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るうてる《福音版》  2009年 3月号

機関紙PDF

バイブルメッセージ  そのままのあなたで

マリアは言った。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」
ルカによる福音書1章38節(日本聖書協会『聖書 新共同訳』)

花になろうよ。
とは言っても綺麗に着飾る必要もないし。他の人より目立つ必要もない。ただ、今与えられている場所で生えればいい。今与えられている「時」を感じて精一杯生きればいい。

そのまま生きるって、なんだか難しい。
「そのままのあなたでいい」って言われたことある? 「そのままのあなたでいい」そう言って一人ひとりを受け入れておられる方を知ってるよ。自分がそのままでいいはずないじゃんって思ってたって、あなたが気付かなくたって、もうすでにあなたの存在そのまま丸ごと受け入れられている。
「うそだ」って言われても私にはどうしようもない。
あれも、これもできなくてはいけない。できないと私はだめなんだっていくら思っても。一人ひとりの命をつくられた方がおっしゃるんだもの「そのままのあなたでいい」って。
あなたを包み込む丸ごとの愛は誰にも真似できない。しなくてもいい。それは人間業ではないからね。

そのままの自分てわからない。わからないよね。あなたをつくられた方にしかわからないよ、きっと。
いいじゃん。そのままのあなたがいいんだから。何をやっても私はダメなんじゃなくて、やってみたあなたはすごいと思うよ。深呼吸してみようよ。立ち止まってみようよ。あなたは生かされているんだよ。今というかけがえのない時を与えられているんだよ。
当たり前のものは何もない。朝、目覚めること。言葉を話すこと。笑顔でいられること。歩くこと。食べること。いろんな人と出会うこと。
当たり前のものは何もない。だからって失うかもしれないからと不安になることないよ。今があるんだから、今を精一杯生きればいい。
過ぎた時は変えられない。他人を変えることもできない。あなたが変わればいい。あなたらしく「ありがとう」を伝えればいい。

きっと「ありがとう」がいろいろな色をしているんだよ。「ありがとう」はいろんな形をしているんだよ。命の数だけ。
花になろうよ。与えられた「今」をそのまま生かされて。自分色の「ありがとう」をそのままここに生やすんだ。

 

十字架の道行き

【第十二留】イエス、十字架上に死す ルカによる福音書 23章46節
【祈りの言葉】
主よ、あなたはどのように苦しむべきか、最後まで耐え忍ぶ道を教えられます。
今から後、ただ主にあって生き、主にあって死ぬものとしてください。

毎日あくしゅ

2パーセント

ノートルダム聖心女子大理事長の渡辺和子さんは、「どんなことにも、2%ぐらいは、いやなことがある」と言われます。なぜ2%で、10%ではないのかと尋ねられても返答はできないが、世の中には100%全部よいことはあり得ない。どんなに物事が上手くいっても周りの人が親切でもわだかまりがないようなときでも、ほんの少し「いやだな」と思うことが必ずあるようだ。それはまた逆も言えて、どんなことにも2%位は救いがあるということにも通じる。運命は冷たく、摂理は温かい。摂理はどんなことにも2%の「いやなこと」を残し、同じく2%の「救い」を残している。その2%に気づいて、どんなに物事がうまく行っているときにも自戒する厳しさと、どんなに辛い最中にもなおかつ希望を捨てずに生きる優しさを自分に抱くことも、これまた恵みであると言われます。
間もなく卒園を迎える年長組の園児の顔には、もうピカピカの小学校1年生の雰囲気が漂い始めています。彼らはそれぞれに、小学校という大きな希望に満ちた場所に通うことを指折り数えて、その準備をしていることでしょう。保護者の方も、我が子の成長と希望と期待を込めて入学を心待ちにしておられるに違いありません。
これからもどんな状況に置かれても褒めてください。この褒めることの難しさは,誰もが経験しているように、生易しいものではありません。渡辺和子さんは、「どんなことにも、2%ぐらいは、いやなことがある」が同時に、「どんなことにも、2%ぐらいは、いいことがある」と言われました。往々にして、大人は子どもの2%の失敗を、90%の失敗と見なしてしまいがちです。しかし、子どもが大きく成長するのは、ほんの僅かの2%のいいことを大切に、心を込めて受け入れ、褒めたとき、子どもは大きく羽ばたくきっかけを自ら手に入れることになるのです。隣の子どもと同じである必要はありません。それどころか、その2%を大切に扱い、受け入れる人がいてくれるとき、どれほどの安心と自信になることでしょう。
(園長)

谷センセイの教育い・ろ・は

最終回 学校における道徳教育 その2

敗戦からわずか4、5年の間に進められた急激な教育改革は、アメリカの押し付けという見方と、戦前からの教育改革の芽を占領軍が再評価し、育てたのだという2通りの見方がある。森戸辰雄・元文相などは後者の見方をした。
昭和26年、対日講和会議を控え〈占領教育〉は終末に近づきつつあった。だが朝鮮戦争勃発を機に、日本は〈太平洋の反共防波堤〉の役割を負うこととなり、それが政治・経済・教育など、すべてに影響した。保守陣営は〈占領教育の是正〉という大義名分を掲げ、国民道義の高揚や愛国心教育を突如言い出し、やがて文部省と日教組の深刻な抗争となっていく。文部省は特設の「道徳」説明会を開催するため、日教組の実力行使を排除せんと、会場入口を警官隊で固めて強行突破を図る。一方の日教組は、第17回定期大会で「天下り道徳教育反対」のスローガンを掲げて、全国的な反対運動の展開を決定する。
昭和33年、学校教育法の施行規則が改められ、「道徳」は法的に教育課程に位置付けられたのだが、この対立の後遺症は根深く、道徳教育の混乱は最近まで続いたのである。
当時、20代後半の教師だった私は、誰も引き受け手のない道徳担当を命じられており、自分なりの判断を必要とした。誰にも相談せず「明治期の修身教育に行き過ぎのあったことは事実だが、その欠点をもって、道徳教育を否定するのは行き過ぎだ」、「文部省や教育委員会の的を欺く作戦も頂けない」、「子どものための道徳教育を考えていこう」という結論に達した。そして、退職するまでの33年間を道徳研究一筋で歩んだのである。
「道徳」は、正式には「道徳の時間の指導」と呼ばれるが、戦前の修身科に比べると、かなり進化したものになっている。以下にその要点をまとめておく。
①「修身科」は教師中心主義だったが、「道徳」は児童中心主義の立場をとる。
②「道徳」と「道徳教育」の違いを押さえ、その違いを整理して指導に当たる。
③「道徳指導」を道徳教育の「要」として、指導すべき内容を4つに集約している。
(ア)主として自分自身に関すること
(イ)主として他の人とのかかわりに関すること
(ウ)主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること
(エ)主として集団や社会とのかかわりに関すること
④多様な指導資料を用いて、児童生徒に分かりやすく考えさせようとしている。
⑤読み物、視聴覚資料、討議や討論、ロールプレイなど、指導方法が多様である。
⑥教師とのやり取り、児童生徒相互の対話による本人の気づきを大切にしている。
⑦「修身科」では本音を語れなかったが、「道徳」では正直な自分が発表できる。
⑧授業の後半では、自分自身の態度を考えさせ、実践意欲に結びつけている。

欧米の児童生徒の言語表現力はたくましい。その点、日本の児童生徒は口下手なので、道徳の学びを通し、内面的なコミュニケーション能力を高めていくように仕向けたい。
学校から「心のノート」が配布されるので、家庭でも活用することをお勧めしたい。

谷 健(たにけん)…昭和5年7月生まれ。東京都の公立小学校7校の勤務。専門は英語、道徳。道徳副読本の編集に従事。

「谷センセイの教育いろは」今回をもって終了いたします。1年間ありがとうございました。

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