るうてる2019年5月号
説教 あなたがたに平和があるように 日本福音ルーテル教会 牧師 木下 理
イエス御自身が彼らの真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。(ルカによる福音書24・36)
弟子たちが主の復活を信じる信仰をもっていたのであれば、キリストは何度も復活の姿を弟子たちに見せるには及びませんでした。復活は人類の歴史上かつてない大きな出来事でしたから、弟子たちが復活を容易に信じることができなかったのも無理はありません。それにしても、弟子たちにご自分の復活を信じさせようとするキリストの努力は、並々ならぬものでした。
主イエスの復活を信じてエマオから引き返してきた2人の弟子と、エルサレムに残っていた弟子たちとが、互いに復活のイエスについて語り合っていると、イエスご自身が再び復活の姿を現されました。
そしてイエスは、弟子たちの真ん中に立って、「あなたがたに平和があるように」と言われました。弟子たちは恐れて幽霊だろうと思いました。イエスは、そんな弟子たちに、「なぜ、うろたえているのか。どうして心に疑いを起こすのか。わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしだ。触ってよく見なさい。亡霊には肉も骨もないが、あなたがたに見えるとおり、わたしにはそれがある」と語られました。
それでもなお不思議がっている弟子たちに、イエスは「ここに何か食べ物があるか」と言われました。弟子が焼いた魚を一切れ差し出しますと、イエスはその魚を彼らの前で、いつものように食べられました。復活の体に、空腹を満たす必要はありません。焼魚を弟子たちの前で食べられたのは、復活を彼らに確信させるための、愛と憐れみの行為であったと思います。
ところで、使徒言行録9章3節以下には、パウロが回心へと導かれたときのことが記されています。「サウロが旅をしてダマスコに近づいたとき、突然、天からの光が彼の周りを照らした。サウルは地に倒れ、「サウル、サウル、なぜわたしを迫害するのか」と、呼びかける声を聞きます。「主よ、あなたはどなたですか」と言うと、答えがありました。「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。起きて町に入れ。そうすれば、あなたのなすべきことが知らされる」とあります。パウロは生前のイエスと生活を共にしていた、いわゆる弟子ではありません。しかし彼は、「イエス・キリストとキリストを死者の中から復活させた父である神とによって使徒とされたパウロから」と、ガラテヤの信徒に宛てて手紙を書きました。パウロに回心を迫った復活の主の言葉は、彼をキリストの迫害者から、キリストの全権大使とも言える使徒へと大きく方向転換させるほど、強いインパクトがありました。
主イエスを裏切ってしまった弟子たちからすれば、後ろめたい気持ちがあったはずです。それなのに、主イエスは「わたしはあなたがたに裏切られてとても悲しかった」とは言わないで、「あなたがたに平和があるように」と言ってくださいました。この言葉がなかったら、弟子たちは不安な気持ちを持ったまま、一生を過ごさなければならなかったでしょう。良心がとがめるような心の状態で、福音を全世界の人々に伝えるために立ち上がることは出来なかったと思います。
「あなたがたに平和があるように」との言葉は、「サウル、サウル、なぜわたしを迫害するのか」とパウロを回心させた言葉と同じように、弟子たち一人ひとりに、強い影響を与えた言葉でした。この言葉が彼らの心に生きて働くために、主イエスは何度も何度も復活の姿を弟子たちの前に現わし、自分の手足を見せ、魚を食べて、自分が復活したことを証明してくださいました。並々ならぬ、主イエスの努力です。わたしたちは、キリストご自身の証しを、素直に信じたいと思います。
「あなたがたに平和があるように」という言葉は、2千年前の弟子たちにだけ語られた言葉ではありません。歴史を通して、現在を生きているわたしたち一人ひとりに語られている言葉です。主イエスは今も、わたしたちの生活しているところに出かけて来て、日常茶飯事と思われるような平凡なことがらを通して、わたしたちに話しかけてくださいます。また、職場や家庭での色々な問題を通して、ご自分が復活されたことを示してくださいます。この主イエスに接するならば、わたしたちの心は穏やかにされるに違いありません。
キリストは、今も説教者や証し人や奉仕者を用いて、「あなたがたに平和があるように」と伝え続けておられます。皆さんお一人おひとりのうえに、主の平和がありますように。
コラム 直線通り 久保彩奈
⑭「そして今、神とその恵みの言葉とにあなたがたをゆだねます」(使徒言行録20・32)
船で旅立つ友人を港で見送りました。東京から北九州まで運航する、そのフェリーの全長はなんと191m、想像を超える大きさでした。フェリーの後ろ姿は真四角でまるで箱のよう。創世記のノアの箱舟を思い出させました。
ノアの箱舟はその名の通り、まさに「箱」で、舵も帆もありません。つまり行きたいところに自らの力では行けないのです。また箱舟に動物たちと家族が乗り込み、最後にノアが乗り込むとき、その戸を閉めたのは神様でした。強い主導権をもって、神様はノアとその家族を導いていくのです。
わたしたちの歩む人生も、まさに箱舟の船旅のようではありませんか。自分で選択し決断したと、あたかも舵を握って運航しているのは自分だという思いを捨て、全てを委ねて生きていく。そして委ねた先の新しい地で、神様の与える希望と祝福があり、虹がかかるのです。
「そして今、神とその恵みの言葉とにあなたがたをゆだねます。この言葉は、あなたがたを造り上げ、聖なる者とされたすべての人々と共に恵みを受け継がせることができるのです」(使徒言行録20・32)
かつてノアがしたように友人も、まだ見ていない事柄を恐れかしこみながら受け継ぎました。わたしも、わたし自身の人生を神様に委ねながら生きる者になりたい、と切に願うのです。恵みのひだまりを受け継いで。
議長室から 「 網仕事(ネットワーク)」 総会議長 大柴譲治
「話し終わったとき、シモンに、『沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい』と言われた。シモンは、『先生、わたしたちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう』と答えた。そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。」(ルカ5・4~6)
「大柴先生、イエスさまがなぜ漁師を最初の弟子とされたかをご存知ですか。」「・・・?」「漁師は網を仕事道具にしているでしょう。だから主の弟子たちである私たちもまた『網仕事(ネットワーク)』に従事するように召し出されているのです」。
按手式でも紹介させていただきましたが、これは昨秋宣教協力50年を記念してドイツのブラウンシュヴァイクを訪問した際の、ドイツ人と結婚されたある日本人女性(Ms. Huwe Hisae)とのやりとりです。ドイツにも日本の宣教のために長く熱く祈り続けてきてくださったグループが存在します(すべてのパートナーチャーチにはそのような祈りのネットワークがあります)。その言葉を伺って私の中では「なるほど!」とすべてがストンと腑に落ちました。「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしよう」(マルコ1・17)という主の召命の言葉の意味が分かったように感じたのです。 確かにそうですね。私たち弟子の仕事はキリストのセイフティネットワークという網の中に人々をすくい上げる仕事なのです。それは本当の意味で一人ひとりを生かすネットワーク構築の仕事です。
日本社会は確かに物質的に豊かになり便利になりました。しかし同時に、社会では多くの人々が孤立感を深めています。「こころ/魂」に焦点を当てるならば、その飢え渇き(スピリチュアルニーズ)はこれまで以上に大きくなっています。現在61万人もの「中高年のひきこもり」がいると最近伝えられていました。SOSを発する声がそこかしこから聞こえてきます。私たちのいのちの網を紡いでゆく務めはさらに重要になっています。
既に関わっておられる方も少なくないと思いますが、様々な次元でネットワークの構築が求められているのでしょう。
夜通し努力したにもかかわらず、何の収穫もなく徒労と失望の中にある弟子たちに復活の主は命じました。「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」(ルカ5・4)。「沖」とは「さらに深いところ」という意味です。「お言葉ですから」というペトロの言葉には「お言葉ですが」というアンビバレントな気持ちをも感じます。
しかし、主はそのようにためらう私たちを信頼して、その網仕事を託してくださった。そのことを覚えつつ今ここを大切に歩みたい
登録有形文化財へ「日本福音ルーテル久留米教会礼拝堂」及び「煉瓦塀」
昨年11月、日本福音ルーテル久留米教会礼拝堂は献堂百周年を迎えました。そして更にこの度、礼拝堂及び煉瓦塀が国の登録有形文化財に登録されることとなりました。多くの喜びを皆様と分かち合えますことを、本当に嬉しく思います。
振り返れば数年前、中島康文牧師から文化財登録を薦められ、手続きに詳しい大学の先生をご紹介頂き、色々とご教授頂きました。 それから半月ほど、今度は近所の設計事務所の方が訪ねて来ました。連絡を受けたのかと思いきや、そうではなく、全くの偶然。曰く、文化財に関するワークショップで文化財登録の書類を書くことになり、その題材を探しているとのこと。渡りに船とはこのことと、実際に申請を書いて頂くことになりました。
そしてその翌週、今度は国・県・市の文化財関連の方が3名一緒に教会にやってきました。随分と早い対応だと思い驚いていると、これまた全くの偶然で、市内の歴史的な建造物を見て回っているとのこと。経緯を話すと文化庁の方も、「素晴らしい建物です、これなら登録は間違いない」と太鼓判を押してくださいました。一か月も経たない内にこれだけの事がありますと、「あぁこれは文化財登録をせよとの神様の導きだ」と、もはや疑う余地はありませんでした。
そして、今回の登録です。思いがけないこともありました。献堂百周年の講演会の講師の先生や文化財登録の為に調査に来た方が、教会の塀を見て「これは貴重なものだ」と言うのです。この塀は煉瓦積みの表面に擬石づくりで装飾が施されており、大正時代のものがこうして現存しているのはとても珍しいとのこと。実は壊してフェンスにしようかなどと話していたのですが、慌てて撤回し、今回「煉瓦塀」も併せて文化財登録されることとなりました。
今回の文化財登録によって、より多くの方に教会を知っていただけることに感謝すると共に、それを通して神様と出会う方が一人でも増えてくれればと、久留米教会一同、心より願っています。
昨年11月、日本福音ルーテル久留米教会礼拝堂は献堂百周年を迎えました。そして更にこの度、礼拝堂及び煉瓦塀が国の登録有形文化財に登録されることとなりました。多くの喜びを皆様と分かち合えますことを、本当に嬉しく思います。
振り返れば数年前、中島康文牧師から文化財登録を薦められ、手続きに詳しい大学の先生をご紹介頂き、色々とご教授頂きました。 それから半月ほど、今度は近所の設計事務所の方が訪ねて来ました。連絡を受けたのかと思いきや、そうではなく、全くの偶然。曰く、文化財に関するワークショップで文化財登録の書類を書くことになり、その題材を探しているとのこと。渡りに船とはこのことと、実際に申請を書いて頂くことになりました。
そしてその翌週、今度は国・県・市の文化財関連の方が3名一緒に教会にやってきました。随分と早い対応だと思い驚いていると、これまた全くの偶然で、市内の歴史的な建造物を見て回っているとのこと。経緯を話すと文化庁の方も、「素晴らしい建物です、これなら登録は間違いない」と太鼓判を押してくださいました。一か月も経たない内にこれだけの事がありますと、「あぁこれは文化財登録をせよとの神様の導きだ」と、もはや疑う余地はありませんでした。
そして、今回の登録です。思いがけないこともありました。献堂百周年の講演会の講師の先生や文化財登録の為に調査に来た方が、教会の塀を見て「これは貴重なものだ」と言うのです。この塀は煉瓦積みの表面に擬石づくりで装飾が施されており、大正時代のものがこうして現存しているのはとても珍しいとのこと。実は壊してフェンスにしようかなどと話していたのですが、慌てて撤回し、今回「煉瓦塀」も併せて文化財登録されることとなりました。
今回の文化財登録によって、より多くの方に教会を知っていただけることに感謝すると共に、それを通して神様と出会う方が一人でも増えてくれればと、久留米教会一同、心より願っています。
新入生を迎えて日本ルーテル神学校が 新年度へと歩み出しました
4月2日、ルーテル学院大学・日本ルーテル神学校入学式が行われ、ルーテル学院大学総合人間学部136名、大学院21名、そして神学校としては2年ぶりに新入生6名を迎えました。
神学校の牧師養成コースの新入生は新井航さん(NRK杉並聖真ルーテル教会)、笠井春子さん(JELC田園調布教会)、三浦慎里子さん(JELC室園教会)の3名です。そして今年度から開設された神学一般コースには3名の新入生を迎えることとなりました。 翌4月3日には、司式・河田優チャプレン、説教・石居基夫校長による神学校入学始業聖餐礼拝が行われ、2019年度の歩みが祈りとともに始められました。(広報室)
「3・11を覚える
礼拝」に出席して
?野昌博
(東教区長・小石川教会)
3月10日、四旬節第1主日の午後3時から、東京池袋教会において東教区主催の「3・11を覚える礼拝」が持たれ、約50名が集いました。礼拝では、日本聖公会の信徒で聖公会東京311ボランティアチーム代表の楡原民佳さんが、ご自身が現在も関わっておられる活動について語られました。それは、被災地からの避難者、特に子どもたちが避難先で体験させられている過酷ともいえるいじめの実態、そして、その子を支える母親をはじめとする家族の追いつめられている現状、そして、周囲の無関心、あるいは排除といった厳しい現実でした。天災を人災へと変質させ、拡大していく、私を含む人間の罪の真相を突きつけられ、胸をえぐられる思いで聞いたのは、私だけではないでしょう。
司式者のリードによって、私たちは、8年前のあの日の出来事を思い起こし、今なお悲しみの続いていることを再認識し、「わたしたちは決して恐れない。地が地が姿を変え、山々が揺らいで海の中に移るとも、海の水が騒ぎ、沸き返り、その高ぶるさまに山々が震えるとも。」(詩編46)との御言葉を聞き、創造主なる神様に深く信頼を寄せることを促され、励まされると共に、復興への厳しく、困難な道を歩んでおられる方々に思いを馳せました。
礼拝では、リラ・プレカリア(祈りのたて琴)に支えられながら、全員で黙想の時を持つ機会も与えられました。8年の歳月を振り返る中で私は、当初は自然災害の脅威を目の当たりにし、恐れをなし、人間の小ささ、弱さを痛感させられていましたが、やがて時の経過と共に、人類の文明の在り方そのものを直視せざるを得ないことを知り、深刻な反省と、主なる神の前での悔い改めが必要であることに気づかされていったように思います。神の前での悔い改めは方向転換であって、そこには再出発の希望があります。
この先、過ぎた8年よりも、長い長い道のりになるでしょうか。挫折することもたびたびであると思いますが、希望を失わず、どこまでも粘り強く、手を携えて共に歩んでいきたいと願わされ、祈りを一つにしました。
日本福音ルーテル教会社会委員会 ③ヘイトスピーチを考える 社会委員会 秋山 仁
ヘイトスピーチ、それは人種や民族、国籍、宗教、あるいは性別、障がい等を理由とした、個人や集団への差別や憎悪を表現した発言・言動をいいます。およそ2009年頃から社会問題化してきました。ヘイトスピーチを行っているのは、主に「ネット右翼」と呼ばれる人たち、もしくはその考えに賛同する人たちです。彼らは「愛国」を掲げ、在日韓国・朝鮮人をはじめとする在日外国人が「日本で特権を享受している」との嘘・デマの情報をインターネット上で流布させ、偏見や排斥感情を煽っています。彼らは、「嫌韓(韓国)」、「嫌中(中国)」といった言葉を生み出し、それらの書籍が本屋の店頭で売られるようにもなりました。
彼らの攻撃対象は在日外国人だけにとどまらず、被差別部落出身者や障がい者、同性愛や性同一性障がい者等の性的少数者、あるいは、生活保護受給者にも及びます。「福祉にただ乗りしている」「生活保護を不当に受けている」というのが彼らの言い分です。さらに「反原発」や「沖縄の基地建設反対」を主張する人々に対しても、「反日」というレッテルを貼り、しきりと誹謗中傷を繰り返すのです。
そうした風潮の中で、ネット上だけでなく、大阪や東京等の都市部を中心に、街頭での、あからさまなヘイトスピーチ「デモ」が行われるようになっていきました。「市民団体」を名乗り、毎週のように各地の在日外国人多住地区等に集まっては、マイクをもって極めて差別的な罵詈雑言を浴びせかけるのです。京都では 朝鮮初級学校(幼稚園・小学校)の校門前で、「スパイの子は日本から出て行け」「朝鮮人は人間以下」などの発言を繰り返した事件もありました。
2016年に国会でヘイトスピーチ規制法が成立し、また大阪や東京でもヘイトスピーチを規制する条例が制定
されていますが、法的に取り締まる効力はありません。「言論・表現の自由」を妨げてはならないというのです。
ヘイトスピーチは、言葉の暴力です。言葉による「人間の尊厳」の殺人です。対象とする相手の人格を無視し、尊厳を踏みにじることによって、社会的に葬ろうとする行為です。それはかつてナチス・ドイツが犯した犯罪にも通じるものです。
私たちは、差別や憎悪を煽る言葉に対して、立ち向かわなければなりません。差別や偏見を根絶するためには、先ず「人間の尊厳」を大切にする価値観に拠って立つことです。
それを聖書は教えてくれています。なぜならイエス様は、人を偏り見ることなく、一人一人をかけがえのない存在として大切に愛されたからです。そして社会や歴史について、嘘・デマに惑わされない正確な知識を身につけることと、様々な人たちとの出会いと対話を通して、相手を思いやる共感力を養うことが必要です
宣教の取り組み 九州教区「天皇代替 わりにあたって」文書発行
九州教区には、多くの社会福祉施設と学校が存在し、日常的に教会と共に宣教を担っています。このことから、九州教区常議員会はこの度の「天皇代替わり」とそれを取り巻く社会の動きに際し、キリスト教会として大切にしたいと思われることをまとめ、各施設などへ送付しました。その内容を分かち合い、それぞれの考えや歩みへの参考にしていただければと考えています。(広報室)
天皇代替わりにあたって
日本福音ルーテル教会九州教区に属する社会福祉法人、学校法人、ならびに、各幼稚園、各保育園、各認定こども園、乳児保育園、各学校、各施設の皆様
主のみ名をほめたたえます。皆様にありましては、日ごろから、主の愛のみわざのためにご尽力いただいておりますこと、心より感謝し、敬意を表するものであります。
さて、今年の4月30日に現天皇が退位し、5月1日に新天皇が即位することが決まり、代替わりに伴い、様々な儀式が執り行われることになっています。
聖書の信仰によって、「神の御前に皆等しく愛され、尊ばれている」ことを旨とする私たちは、「同じ人間である誰かを特別に奉ること」に抵抗をおぼえます。
私たちがほめたたえるべきは、主なる神様のみです。
30年前の代替わりの際に、様々な「自粛」や「奉祝」が求められたことが思い出されます。それぞれの置かれている状況などは違うと思いますが、キリスト教主義に立つ私たちは、それらの日を、ある意味、何もない日として普通に過ごす、あるいは、このような時だからこそ、主なる神様をほめたたえる礼拝を(チャプレンなど)牧師らと一緒に過ごしていただければ、と願います。
また、キリスト教の信仰に生きる者にとっては、「平成」や「新しい元号」よりも、「2019年」こそ、意味のある年です。それはわが国では「西暦」と呼ばれていますが、A.D.(Anno Domini)は「主(イエス・キリスト)の年」の略です。
天皇の代替わりによって新しい元号への関心もおありかもしれませんが、この機会に、改めてキリスト教主義の法人、キリスト教主義の学校、キリスト教主義の幼稚園、キリスト教主義の保育園、キリスト教主義のこども園、キリスト教主義の乳児保育園、キリスト教主義の社会福祉施設として、何よりも「2019年の今」であることを大切にしていただきたいと思います。
また日常的にも、皆様の施設、学校、園において、「平成◯◯年」と用いることを習慣にしておられるところもおありかもしれません。でも、これを機会に、キリスト教主義の法人、諸学校、諸施設、諸園においては、「2019年◯月◯日」と書くことを習慣づけていただければと思います。
何気ないことのように思われるかもしれませんが、そのようなところにおいてこそ、「私たちの法人、私たちの施設は、キリスト教の施設です。」ということを意識し、また伝えることにもなっていきます。
卒園式、入園式等において、保護者の方々から言葉をいただく時にも、「私たちの園はキリスト教主義の園ですから、2019年◯月◯日としてください」とお願いすることも大切なことです。
ちなみに、官公庁などへの提出書類においては、日本の元号を用いなければならないと思われがちですが、それも協力を要請されているに過ぎないことですので、私たちはいかなる時でも「主の年」を重んじて、「2019年」と書くことができます。
さらに、天皇家の中からも疑義が出されているのを見るまでもなく、30年前の代替わりの際に「大嘗祭」をはじめとする一連の儀式が憲法の定める「政教分離」を無視したものであることなどに対しても、私たちは、少なからず疑問を持っておりますし、それらの過剰な動きがかつての軍国主義へと進んでいくことをも懸念しています。
今年行われる代替わりの諸儀式等をどのように受け止めるのか、個人個人においては自由です。
しかし、「ただひとりの神を信じ、その神様の愛はすべての人に等しく注がれている」ことを信じるキリスト教の法人、学校、施設、保育園、乳児保育園、幼稚園、こども園にあっては、職員だけでなく、園児、生徒、学生、利用者、そのご家族の方々に、私たちの立つべきところはどこにあるか示していくためにも、 今回の代替わりにおける過ごし方をお考えいただければと思います。
九州教区の常議員たちで話し合い、この手紙を送ることにしました。
皆様の上に、神様の恵みと平安がありますように。
主のみ名によって。
2019年3月15日 日本福音ルーテル教会 九州教区常議員会
第26回 春の全国ティーンズキャンプ報告
関 満能(宣教室TNG委員会 Teens部門)
本年も各教会を始めとする多くの方の祈りと、日本福音ルーテル社団、各教区、女性会連盟などの皆さまのお支えによって、第26回春の全国ティーンズキャンプを開催し、恵みのうちに終了することができました。本年はキャンパー75名、スタッフ39名が当日参加しました。感謝と共に報告いたします。
本年のテーマは、「創造」でした。「神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった」(創世記1・31)とのみことばを主題聖句とし、神さまが私たちの「存在」そのものを肯定してくださっていることをキャンパーとともに分かち合いました。
プログラムでは、キャンパー一人ひとりがグループリーダーや牧師から名前を呼ばれ、「あなたは極めて良い」との言葉をかけられる場面がありました。そこでは、涙するキャンパー(そしてスタッフも)少なくありませんでした。12歳から18歳までのキャンパーは、この3日間を通してそれぞれに「極めて良い」という神さまからのみことばを受けとっていったことと思います。
最後に、キャンプ中のキャンパーの声をお分かちします。プログラムに神さまからの「極めて良い」というメッセージを受けとめられないことを考える時間があったのですが、その際多く見られた意見を紹介します。
「問い/神さまからの極めて良いとのメッセージを受けとめるにはどうしたらいいか」
「答え/教会へ行く」
これは、あくまでも答えのすべてではなく多く見られたものです。しかし、春キャンに関わるスタッフの思いは、教会の働きである春キャンを通して、キャンパーが教会につながっていくことです。キャンパーが教会へ行くことに対する思いを少しでも持ってくれたことは、スタッフとして大変嬉しいことでした。芽が出るには時間がかかるかもしれませんが、着実に種は蒔かれていると思います。
第26回 春の全国ティーンズキャンプ概要
開催日程/2019年3月26日~28日
会場/千葉市自然少年の家
テーマ/創造
主題聖句/「神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった」(創世記1・31より)
キャッチフレーズ/
Very Good!
参加者/75名(北海道1、東27、東海12、西8、九州27)
スタッフ/42名(準備だけのスタッフ含む)
キャンプ長/関 満能牧師
チャプレン/野口和音牧師
プログラムのねらい/神さまが私たちの「存在」を肯定していることを受けとめる。
宣教の取り組み 本郷ルーテルおいしいじかんフェスタ
本郷教会と本郷学生センターは、アメリカからの宣教師による英会話クラスを中心にした宣教が行われてきました。それを継続しながら、近年、より一層地域に奉仕することを目的とし、子育てサロンや野宿者支援、そして街のイベントとして「本郷ルーテルおいしいじかんフェスタ」を開催しています。
平日夜に開かれていたキリスト教入門に参加する、いわば教会の「外」の人たちが、教会がこのあたたかな場を積極的にアピールしないのはもったいなく、地域や教会外の人にも知ってもらいたいという思いを得たことが始まりとのこと。当初、近隣の大学の学園祭に出店することも考えたそうですが、それ以上に教会の建物と交わりが持つぬくもりを味わっていただける場とすることを考え、教会を会場として街のフェスティバルを行うことになったのは5年前のことでした。
音楽の演奏や日々の暮らしに役立つお話し、近隣の飲食店による出店、手作り雑貨やお菓子、ワークショップ、また教会や教会員が取り組んでいる様々な活動の紹介など、地域の方々と教会に連なる人たちとが一緒に「おいしい時間」を味わうことになればと計画し、町会や消防団などの協力も得ることができたそうです。
教会が与えられている数えきれない恵み(宝)を「外」の人たちが掘り起こし、それを地域でわかちあうことが、従来行われてきたバザーとは少し雰囲気の異なる機会となり、大勢の人がそこに集うこと自体を楽しみ、出会いを喜ぶ良い機会となっています。地域に「居場所」を提供する宣教活動は、地域社会からも期待されています。6回目となる今年の「本郷ルーテルおいしいじかんフェスタ」は、5月12日(日)に行われます。 (広報室)
新たな聖書日課の導入について
改訂礼拝式文の公式使用が開始され、3月の按手式でも礼拝前の短い練習を経て、これを用いて礼拝が行われました。新たな礼拝式文と共に作成が進められていたものに「聖書日課」と「特別の祈り」(改訂礼拝式文では「集いの祈り」と呼称)があります。
改訂礼拝式文は、新たな聖書日課と共に使用されることを想定していますが、それが改訂(Revised)共通(Common)聖書日課(Lectionary)であり、略してRCLと呼びます。これは主要なプロテスタント教会やカトリック教会が共同で取り組んで作ったエキュメニカルな聖書日課です。世界の各教会が教派を越えて、主日に同じ聖書テキストから同じみことばを聴こうという思いから、1992年に完成しました。世界の多くのルーテル教会もこの日課を採用しています。 主日礼拝の聖書日課は3年周期で構成され、共観福音書といわれるマタイ、マルコ、ルカ福音書を3年ごとに繰り返し読みます。共観福音書ではないヨハネ福音書は、四旬節や聖週間、復活節を中心に随所に組み込まれ、いずれの年にも読まれるようになっています。この構成は、現行の共通聖書日課もRCLも同じですが、これまでと比較してヨハネ福音書が多く取り上げられる傾向にあります。
特別の祈りは、主日の聖書日課のために整えられ、その日の朗読聖書が指し示すみことばの中心テーマを簡潔に示します。ですから、聖書日課の変更に伴い、特別の祈りも、よりふさわしく整えることとなります。これまで教職には数年にわたり、RCLに基づく新たな特別の祈りの案を提示し、意見を聴取しながら、日本語表現としての適正や用語の統一、礼拝で声に出して祈るといった様々な使用法を考慮して、作成が行われてきました。
この度、RCLを公式に導入することとなり、2019年12月の待降節から、現行の聖書日課からRCLへ切り替えることとなりました。教会手帳へも反映していくこととなります。諸委員会や関係団体等で必要な場合には本年6月中旬から、週日の日課を含む情報をお渡しすることが可能です。事務局へお問い合わせください。(事務局)
公 告
この度左記の行為を致しますので、宗教法人法第23条の規定に基づき公告致します。
2019年5月15日
宗教法人
日本福音ルーテル教会
代表役員 大柴譲治
信徒利害関係人 各位
帯広教会池田礼拝堂建物取壊・売却
所在地 北海道中川
郡池田町旭町3丁目
所有者 日本福音ルーテル教会
家屋番号 47番地1、2
種類
教会
面積
①140・87㎡
②37・91㎡
牧師館
面積
①72・90㎡
②28・35㎡