るうてる2016年1月号
説教「師二人」
「主は一人、信仰は一つ、洗礼は一つ、すべてのものの父である神は唯一であって、すべてのものの上にあり、すべてのものを通して働き、すべてのものの内におられます。」(エフェソの信徒への手紙4章5~6節)
私は2人の師に出会ったことを感謝しています。1人は主イエス・キリスト、もう1人はH医師です。
幼いころから病弱であった私は、よく病院に通いました。今のように自家用車があるわけでもなく、バスがあったわけでもありません。容体が悪くなれば、子どもの足で小1時間かけて歩きます。途中にお店や休憩する所もありません。家に戻ると容体が悪くなってもおかしくありません。
牧師になり帰省した折に、H医師をお尋ねしました。すでに引退しておられましたが、名前を覚えていてくださり、ご自宅に招いてくださいました。そして帰り際に菓子折りをくださいました。それを見ていた看護師がそっとつぶやきました。「先生に菓子折りを持ってくる患者さんはようけいおらすばってん、先生から菓子折りをもらったのはあんただけばい」。それほどいつも病院に通っていたということかもしれません。
病院に着くとH医師は真っ白な診察台に寝かせ、手でお腹を触ります。真っ白で、冷たく、私のお腹より大きいと思われる手でした。この手が触ると病気が治るんだ、幼い私はそのように思いました。それが終わると、私の腕より大きな注射器が待っていました。「坊やは豪傑ばい」。ただ痛さを我慢しただけなのに、H医師はいつもこう言ってほめてくださいました。
後に、私は教会に導かれました。 そして聖書にも同じようなことがあることを知りました。イエスさまのお弟子は、人々に手を当てて癒しを祈ります。イエスさまは子どもたちに手を置いてこう言われます。「天の国はこのような者たちのものである。」(マタイ19・14)
教会に導かれてH医師の存在の大きさが分かりました。単に肉体の病を治してくださっただけではない。私が救われるために治してくださったのだ。バプテスマのヨハネのように、H医師も語っておられるように思えたのです。「あの方を見なさい。そのために私は病気を治しているんだよ」。
先に触れた帰省の折り、H医師はこうも言われました。「今なんばしおっと(どのような仕事をしていますか)」。「教会で牧師ばしおっです(牧師をしています)」。「よか仕事ったい。がんばらんばばい(良い仕事だからがんばりなさい)」。
H医師が教会や牧師についてどのような理解をもっておられたかは定かではありません。でも、私はうれしかったのです。幼い私がこの病院に導かれたのは、体も心も元気になり、神さまの御用をするためであった、そう確信したからです。
今は分裂の時代です。神のみ国とこの世が引き裂かれ、生と死が、人と自然が、そして体と心が引き裂かれています。そこに本当の平安はありません。
すべては主にあってひとつ、そのために働くことは教会の大切な務めではないでしょうか。聖書もそのことを示しています。イエスさまが十字架に死なれた時、神殿の幕は真っ二つに裂けました。天地を隔てていたものは取り除かれ、天の恵みが地に降り注いだのです。そしてクリスマスの日、天使は歌います。天には栄光、地に平和。
これまで日本福音ルーテル教会でご奉仕させていただいたことを心から感謝し、誇りに思います。教会のお働きの上に、主のお導きと平安を祈ります。アーメン。
宗教改革五〇〇年に向けて ルターの意義を改めて考える(45)
ルター研究所所長 鈴木 浩
ルターは本格的な講義として、「第1回詩編講義」を1513年に始めるが、それに先立って1508年にアリストテレスの『ニコマコス倫理学』を講じている。その第5巻では、「正義」が論じられている。
アリストテレスは、人間社会で貫かれねばならない正義(義)とは何かを、例によって緻密な定義と説得力のある論理で論じている。トマス・アクィナスに代表されるスコラ神学は、その基礎構造としてアリストテレスの哲学を使っているので、「神の正義」の理解に、アリストテレスの「人間の正義」の定義が浸透していくのは避けられなかった。その結果、「神の正義」が「人間の正義」との類比の中で理解されていくことになった。
「神の義」をめぐる本格的な論争は、5世紀にアウグスティヌス(430年没)とペラギウス主義者の間で行われていた。宗教改革は、この論争の「拡大再生産」であった。同じ問題、「神の恵みと人間の自由意志の関係」が論争の中心にあった。過激なアウグスティヌス主義者であったルターは苦闘の果てに、アウグスティヌスのように「人間の義」に正面から対立する「神の義」の理解に到達する。
議長室から
総会議長 立山忠浩
「神様の時の流れに生きる」
新しい年を迎えました。この1年間も皆さまの上に、諸教会、施設、学校、幼稚園、保育園の上に、神様の祝福をお祈り申し上げます。
さて、お正月を迎えるたびにやや落ち着かない感覚を覚えることがあります。教会には相変わらずクリスマスツリーが飾られ、クリブ(飼い葉おけ)などが置かれているからです。教会の外はイブの翌日から正月モードに切り替わり、新年にはクリスマスはもう遠い過去の出来事になっているのに、教会だけが時の流れから取り残されたかのように、顕現日(1月6日)までクリスマス一色だからです。まるで巷の時の流れに抵抗しているかのようです。
夏目漱石の『草枕』の冒頭の言葉は有名です。「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される 。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」。時代の流れに抗した文豪であり、求道者でもあった漱石の偽らざる言葉に、ある種の共感を覚える日本のキリスト者は少なくないでしょう。
もちろん、キリスト者はいつも巷の流れに抵抗しなければならないわけではありません。窮屈な生き方を常に強いられているのでもない。むしろ、暖かい福音の中で自由に、伸びやかに生きることが許されていることを忘れてはいけません。
でも、いつも心に刻んでおかなければならないことがあると思うのです。それは、聖書がふたつの時を記していることです。平たく言えば、まず日常的な時の流れがある。2016年というような暦の年月、時計の時間のことです。いわば横軸の流れで、巷の時の流れはこれです。
ところがもうひとつの時がある。神様に関する時です。イエス・キリストの誕生の時があり、復活された時があった。私たちにも生まれた時があり、洗礼を受ける時がある。信仰が鍛錬される時があり、信仰をもって終える時がある。いわば横の流れにくさびが打ち込まれたような特別な時のことです。
礼拝の時、祈りと讃美を献げる時もこれと同じです。信仰者にとっての時を大切にするときに、結果として巷の流れに抗することになるのかもしれません。無論この世の流れにうまく乗ることも必要でしょう。でも、何にも増して、神様に関する時を大切にする1年を送りたいと思うのです。
「イエス様と出会う」
伊藤早奈
「シメオンが”霊”に導かれて神殿の境内に入って来たとき、両親は、幼子のために律法の規定どおりにいけにえを献げようとして、イエスを連れて来た。シメオンは幼子を腕に抱き、神をたたえて言った。『主よ、今こそあなたは、お言葉どおり、この僕を安らかに去らせてくださいます。』」(ルカ2・27~29)
天の神様、私たち一人一人に新しい目覚めをありがとうございます。
新しい年を迎えて、お一人お一人がいろいろな思いの中にあります。「今年こそは」と目標を新たにされる方、一日一日が健康であることを祈る方。その一人一人にいつも主が共におられ一人一人が一瞬一瞬を大切に生かされますように。このようにみ言葉から聴くことができる「今」が与えられていることを感謝します。このお祈りを主イエス・キリストのお名前を通してお祈り致します。アーメン。
皆さん明けましておめでとうございます。
ルカによる福音書2・25~35はこの新年に初めて読む聖書の箇所として、ふさわしい箇所です。というのはこの「シメオンの賛歌」とされている賛歌は毎回礼拝の中で皆さんと歌う「ヌンクディミティス」そのものだからです。
祭司であったシメオンは救い主に出会うまでは死ぬことはないと神様からのお告げを受けていました。現代に生きる私たちは人間としてこの世に生まれたイエス様に出会うことはできませんが、み言葉を通して聖霊として働かれるイエス様に出会うことができます。
イエス様と出会い感激し、祝福されたシメオンが思わず「神様ありがとう」という気持ちで神様を賛美したように、私たちもみ言葉を通し聖霊として働かれるイエス様に「ありがとう」の気持ちを込めて、礼拝の度にヌンクディミティスを歌いましょう。
そして、自然や人やみ言葉を通して出会うイエス様に「ありがとう」の気持ちが溢れる年でありますように。
インターネット聖書講座「ルーテルアワー」の人気コーナーである、伊藤早奈牧師による「さあなの部屋」より、おすすめ記事をお届けします。
福島における日本ルーテル教団(NRK)の働き
日本ルーテル教団東日本大震災支援対策担当スタッフ 北澤 肯
東日本大震災に際して始まった4つのルーテル教会による「ルーテルとなりびと」の活動が終了した後、NRKでは特に福島の放射能被害に焦点を当てて支援活動を行ってきました。最も力を入れているのは「福島県の児童養護施設の子どもの健康を考える会(ICA福子)」の支援です。
ICA福子は医療の専門職にある2人のクリスチャンにより、震災後に創設されたNPOで、福島県内にある7つの児童養護施設の健康管理の支援を行っています。福島県内では健康診断実施の通知が親元に送られてしまうために、児童養護施設の子どもたちは、他の子どもたちのように甲状腺がん検査や他の健康診断を受けることができません。また、児童養護施設の子ども達は予防接種の記録がなかったり、健康や心の問題を抱えているなど、特に健康管理の必要性が高いのです。しかし、勤務形態や待遇の問題から、児童養護施設は常にスタッフ不足で、児童の健康管理が十分行われているとは言えない状況でした。
そこで、ICA福子は、記録が簡単で使いやすい健康管理プログラムの開発を行い、児童養護施設への導入を行ってきました。NRKはプログラムの開発費用や、版権の法的な管理の支援をしてきました。この働きが昨年、企業とNPOとの協働を評価する「パートナーシップ大賞」の優秀賞をいただきました。
他には、福島から長野県松本市へ移住した中学生の共同生活を支援する「松本こども留学」の子どもたちにインドカレーを作りに行ったり、放射線測定器とGPSを組み合わせたホット・スポット・ファインダーを福島県キリスト教連絡会に寄贈したりと、小さな働きですが、福島への関わりを続けています
教会手帳住所録の修正
2016年版教会手帳住所録につきまして、次の通り表記に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。また、住所録校正後に変更のご連絡をいただきました件につきましても併せてお知らせいたします。
■P15教会 水俣教会 電話・FAX変更→共用(096)684-9372
■P16引退 白石郁夫 住所変更→〒865-0016 熊本県玉名市岩崎382湯と里館
■P18引退 V.ソベリ 電話変更→+358-400-963828
■P20召天牧師配偶者 石居美智 住所変更→〒181-0015 三鷹市大沢
■P49学校 浦和ルーテル学院 住所、電話、FAX変更 →〒336-0974 さいたま市緑区大崎3642
同 藤倉二三男(校長)→福島宏政(校長) 〒343-0035 越谷市大道767
同 小澤聖一(事務長)→小澤聖一(法人事務局長)
同 小中校事務長追加→斉藤義和(小中高事務長) 〒349-0106久喜市菖蒲町菖蒲5013│365
礼拝式文の改訂
20 改定式文説明会報告
式文委員会委員長 平岡仁子
4月に行われた西教区西中国地区を皮切りに、各教区・地区における改定式文説明会は、左記の通り全国10カ所に式文委員を派遣し、実施されました。
4月29日(水)西教区西中国地区説明会(宇部教会)/6月20日(土)西教区関西地区一日神学校(大阪教会)/7月4日(土)東教区宣教フォーラム(東京教会)/7月11日(土)南部九州教区役員研修会+信徒(神水教会)/7月12日(日)北部九州教区役員研修会+信徒(博多教会)/8月30日(日)北海道特別教区帯広教会改定式文説明会(帯広教会)/9月12日(土)東海教区伝道セミナー(みのり教会)/9月23日(水)西教区東中国・四国地区式文講習会(広島教会)/10月10日(土) 北海道特別教区函館教会改定式文説明会(函館教会)/10月11日(日)札幌(札幌教会・恵み野教会)改定式文説明会(札幌教会)
教会の皆様の積極的な取り組みに感謝すると共に、各教区・地区における説明会で聞かれましたご意見の一部を、ここに記します。
●音楽に関して
口ずさみ易く、親しみ易く、歌いやすい曲を。奏楽者のために複雑でない曲を。/伝統的な音楽を用いてほしい。/メロディーは現在のものを生かしてほしい。
●改定式文に関して
全体的な推敲、言葉の統一性(漢字の使用等)が必要である。/バラエティーに富むのは良いが、高齢化により、選択作業がしんどく感じられる。/洗礼は決意である。洗礼想起は洗礼を強いるものであり、現状を理解していない。/配餐において、未信者に対する配慮を。また洗礼に与ることへの招きのことばも必要。/未信者への祝福に関して、信仰と職制委員会に見解を尋ねることが必要。/主の祈りは文語訳、NCC訳、カトリック聖公会訳の3訳併記を望む。/派遣の祈りの文言に選択肢を加え、自由祈祷に換えることができるように。「集めるもの」よりも、「感謝のささげもの・感謝の献金」の方が望ましい。/文脈から推測(誤りを恐れずに)すると、み民イスラエルは「神を信じ、従い、神に愛される人」と解してもよいのではないか。/式文はルーテル教会のアイデンティティーだからこそ、古いもの、伝統を大切に。/言葉をその時代に相応しく伝えるため、また学術的な発展と共に、なされる重作業の上に改定式文が作成されていると思うと、無下に評価するのは如何なものか。/茶、黒、青式文どれを使用してもいいという通達があり、改定式文も同じような姿勢で進められるのは、改定目的や意図を、全体的にも個人的にも見失うばかりだ。/派遣の部の奉献は恵みを頂き、献金し、神様に仕えて行こうという気持ちが湧く。/式文が改定されたら早い時期に今回のようなセミナーを企画してほしい。理解を深めることにより、神様への応答が内から出、礼拝に出席できる喜びの気持ちも多くなる。
● 今後、式文委員会は更なる検討を加え、改定式文案の第2版を作成していきます。
ルター、バッハ、宗教改革500年。
3 主の洗礼と私たちの洗礼
キリスト、われわれの主はヨルダンに来られた
ルターの会衆讃美歌の中には一連のカテキズム讃美歌がある。礼拝でも歌っただろうが、とりわけカテキズム教育の機会に、特に子どもたちと歌ったことだろう。小教理問答に見られる、本来子どもの問いと親の信仰告白の答えに示される短い解説に比べると、歌うのだからかなり長いものの、子どもたちは歌いながらそれぞれの讃美歌が示す信仰を心に留めたに違いない。
洗礼に関するカテキズム讃美歌は他のものより遅く1541年に作詞されたが、翌年には低地ドイツ語にも訳されて歌われているから、待たれていた讃美歌だったと思われる。 ヨハネによるキリストの洗礼から歌い始めて、われわれ人間の洗礼の意味が歌われる。決して短くはない各節だが、それが全7節も続くという長い讃美歌に込められたルターの信仰の思いが伝わってくる。キリストの洗礼は神からの委託の場、われわれ人間の洗礼はキリストによるその委託の実現であって、これによってわれわれ罪人が罪赦されて、キリストと共なる者とされるという恵みがはっきりと伝えられる。
教会讃美歌にこれが訳されて載っていないのは誠に残念というほかはない(『礼拝と音楽』に載る私の訳詩が目に留まるなら、ぜひ見ていただきたい)。教会讃美歌の改訂の際には、このようにルーテル教会にぜひ必要と思われる讃美歌を加えて欲しいと願う。
バッハはこの讃美歌に基づくカンタータや、これを中に含めたカンタータを残していない。しかし晩年のクラヴィア練習曲集第3部にはこれらのカテキズム讃美歌が大小の教理問答になぞらえて作曲したか、大小2曲ずつのコラール変奏がある。手鍵盤で演奏できる小曲の方はぜひとも主の洗礼日の礼拝でオルガニストに演奏してもらい、聞く会衆は自らの洗礼を新たな恵みとして心に刻みたいものである
第23回全国ディアコニア・セミナー報告
箱田清美(唐津教会・小城教会)
今回のセミナーは『聖書の学びとディアコニア~天におけるように地の上にも~』と題して、大阪のるうてるホームの改築に合わせて、大阪教会とるうてるホームを会場として行われた。内容は、3つ。①「福祉の立場から教会に期待すること」と題して、施設長の石倉智史さんから基調講演。日本の福祉行政の危うさと現場の苦悩、 まただからこそ教会への期待が大きいのだが、現実の教会の宣教の中での福祉の位置づけは、小さいのでは?との考えさせられる提起もいただいた。②「迷走・暴走する日本の安全保障~一人ひとりが日本の将来を考える~」と題して、内河惠一さん。ここでは最近の安保関連法成立に関しての日本の安全保障の危うさにつき、豊富な資料に触れながらの話を戴いた。ご承知のとおり講師は実践家であり、自己の生活体験からの発言であり、聴く側も真摯に成らざるを得ない重みがあった。この発題を聞きつつ、憲法9条の曲解、集団的自衛権のこと、内閣法制局長官更迭、NHK会長据替、砂川事件判決の結論のすり替えなど、現在の政府の動きは、一つひとつがバラバラのものではなく、現在の日本の国家権力機構の中枢にいる「人」の問題なのだと思わされた。議論には至らなかったが、キリスト教会は?クリスチャンは?この一連のうごめきの向こうにある、人間の闇のようなものに、どう対峙するべきか考えさせられた。最後は③岡愛子さんが、ご自分の人生を振り返りつつ、ルーテル教会に身を置いてきた神の恵みの生涯を証しされた。ルーテル・アワーに導かれ、苦悩の中でのいろんな職場での体験、教会での働きの場、そして昨年から、るうてるホームに生活の場を与えられているという。溢れるようなにこやかさと澄み切った張りのある声での証しに慰めを受けた。
今回の集まりは、20名ほどの参加に過ぎなかったが、内容は教会がその働きの中で、神の国の宝としなければならないことの琴線に触れたものであった。それだけに大阪地区の教会の信徒方との交わりの機会がなかったことは、地方から集った者にとってはまことに残念でもあり、今後のネットワークの呼びかけの在り方に課題を残した。
野口泰介先生を偲ぶ
定年教師 宇野正徳
敬愛する野口泰介先生は、11月14日に主のみ許に召されました。その2日前、松本義宣牧師から「野口泰介先生の容体があまり良くなく、野口先生と同期の先生方に連絡を取ろうと思いますが、どなたに連絡を取ってよいか分かりませんので……」との知らせを受けました。野口先生が入院されていることも、病状がそこまで進んでいるとは知りませんでしたので、とにかく会って少しでも元気を取り戻してくれればと、急ぎ、お見舞いに行くことにしました。その矢先、「野口先生は今日の午後、お亡くなりになりました」との報せを受け、一瞬、言葉につまりました。まさか、こんなに早くに逝くとはと信じられない気持ちです。鷺宮の神学校で4年間、机を並べ、寮生活を共にしてきたクラスメートだけに惜別の思いです。
野口泰介先生は、1936年(昭和11)に北九州市で生まれ、熊本大学教育学部心理学科を卒業後、1959年に日本ルーテル神学校(鷺宮)に入学し、引退までの41年間、松本、室園、甘木、三原、神戸、日田の各教会で伝道・牧会に従事し、多くの人々に福音を説き、キリスト教信仰へと導きました。
そうした活動の傍ら現在の教育問題や子育てに見るいじめや虐待を憂え、その問題に悩む人たちに少しでも役に立つならばとペンを執りました。『ほんとうの私が生きたい』、『子育てと聖書』、『負けて勝つ神』などです。そこには野口先生自身が子どもの頃に受けた父親からのあらぬ疑いと厳しさにより心に痛手を受け、人間不信に陥ったのですが、そうした人間不信からどのようにして立ち直ったのかという体験が滲み出ています。その間、人として生きるには何が大切かを模索しつつ、聖書に出会い、献身し、人間関係に悩む人々に神の愛とゆるしを伝えようと牧師の道を選んだのです。
野口先生に与えられた数々の恵みを覚えつつ、79年の生涯を終えた野口先生の上に主の平安を祈ります。
第26回総会期 第5回常議員会報告
事務局長 白川道生
第26回総会期の第五回常議員会が、11月9日から10日にかけて、市ヶ谷センターにて開催されました。
▼諸活動、委員会報告
初日は、立山忠浩議長から今期の基本姿勢として提示されている「第6次総合方策の実践、特に実質を伴った推進を目指し、重点的課題を抽出した取り組み」に関する議長報告、以下、事務局長、宣教・広報・管財・総務の4室、世界宣教主事、各教区、常置委員、常設委員その他委員会、それぞれの活動報告、加えて今回は、9月に行われた事務処理委員会の決議(宗教改革500年記念事業の件)承認を含むすべての報告が承認されました。
重点的に協議された事項としては、日本福音ルーテル教会(以下JELC)事務局でのマイナンバー制度への対応、収益事業検討小委員会の設置、今後の世界宣教、式文改訂の進捗と見通しなどがあげられます。
▼審議事項
審議事項では、米国より来日した短期信徒宣教師(J3)の派遣が決定しました。熊本のルーテル学院中学・高校と、文京カテリーナ及び本郷学生センターへ2年間の派遣となります。
教会建物に関する建築申請が2教会より提出されました。東教区の小岩教会は、東京都による災害対策道路拡幅に伴い、教会堂・牧師館と保育園舎を合築で2017年3月までに新築する計画です。同じく、東教区の東京池袋教会は、老朽化により、牧師館を2016年6月までに新築する計画です。いずれも承認されました。
毎年11月常議員会で決定するのが「次年度教職給与」、「次年度協力金」、「次年度JELC会議日程」です。加えて2016年5月に開催される「第27回全国総会」のため総会準備委員会設置を決定しました。
協議事項では、「宗教改革500年記念事業」で計画の一部変更、補正予算が宣教室より提案され、承認されました。
当初の「全国巡回展示企画」から「ギフトキャンペーン」への代替により、いま各個教会が建っている、その地域での展開を模索してゆきます。また、記念事業を通して生み出そうとする、ルター・ルーテル・宗教改革の結び付けを、教会だけでなく、指向してきた連携の枠組みである「宣教共同体」(ルーテル教会を母体とする歴史をもつ諸学校、福祉施設、幼稚園保育園)へと呼びかけて行く方向性が共有されました。
これに基づいて、2015年宗教改革主日までに、第1弾として《バナーキャンペーン》が実施されました。193箇所、216本の統一バナーが全国各地で掲げられるところになりました。続いて、2016年10月発行予定で《ヤツオリキャンペーン》、《本の贈り物キャンペーン》の準備に入っています。
また本記念事業を確実に推進するための全国募金活動(2017年末迄に800万円)においては、なお一層の情報提供の強化が必要と指摘されました。合わせて、カトリック教会と共同でこの時を記念するために対話の積み重ねが継続されているとの報告に期待が寄せられました。
常議員会の詳細は、教会宛に送付される議事録をお読みください。
第23回 春の全国ティーンズキャンプ参加者募集
■期間 2016年3月28日(月)~30日(水)
■対象 12歳~18歳 (2016年4月1日時点)
■会場 神戸市立自然の家
〒657-0101神戸市灘区六甲山町中一里山1の1
■テーマ
聖霊~振り返れば神様の導き~
■主題聖句
「あなたがたの中で善い業を始められた方が、キリスト・イエスの日までに、その業を成し遂げてくださると、わたしは確信しています。」(フィリピの信徒への手紙1章6節)
■参加費 1万円
(1月31日までの申込み。それ以降は1万1千円)
※交通費別途。間際のキャンセルの場合、キャンセル料が発生します。
■申し込み 2月21日まで
(飛行機、新幹線の手配のため早目にお申込みください)
■申し込み方法
こちらのURLへアクセスしてくださいhttp://tng.jelcs.net/teenscamp2016/
携帯・スマホからは、2次元コードからもアクセスできます。
・所属教会の牧師から参加の承認を必ずもらってください。その上で、教会 もしくは牧師のメールアドレスを聞いてください。メールアドレスが無 い場合は、電話番号でも可能です。
・正式登録されると下記のTNG-Teensブログに教会名とイニシャルが表 示されます。申込みから数日かかります。
・サイトからの申し込みができない場合、「申し込み書&アンケート」に必 要事項を記入し、次のいずれかに送ってください
電話&FAX 078-691-7238(神戸教会)
メール harukyan.moushikomi@gmail.com
郵便 〒653-0804 神戸市長田区寺池町2-4-7神戸教会 松本義宣
問合せ先 電話 080-6106-0794(永吉穂高)
春キャンについて、またTNG-Teensについて、
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