてる2025年

るうてる2025年6月号

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「主イエスの昇天の姿を注視する」

日本福音ルーテル保谷教会牧師 坂本千歳

「イエスは、そこから彼らをベタニアの辺りまで連れて行き、手を上げて祝福された。そして、祝福しながら彼らを離れ、天に上げられた。彼らはイエスを伏し拝んだ後、大喜びでエルサレムに帰り、絶えず神殿の境内にいて、神をほめたたえていた。」(ルカによる福音書24・50〜53)

 復活の主イエスは弟子たちに現れ、40日の間、弟子たちに神の国について教えられ、罪の赦しの福音をあらゆる国の人々に伝えるようにと彼らに命じられました。そして、彼らの見ている前で天に昇っていかれたのです。その後、彼らは「大喜びでエルサレムに帰り、絶えず神殿の境内にいて、神をほめたたえていた」とあります。ついこの前まで、恐れと不安に取りつかれ、家に鍵をかけて閉じこもっていた弟子たちが、敵対者が大勢いる神殿の境内でこのような行動をとるようになるとは、まるで人が変わってしまったかのようです。何が彼らを変えたのでしょうか。
 彼らを勇気づけ、奮い立たせたのは、大きく両手を広げて祝福しながら天に昇っていかれた主イエスのお姿ではなかったでしょうか。これによって主の両腕の中に包まれ、抱かれ、守られているという確信が弟子たちに与えられたのではないでしょうか。旧約聖書の数々のエピソードが教えるとおり(ヤコブが祝福をもらうまで一晩中、神の人と格闘する等)、聖書の民にとっては神の祝福は死活問題なのです。弟子たちも、自分たちへの応援と後押し、確かな約束として、主の祝福の姿を受け取ったのでしょう。
 また、主イエスが弟子たちやこの世界を祝福されたのは、ご自分の命と引き換えにするほどに、私たち一人一人の存在をかけがえのないものとしてくださったこと、そして福音宣教、すなわち、誰にとっても良き訪れである命の尊厳や取り換えのきかない一人一人の存在の価値を伝える使命が、私たちキリスト者と教会に託されたことを厳粛に受け止めなければならないでしょう。
 これはいつの時代にあっても、挑戦的で命がけの使命となるのです。なぜなら、この世は神の愛から遠く離れ、神を神と認めず、相対的にすぎないものを絶対化して、その結果、人間の命・尊厳をないがしろにする力が強く働くからです。時にその力に飲み込まれ、翻弄される私たち自身でもあるのですが、だからこそ、主に従う私たちは、大きく両手を広げ、祝福しながら天に昇って行かれた主イエスのお姿を絶えず思い起こす必要があるのではないでしょうか。
 ルカ福音書の続編である使徒言行録には、「イエスが離れ去って行かれるとき、彼らは天を見つめていた」(1章10節a)とあります。「見つめていた」とは、「アテニゼイン」というギリシャ語ですが、「一心に、注意深く見つめる」ことで、不思議なものをじっと見つめること、また期待と希望をもって見つめることです。
 私たちキリスト者も、例外なく誘惑や苦難に出会うことは必至なのですが、しかし、私たちを取り巻く文化・価値観が苦しみを避けるためなら何でもするという傾向が強いのに比べて、十字架の苦しみ・死を経て復活へと導かれる聖書の信仰は、苦しみの中から非常に大きな救いとなるようなことが生じるのだという、本当の希望に私たちを目覚めさせてくれるのです。
 この希望に目覚めた弟子たちは、もはや自分たちの命を狙う者たちの存在を恐れず、大胆に喜びにあふれて敵のただ中で神を賛美するのです。同じように私たちもまた、主イエスの姿を一心に見つめ、いと高きところにおられる神のまなざしを感じながら主を賛美し、証ししたいのです。飾り立てた言葉をならべる必要もなく、誰かのまねをする必要もなく、あるべき論も必要ありません。「わたしは、父が約束されたもの(聖霊)をあなたがたに送る。高いところからの力に覆われるまでは、都にとどまっていなさい」と主は言われました。
 「自力で」ではなく、父から送られる聖霊の力によって、また、孤立してではなく、主イエスにつながる群れとして、祈り賛美し、励まし合い、その時を待ちましょう。やがて、その群れの真ん中に聖霊が注がれます。

エッセイ「命のことば」 伊藤早奈

(63)「思う」

「祈りの度に、あなたがたのことを思い起こし、絶えず感謝しています。」エフェソの信徒への手紙 1・16

 「お祈りしております。」えっ? あの人からも「祈り」って言葉が言われるのね。
 それは退院の時でした。それからも何度か宗教的背景を私は聞いたことも見たこともない人たちからも聞きました。どういう意味だろう。多分その人たちにとって「祈り」とは神様への語りかけというような宗教的な意味は少ないような気がします。
 幼いころ私は祈りの中で自分の名前が呼ばれることが好きでした。祈りの言葉の意味がわからなくて退屈な気持ちになり、長いお祈りに飽きてしまったとしても、自分の名前がそのお祈りの中であげられると、その時だけ喜んでいました。
 今は違います。お祈りの中にお一人お一人のお名前が呼ばれると、心の中にお一人お一人が浮かび、後に続く祈られる方の言葉が、お一人お一人にかなうようにと思えるのです。
 「祈り」は変わりません。たとえ捉え方や捉える方の意味が変わったとしても、「祈り」はあなたを思い、あなたのためにあります。誰も気づいてくれなくても、神様が気づかれます。なぜなら、かけがえのないあなたへの思いだからです。
 私に「お祈りしております。」と言われた方の思いは、きっと「いつもあなたを思っております。」という意味だったのかもしれません。
 いつもあなたの名前を呼び、いつもあなたのことを思ってくださる方がおられます。誰にも気づかれないとしても、かけがえのないあなたのために。気づいた時にお伝えすればいいと思います。「神様、いつもありがとうございます。」とね。

「全国の教会・施設から」㉕

日本福音ルーテル大森教会
岩松信親(日本福音ルーテル大森教会 信徒)

 さて皆さんは大森教会をご存じですか。特になにが有るといった教会ではありませんが、一人一人の教会員を大切にして運営されております。この事は確かにすぐに結果を求めるのとは違い、少し時間は掛かりますが安定した教会運営が行われていきます。
 そこで具体的にどの様に運営されているのかです。総会や信徒会等の時は一人一人の意見や提案に対して、話を聞き、本当に気持ちを理解して進めて行きます。その発言者もああ良かったと感じることが大切です。確かに時間は掛かりますが、その後の教会運営が安定するものと考えております。簡単にできそうですが、どうしても上に立つ人の意見に引っ張られてしまうことが多々あります。なかなか初めから自分の意見を述べることは難しいですが、その時に周りが手を差しのべていくような、ささいな行動が新しい教会員が安定していく一つの道だと考えています。
 もう一つは「山王講座」といって、年に数回講座を開催しております。これはバッハの研究をされている方で、教会の役員である加藤拓未さんによって運営されています。演奏会を行ったり、音楽史の研究発表会を行ったりしています。本年度は11月30日(日)、12月7日(日)にメサイアの解説講座を行い、12月14日(日)にメサイアコンサートを行う予定です。よろしければ足をお運びください。
 これらのことを実施しながら、地道ではありますが安定した教会運営を行っています。大森教会のこれからの課題としては、現在、牧師が幼稚園の園長を兼ねていることです。教会の牧師と幼稚園の園長を分ける事が必要であると考える方もいらっしゃるかと思います。これまでの教会と幼稚園の伝統と、牧師の働き方の兼ね合いが大変に難しい問題であり、教会員と相談しながら進めていきたいと考えています。

九州ルーテル学院インターナショナルスクール小学部
安達 均(九州ルーテル学院インターナショナルスクール小学部 チャプレン・日本福音ルーテル神水教会・松橋教会 宣教師)

 九州ルーテル学院内で、児童教育を、しかも基本英語で行うインターナショナルスクール小学部が、2024年4月に授業開始にこぎつけました。(その背景には、台湾に本社を置くTSMCという世界最大の半導体受託製造企業が、2022年に熊本にも生産工場を建設することを決定したことがありました。)
 最初は30名でしたが、2025年4月時点で、62名のいろいろな国籍の児童が楽しく学んでいます。以下に、本小学部の校長、チャプレン、児童の声をお届けします。

「子ども自身が自ら問題に気づき、それを解決するために学び、自分なりの方法で表現していく、そのような学びを大事にしています。予測困難な正解のない社会に生き抜く力を身につけ、将来どのように生きていくのかを学ぶことができる学校です。ルーテル学院の伝統である英語教育、そして各学年定員20人という少人数教育で、一人一人に合った学びを展開していきます。これからの未来に必要な平和な世界を創る国際的な人が育つインターナショナルスクールです。」(校長・上妻 薫)

「毎朝の礼拝で聖書の言葉を聴き、賛美歌を歌い、祈ります。週に1時間は聖書を学ぶ時間があります。聖書にある目からうろこが落ちるような数々の物語を通して、神がいかにこの地球環境も人も愛し、罪深い人類を諦めないでおられるか(キリストの恵み)に気づかされ、神に感謝し、喜んで隣人に奉仕する(感恩奉仕)人格教育が行われます。このような礼拝を守る態度と聖書に親しむ習慣は、世界にどのような変革が起きようが、あるいは一人一人の人生にどのような岐路を迎えても、神の愛とキリストの恵みを土台として真理を探求し続ける者へと導かれると信じています。」(チャプレン・安達 均)

「この学校に来てから、日常生活で英語をよく使うようになりました。この学校はきれいな花や木がたくさんあって、とても気に入っています。それに、とてもきれいで大きな学校です。この学校の先生たちはとても熱心で、私たちのことをしっかりサポートしてくれます。クラスメートはみんなとても親切です。」(上級生児童)

改・宣教室から

小泉基(日本福音ルーテル札幌教会牧師・宣教室長)・大和 由祈(日本福音ルーテル大岡山教会 信徒)

小泉 大和さんは、捜真女学校というキリスト教学校で海外研修を担当していると伺いました。どのような研修なのですか?
大和 もう20年以上前、生徒が文化祭の売り上げ等でカンボジアに小学校の校舎を贈呈したことで、この小学校を訪問する研修が始まりました。毎年有志の20人〜30人が参加し、小学校での交流や集めた文房具の寄贈の他、NPO団体への訪問、内戦の博物館見学なども組み入れられています。
小泉 研修の担当には、困難も喜びもありますよね。
大和 コロナ以後は、参加希望者を募ることに難しさがあります。ですが、学年も部活動も動機もばらばらだった高校生たちが、事前学習や交流会準備、現地での毎晩の振り返りを通じて、だんだんと一つのチームになる姿を見ているとうれしくなります。参加する生徒の力で「研修が一つの作品に作り上げられていく」という感覚があって、毎回「どんな作品になるのか」と楽しみにしながら関わっています。
小泉 研修を担当することになった経緯を教えてください。
大和 高校生の時にJELAのアメリカワークキャンプに参加して海外での支援活動に関心を持つようになりました。でも、大学でバングラデシュへのスタディーツアーに参加したとき、「まずはこの現状を日本の若者に伝えなければ」と感じ、教員を志すようになりました。同時期に、教会の中高生キャンプにスタッフとして関わったことも影響したと思います。そして教員になって1年目に、この私の経験を知った先輩が、学校で行われていたカンボジア研修の担当に誘ってくださったのです。そこから引率すること8回、学校の中でも「カンボジアといえば大和」となるくらい、どっぷりカンボジアに漬かっています。
小泉 ありがとうございました。最後に、生徒さんとの関わりで大切にしておられることと、愛唱聖句を教えてください。
大和 大学生の時に教授に言われた「教会は自分の意思で『教会に行こう』として来た人にしか神様の福音を語れないけど、生徒たちは必ずしも『キリスト教学校だから』来るのではない。だから学校の方がたくさんの人に神様の福音を語れる可能性がある」という言葉です。宗教行事に限らず、一人一人とのやりとりやその可能性を生かせる場所や機会を用意し、さまざまな経験をさせてあげることで、生徒たちが「私たち人間は一人一人、神様に愛されている存在であること」を実感してほしいと思っています。愛唱聖句は、ヘブライ人への手紙12章11節です。

世界の教会の声

浅野直樹Sr.(日本福音ルーテル市ヶ谷教会牧師・世界宣教主事)

南米のサマーキャンプ

 アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイといえばカトリック信徒が大半の国ですが、ルーテル教会もあります。これら3カ国がひとつのルーテル教会IERP(リオ・デ・ラ・プラタ福音教会)を形成しています。今年1月、IERPはユースサマーキャンプを実施しました。南半球に位置しているので1月がまさにサマーキャンプ。3カ国のそれぞれの教会が独自に企画、テーマを設けて青年たちの霊的成長を目指しました。
 今年の集会のハイライトは、アルゼンチンの青年エンゾ・ヤコブシさんの洗礼式でした。アルゼンチンのミシオネスでのサマーキャンプで彼は洗礼を受け、それによって参加した90名の青年たちの連帯と信仰が強められました。エンゾさんは数年前に経験した大きな事故から回復、それがきっかけとなり教会につながり友人を得て、教会が居場所となりました。彼の証しは参加した青年たちの心に届き、サクラメントの大切さを学びました。
 アルゼンチン西地区での南米のサマーキャンプテーマは「神は愛」。ディーコンのルベンさんは、神の存在を感じとれる環境の大切さを強調しながら、「信仰が強められ、愛することの意味を深く知る機会となりすばらしいキャンプでした」と感想を述べています。
 パラグアイでは「何事にも時がある」(コヘレトの言葉3・1)をテーマに109人が集まりました。ワークショップでは日々の霊性、不安、創造性、リサイクルなどについて話しあい、夜はキャンプファイアで振り返りをしました。「目的をもって生きることを神様から教えられ、そのときそのときが大切なのだとキャンプで気づきました」。(パトリシアさん)
 ウルグアイでは17人が参加、「強いルーツと健康に生きる」をテーマに、健康的な食生活や性についてワークショップをしました。ビーチタイムやサッカー、コスプレ、ディボーションと盛りだくさん。参加者たちは信仰と健やかに生きることの大切さに気づき、「助け合うことで絆が強くなりました」と体験を話してくれました。
 こうしたキャンプは青年たちの霊性を高め、ルター派信仰への自覚を促し、神と出会う時となりました。霊的リニューアルを体験してキャンプを終え、貴重な時間を過ごすことができました。

https://lutheranworld.org/news/summer-camps-youth-strengthen-faith-and-community

世界ルーテル連盟(LWF)第28回 国際牧師セミナー報告

多田 哲(日本福音ルーテル合志教会・水俣教会 牧師)

 2025年3月8日〜22日まで、ドイツのヴィッテンベルクにて開かれたルーテル世界連盟(以下 LWF)第28回国際牧師セミナーに参加しました。テーマは「聖なる教父たちに従い、我々は一致して教える〜ルター派にとっての信条〜」です。LWFに加盟する18か国20教会から21人の牧師が参加し、講義やディスカッション、さまざまな課外プログラム、お互いの教会の紹介などが行われました。毎日のプログラムは礼拝に始まり礼拝に終わります。
 LWFヴィッテンベルク・センター学監の先生と参加者が毎朝夕の礼拝を担当し、準備や振り返りの中で典礼と神学との不可分な関係が繰り返し強調されました。信仰は具体的な礼拝の実践を通してこそ生きると改めて学び、特に「神学なくして典礼なし、典礼なくして神学なし」という言葉が印象的でした。敬虔(けいけん)主義と信仰覚醒運動との影響を強く受けている日本のプロテスタント教会の個人主義的信仰文化に対して、典礼の重要性と世代を超えて継承される共同体の信仰形式の重要性を思わされました。

 講義は2人の専門家の先生が担当され、第1週は信条学が専門のイシュトヴァーン・パーストリ=クパーン博士(カーロリ・ガースパール大学)による初代教会の信仰告白に関して、使徒言行録から読み解いていく講義です。イエスはキリストであると告白する最古の信仰表現に始まり、異邦人への福音伝道、エルサレム使徒会議における律法問題、そして神の言葉を人間の言語で表現する限界が論じられました。それゆえに人間は神学の研究と翻訳の努力とを教会の歴史の中で積み重ねてきたのです。
 第2週はケスリーン・クラインハンス博士(キャピタル大学トリニティ・ルーテル神学校)による公会議と信条形成の歴史についての講義です。初期の公会議におけるアリウス派の問題、ニケア信条の意義、それを受け継いだカトリック教会とルター派の信条が取り上げられました。特に「わたし」と「わたしたち」という信仰告白表現の違いが掘り下げられ、現代の個人主義とは異なる、教会の一致を前提とした信仰告白の意味が強調されました。さらに、ルターによる召命観と教育観、社会への働きかけが「信仰の告白」の一部であることが確認され、単なる個人の確信に留まらない「公同の証し」として信条を捉える視座が与えられました。

 また、参加者それぞれの教会の歴史や組織形態についてお互いに紹介した際には、世界のさまざまな地域や異なる社会の状況にあっても、同じルーテル教会として共通した恵みや課題を共有していることを確認しました。総じて、神学の講義から学ぶというよりも、世界各地の異なる文化の中で牧会にあたるルーテル教会の牧師たちが信条と礼拝を通じて「A Communion of Churches」というLWFのモットーを体験することが、このセミナーの中心的な目的であったように思います。

ブラウンシュヴァイク(ELKB)訪問報告

多田 哲(日本福音ルーテル合志教会・水俣教会 牧師)

 2025年3月23日(日)、世界ルーテル連盟のセミナー後にドイツのヴォルフェンビュッテルを訪問し、ブラウンシュヴァイク福音ルーテル州教会の日本協働会との懇談会に出席しました。この懇談会は、日本協働会の前・委員長ボードー・ヴァルターさんが私の渡独に合わせてコーディネートしてくださいました。出席者はヴァルターさんの他に、現委員長のアンドレアス・ヤンケさん、世界宣教主事のマルティン・エバーレ牧師ら10名で、短い時間でしたが意見交換を行いました。
 日本に昨年派遣されていたタベアさん、ヤンさんの姿もあり、ヴァルターさんとも久々の再会で、旧交を温めながら今後の協力について話し合う良きひとときとなりました。
 懇談の中では、オンラインによる継続的な対話の可能性や、教会が担うディアコニアの働きに関する話題が上がりました。特に、原子力問題のような、ブラウンシュヴァイクでも日本でも社会的関心の高いテーマを共有することで、お互いの教会がさらに実質的な関係を築けるのではないかという提案がなされました。ブラウンシュヴァイクは地域内に「ASSE Ⅱ」という閉山した鉄鉱山を利用した核燃料廃棄物の最終処分場を抱えており、その危険性に対する社会の関心を喚起するために定期的に現地で礼拝を続けています。
 また、幼稚園や保育園は日独双方において教会と社会との関わりの深い働きであるので、職員研修などを日本とドイツとでオンラインで連携する案も提示されました。ドイツの教会も、牧師・信徒数の減少や兼牧・兼任の多さなど、多くの共通した課題を抱えています。その中で日本の教会に何かヒントがないかとの問いかけもありました。国が違っても現場の苦悩は共通しており、今後のパートナーシップをどう維持・発展させていくかの鍵になると思います。
 さまざまな課題がある中でも、ブラウンシュヴァイクの教会の皆さんが日本の教会の働きを覚え、祈ってくださっていることもお聞きし、この日も喜望の家の働きのために、ブラウンシュヴァイク大聖堂をはじめ複数の教会が献金をささげてくださいました。本当に深く感謝いたします。今秋にはヴァルター氏らの来日も予定されており、再会と新たな協議の時を楽しみにしています。

日本福音ルーテル教会 第31回定期総会開催報告

竹田大地(日本福音ルーテル天王寺教会牧師・広報室長)

 2025年5月5日〜6日に、日本福音ルーテル教会宣教百年記念東京会堂にて「日本福音ルーテル教会 第31回定期総会」が開催された。前回の第29回・第30回定期総会において1泊2日での開催が決定し、今総会より1泊2日の日程で行われた。
 全国各地の日本福音ルーテル教会・施設から、信徒と教師の議員が一堂に会し、「隣人のために一人のキリストとなる」という主題のもと、第13号議案にまで及ぶ議題について議論し、意見を交換した。
 はじめに松本義宣牧師(東京教会・板橋教会・教師会会長)の司式、日笠山吉之牧師(九州学院チャプレン)の奏楽、永吉秀人牧師(東京池袋教会・総会議長)の説教によって開会聖餐礼拝を執り行った。説教の中で永吉議長は、教会はいま、どのように隣人となり、福音を分かち合っていくか苦闘していること、その中で教会としての使命と課題を問われていること、その事がらに取り組むにあたり、グローバル、エキュメニカル、ヒストリカルであることによって教会の使命を託されてきたことを確認した。特にヒストリカルということを強調して、歴史を知ってこそこれからの日本福音ルーテル教会の宣教がされていくべきであり、さらに歴史を知ることにより福音を届けてくれた人たちへの尊敬と感謝と友情を与えられてきた。これを現代にある教会も後世へと残していきたいと述べ、このことを成していくにあたり、出会った目の前のその人と生きていくことを会衆と分かち合った。
 その後、前回総会から今総会までの間に按手を受けられた牧師、引退された牧師のあいさつが行われた。
 今総会における大きなトピックは、「教職育児介護休業規定の件」と、2025年度からのルーテル学院大学新規学生募集停止決定に伴い、ルーテル学院大学の今後と日本ルーテル神学校における「教職養成の今後の件」について特に時間を用いて議論と意見交換の時間を持った。
 総会議長、副議長選挙がそれぞれ行われ、永吉秀人牧師(東京池袋教会)が総会議長に、滝田浩之牧師(札幌教会)が副議長に選出された。また、書記指名選挙では李明生牧師(むさしの教会)が指名され、信任された。会計には、橘智氏(東京教会)、総会選出信徒常議員(財務担当)には、鈴木亮二氏(大岡山教会)、総会選出信徒常議員には、荒井奈緒子氏(東京教会)がそれぞれ選出された。
 閉会礼拝(新常議員就任式)は、河田優牧師(日吉教会・横浜教会)の司式、宮澤真理子牧師(市川教会)の奏楽、2026年3月で定年を迎えられる浅野直樹 Sr.牧師(市ヶ谷教会)の説教によって執り行われた。浅野牧師より、キリスト者へと招かれたご自身の経験をもとに、神から選ばれて、召され、人知では理解できない神の御業によりキリスト者一人一人があり、教会の働きに遣わされていることを分かち合っていただいた。
 また、礼拝の中で第31回総会期新常議員の就任式が行われ、総会の全日程を終了した。
 次回の第32回定期総会は2027年5月3日〜4日に開催予定である。
 日本福音ルーテル教会第31回定期総会の詳細については、後日配布される「日本福音ルーテル教会 第31回定期総会議事録」をご覧ください。

第32回 春の全国teensキャンプ報告

森田 哲史(日本福音ルーテル大森教会 牧師・第32回春の全国teensキャンプ キャンプ長)

 今年の「春の全国teensキャンプ」(以下、春キャン)はコロナ後の3年間開催された千葉県を離れ、宮崎県えびの市で行いました。
 今回はディスカッション中心の春キャンから体験中心の春キャンを目指し、廃校を活用した農作業を体験できる宿泊施設で行われました。さあ、いざ農作業だ!と思っていましたが、あいにくの荒天。急きょ予定を変更して、ケージ飼いと平飼いの両方を実践している養鶏場を訪ねました。養鶏家の方のお話を聞きながら、普段口にするものがどのように私たちに届くのかを考えさせられました。また、餌やりをさせていただいて、採卵した卵を食事の時に食べたりしました。
 聖書からは神様からの恵みを、出エジプト記のマナや主の祈りを通して考えました。目に見える恵み、目に見えない恵み、一見私たちには善いとは捉えることができない恵み、さまざまな恵みを聖書に聴き、それぞれの体験を分かち合いました。閉会礼拝では安達均チャプレンから、「その日の糧」とは食べ物だけではなく、イエス様のことでもあること。そして食べ物もイエス様も私たちが祈る前から与えられていることを聴きました。
 参加者からは、次のような感想がありました。
「私は、『めぐみ』とは何かについて話し合った時の、チームの答えに深く感銘を受けました。それは、『プラスのことだけでなく自分にとってマイナスなことでも、めぐみだと思う』という言葉です。私はそれに対して、そんな視点があるんだと思いました。自分だけでは出てこない答えを聞けて、視界が広くなったように感じました。私は、このように人から学べることも『めぐみ』だと思います。私たちの周りには沢山の『めぐみ』が見えないところにもあるということを実感しました。」(原文ママ)
 各教会をはじめとする多くの方の祈りと、各教区、女性会連盟などの皆さまのお支えによって、恵みのうちに終了することができました。感謝して報告に代えさせていただきます。参加者の感想をまとめた思い出集を各教会にお送りさせていただいていますので、そちらもぜひご覧ください。

第32回春の全国teensキャンプ概要
開催日程:2025年3月26日〜28日
会場:宮崎県えびの市Agritel
テーマ:日ごとの糧
主題聖句:「見よ、わたしはあなたたちのために、天からパンを降らせる。民は出て行って、毎日必要な分だけ集める」(出エジプト記16章4節)
参加者:30人(北海道1人、東10人、東海9人、西2人、九州8人)
スタッフ:26人
キャンプ長:森田哲史牧師
チャプレン:安達均牧師
プログラムのねらい:自然の中で神様の恵みを知る。

公告

この度、左記の行為を致しますので、宗教法人法第23条の規定に基づき公告致します。

2025年6月15日
宗教法人 日本福音ルーテル教会
代表役員 永吉秀人

信徒・利害関係人 各位

水俣教会牧師館底地部分と学校法人熊本ルーテル学園所有の土地との等価交換

1)所在地 水俣市陣内二丁目80番5
所有者 日本福音ルーテル教会
地目 宅地
地積 147.95㎡

2)所在地 水俣市陣内二丁目80番5
所有者 日本福音ルーテル水俣教会
種類 牧師館
構造 木造2階建て
床面積
 1階)70.24㎡
 2階)26.44㎡

理由 学校法人熊本ルーテル学園の所有する以下の土地との等価交換のため
所在地 水俣市陣内二丁目74番・75番
所有者 学校法人熊本ルーテル学園
地目 宅地
地積 127.81㎡
状況 更地

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