るうてる2024年01月号
「聖なる地」
日本福音ルーテル飯田教会牧師
朝比奈晴朗
「主は、モーセが道をそれて見に来るのを御覧になった。神は柴の間から声をかけられ、「モーセよ、モーセよ」と言われた。彼が、「はい」と答えると、神が言われた。「ここに近づいてはならない。足から履物を脱ぎなさい。あなたの立っている場所は聖なる土地だから。」神は続けて言われた。「わたしはあなたの父の神である。アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。」モーセは、神を見ることを恐れて顔を覆った。(出エジプト記3・4~6)
新しい年を迎えました。皆様にとって2023年はどのような年だったでしょうか。辛いニュース、悲しいニュースの多い年ではありましたが、結婚や出産、就職、目標の達成といった、喜ばしい出来事を経験した方も多くおられたことと思います。
私はと言いますと、大阪生まれの大阪育ちの人間にとって「アレ」、つまり阪神タイガースが日本一になったことは本当に嬉しい出来事でした。報道では38年ぶりと何度も大きく取り上げられました。
実は私が人生の大きな節目を迎えたのは、まさに38年前です。大阪の町は日本一を目指して戦っている阪神タイガースの話題で持ちきりでした。しかし、高校3年だった私は通学の途中で強い衝撃を受ける出来事に遭遇します。私の目の前に赤ん坊を抱いたお母さんが歩いていたのですが、急に向きを変え、私の体にぶつかるようにして、そのままホームから電車に飛び込んでしまったのです。あっという間の出来事で、私は呆然と立ち尽くすだけでした。
この出来事はそれ以降、何度も何度も脳裏によみがえりました。自分ができることが何かあっただろうか、何かしなければならないんじゃないか、という思いが心の底から湧き起こりました。
私はクリスチャンだった母に連れられて幼い頃から教会に通っていましたが、熱心に聖書を学ぶタイプではありませんでした。その私が、自分の将来を神様に導いていただきたいと真剣に願い、熱心に聖書の言葉に耳を傾けました。やがて自分の目指す道は社会福祉であると示され、ルーテル神学大学入学後、牧師の召命へと結びついていきました。
与えられました聖書個所には「モーセの召命」という見出しが付けられています。神の山ホレブで柴の間に炎が燃えており、それを目撃したモーセは「道をそれて、この不思議な光景を見届けよう。どうしてあの柴は燃え尽きないのだろう。」と呟きます。
この箇所は、ルーテル教会の式文、教会起工式で読むことが勧められています。私の仕えている飯田ルーテル幼稚園でも、つい最近起工式が行われ、理事長の立場にある私が式典を執り行いました。
しかし「いよいよ始まる」という喜びよりも、思いがけない資材の高騰で厳しい資金繰りを強いられる現実を前に、モーセのように神様を信じて歩み出す必要があることを強く感じながらの司式となりました。
1911年4月1日に産声を上げた飯田ルーテル幼稚園は、100年を超えてこの地で福音を届け続けています。小規模ではありますが、キリスト教教育を続けてきた幼稚園と、それを支え続けた教会は、飯田に存在する「燃え尽きない柴」だと思うのです。「なぜあの柴は燃え尽きないのだろう。」そう思って近づいてくださる保護者の方々、子どもたち、地域の皆様に、神様の御力とイエス様の愛を示し続けるのです。
時代的には伝道をしていく難しさが強調されますし、思うようにいかない時は、神様の守りがあるのを知りつつも、「わたしは何ものでしょう」とおびえ、尻込みしてしまいます。それでも神様は「わたしはある。わたしはあるという者だ」と力強くご自分を証しされ、「わたしは必ずあなたと共にいる」と言い切ってくださるのです。
モーセの旅は40年の歳月を要します。その間に、民衆は神様を信じ続ける者と脱落していく者に分かれました。最後の最後まで神様を信頼した人々が約束された土地へと導かれていったのです。
私たちが神様に入ることを許された「聖なる場所」とは、教会であると言えるでしょう。神様はそこに「燃えても燃え尽きない柴」の炎を明々と輝かせ、人々を招いておられるのです。
現在、子育てをしている家庭のほぼ4割に、強い不安や孤独があり居場所がないと感じているということを耳にしました。高校生の時に目撃したあの光景を繰り返してはならない。あの母親のつきささるような眼差しを笑顔にしたい。私には再びそんな思いが与えられています。
私たち一人一人の力は小さくとも、できることはそばにあります。この1年、共に祈り、支え合いつつ「わたしは必ずあなたと共にいる」と言ってくださる方を見上げつつ、日々を重ねてまいりましょう。
エッセイ「命のことば」 伊藤早奈
㊻そうなんだ
「だから、不正にまみれた富について忠実でなければ、だれがあなたがたに本当に価値あるものを任せるだろうか。」(ルカによる福音書16・11)
「かっこいい」
ん?・・・いつも自分では、このことは言ったらバカにされるかもしれないから言わないほうがいいと思っていました。
他の人からも言わない方がいいよと言われていたそのことを思い切って言ったときの友達の反応でした。えっ、かっこいいんだ。言ったらきっとバカにされると思っていたのが意に反した答えを言われた。その瞬間今まで自分を縛りつけていた劣等感から解き放たれ「自分は生きていてもいいんだ。」と思わされるほど衝撃でした。
こんなこともありました。ある人が私の肩の上を指差し「先生の肩の上に戦時中に死んだ友達の二人の顔がのって俺に笑いかけています。」と言いました。どおりで肩が重いとも思わず普通に「あなたには見えるようですが残念ながら私には見えません。」と答えていました。もしかしたらその方はわたしが怖がるのを期待していたのかもしれません。そう思うと今でもなんだかおかしくなります。
自分の思い込みが自分を縛りつけていたり、人との違いを受け入れなかったりしてわたしたちは自分の価値観を窮屈にしてしまっているんじゃないかなぁと思うときがあります。見えないものが見えると言われたとしても、自分ではあまり良くないと思っていることも、たくさんの価値観が集まればいろいろな見方が出て来ます。白や黒、グレーで別れ目がはっきりしなくても私たち人間には分けられない。これは良い、これは悪いとも一人では決められない。でも大丈夫神様にお任せできます大丈夫。
リレーコラム 「全国の教会・施設から」⑧
日本福音ルーテル市川教会
中島康文(日本福音ルーテル市川教会・津田沼教会牧師)
エーネ・パウラス宣教師は、市川教会を紹介する際に欠かすことのできない先生である。第1の理由は、市川の地に福音の種を最初に蒔いた、宣教の開拓者であること。戦前、墨田区の母子収容施設(現社会福祉法人ベタニヤホーム)で働き、居を市川市の国府台に構えておられたが、戦中は一時帰国。再来日後には前述施設の責任者として尽力されていた。その働きを知った地域の人々からの要請を受け、国府台にあった旧陸軍兵舎跡で保育事業を開始された。その際、戦前より自宅で行っておられた礼拝を、園舎で行うようになった。これが市川教会の前身である。日本人牧師も招聘できるようになり、1956年現在地に、会員の献金及び米国信徒の献金により会堂が建立され、以来宣教の拠点として主日の礼拝が一度も欠かすことなく(コロナ禍中も休会せず)、礼拝が守り続けられている。
第2の理由は、先生の働きは現在に至るまで、市川教会が目指すべき宣教の目標として引き継がれているということ。「行いが伴わないなら、信仰はそれだけでは死んだものです。」(ヤコブの手紙2・17)これを愛唱聖句としておられた先生は、3社会福祉法人13児童関係施設を設立することによって御言葉に忠実に従うことを実践された。先生の働きは、現在もそして未来も市川教会がこの地で宣教を続けるための柱であり、施設利用者及び職員への宣教を今も大切にしている。
現在、礼拝は午前9時(子どもや施設職員向け)と午前10時(ハートバージョンによる礼拝)、計40名前後の出席者がある。牧師は4施設のチャプレンを兼務し、会員にはWEBで聖書の学びや洗礼準備などを行っている。年に3回、第5土曜日に行われるコンサート(プロの音楽家による)は57回を数え、地域の方々70名~80名ほどが来会くださる。会堂を中心に、施設や地域に奉仕しつつ私たちは御言葉の種を蒔き続けている、パウラス宣教師のように。
2012年に会堂の大修繕を行った。その経緯に関して、「るうてる2019年6月号」の巻頭言に寄稿したのでご参照ください。
認定こども園さわらびこども園
牧野恵子(さわらびこども園園長)
さわらびこども園は、熊本県南部、鹿児島県との県境水俣市にあります。さわらびこども園の歴史は古く、1922年水俣教会設立の7年後1929年に設立され、1951年に幼稚園として認可されています。幼稚園の設置については、熊本バンドの海老名弾正師により受洗した4名を含む水俣教会設立当初の教会員の働きに負うものが大きいようです。設立当初の園舎は教会堂を兼ねたもので、設立者の緒方フミ姉の実家から養蚕の為の小屋を移築したものでした。
戦時中、学校の存続を懸けて軍や県との難しい交渉に当たられた徳永正氏は、県の医師会副会長や九州女学院(現九州ルーテル学院)の理事長を務められた方であり、さわらびこども園の名付け親でもあります。氏は、文芸にも通じておられ万葉集の中の一首「石(いわ)走る 垂水の上のさわらびの 萌え出づる 春になりにけるかも」から名付けられたと言われています。早春の寒さを突き抜けて萌え出づるさわらびの新芽に子どもの成長をたとえられたのではないでしょうか。
水俣は元々城下町で、一時はチッソ株式会社を中心に発展していましたが、1965年頃から人口減少が始まり歯止めがききません。1年間の出生数が、本年は全市で60人を切りそうです。子どもの数は減少していても、保育施設の数は以前とさほど変わらず厳しい状況です。さわらびこども園の在園児数は現在40名、来年度は30名に減少するかもしれません。このような中、他園で適応が困難な子どもの転入を受け入れており、キリスト教保育の必要性と存続意義を感じています。海と山に囲まれた豊かな自然、自園の広い畑など恵まれた環境を活かした保育を実践しています。経営面の努力と、保育の資質向上が面前の課題です。祈りつつ、この働きがつづけられますように。
改・宣教室から
小泉基宣教室長(日本福音ルーテル札幌教会牧師)
―岡田薫先生(帯広教会・札幌教会)は最近、移住外国人を支援するための基金にかかわっておられると伺いました。どのような基金なのでしょうか。
岡田 名称を「難民・移民なかまのいのちの緊急基金(難民・移民基金)」といいます。昨年の国会での改悪入管法の審議に、キリスト教界は協力して反対の声をあげたのですが、6月に可決・成立してしまいました。この反対運動の中で、特に在留資格のない方や、仮放免の方々が困難な状況におかれていること、また成立から1年以内に施行されることになっている新しい入管法によって、さらに困難な状況に追い込まれる方々の存在が見えてきました。そこで、この反対運動で協力しあったキリスト教団体が、市民運動とも手を取りあって、困難な状況にある外国人住民の方々を、直接的に支援できるようにと基金の取り組みが始まったのです。
―外国人が日本で暮らしていくにあたって、どのような難しさがあるのでしょうか。
岡田 多くの問題があります。特に立場が弱いのが、様々な事情で在留資格を失ってしまった方や難民申請を却下された方、難民認定を待ちつづけている方々です。現行法でも行動の自由の制限、労働の禁止や制限がなされ、10割負担でないと病院にもかかれないなど、生きていくための最低限の権利すら守られていません。この基金の理解と支援を広めるために2月18日(日)にオンラインで集会が予定されているので、多くの方にご参加いただきたいです。
―岡田先生は、どのようないきさつでこの基金にかかわられることになったのですか?
岡田 2021年の軍事クーデターで困難に陥ったミャンマーの人たちのためのオンライン祈祷会に友人の誘いで参加し、オンラインを通じた人間関係が広がったのがきっかけです。
―ありがとうございました。先生の大切にしておられる聖句を教えてくださいますか。
岡田 1つに絞ることは難しいですが、今は「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい。これがわたしの掟である。」(ヨハネによる福音書15・12)です。
―どうもありがとうございました。
※詳細についてはWEBサイトをご参考ください。
世界の教会の声
浅野直樹Sr.(世界宣教主事 市ヶ谷教会・スオミ教会牧師)
―イギリスにもLWFに加盟するルーテル教会があることはあまり知られていません。Lutheran Church In Great Britain(英国ルーテル教会)がそれです。信徒としてエキュメニズム活動に熱心に取り組んでいるのは、ドイツ生まれの旧約学者アンナ・クラウスさん。英国にはChurch Together in Engllandというエキュメニズム運動があり、50を超える教派の教会と関連団体が参加しています。
エキュメニカル運動に関わるきっかけは何ですか?
アンナ 私自身は大多数がルーテルに属するドイツの北バイエルン出身です。そこはカトリックは少数でルター派が非常に強い地域でした。学校ではいろいろな教会の友人がいましたが、大学はルーテルの人がほぼゼロのスコットランドの大学で1年間学びました。そこでスコットランド改革派と関わり、地域のカトリック教会チャプレンを手伝ったりしました。大変でしたがとても意味ある経験で、それ以後エキュメニズムに関わるようになりました。
―エキュメニズム運動をするうえで、聖書の写本研究者として見えてくることは何ですか?
アンナ 聖書はキリスト者にとって共通ですが、読み方や経験はさまざま。聖書成立期の文献や聖書そのものを研究することで、当時の人たちが聖書とどう向き合ったかが私の研究ですが、このことは、さまざまな教会の伝統に立つ今日のキリスト者が、聖書をどう読み解釈するかを知るうえでとても有益です。
―エキュメニカルな見方は日常生活でどう影響しますか。
アンナ 神学的一致というのは最終段階のことと一般的に考えがちですが、エキュメニカルなつながりの中にいると、一致こそまず第1で、何か美しいものとなっていく基板です。英国のルーテル教会は英国国教会ととてもよい関係にあります。
―今年の宗教改革記念日では英国の教会協議会75周年記念会を担当されましたが、企画に携わって印象深いことは何ですか?
アンナ 協議会関係の人だけでなく、エキュメニカルな代表者たちも参加してくれましたし、LWFのご挨拶もあったことです。それと礼拝で使う聖書を各教会から持参してもらい、言語の異なる聖書の祝福と献呈が行われたことが印象に残っています。
―Church Together in England(以下CTE)議長としての役目は何ですか?
アンナ カンタベリー大主教、ローマカトリックと正教会の総司教たちが居並ぶなかで、按手を受けていない若い女性の私が大役をさせていただき本当に光栄でした。CTEは英国の大きなエキュメニカルなネットワークの一つで、神学的な検証の後、加盟を認められた新キリスト教団体も入っています。グループは全部で6つ。アングリカン(英国国教会)、正教会、カトリック、ペンテコステとカリスマ派、自由教会、そして私たちルター派が属する第4グループにはクェーカーと改革派がいます。多様な構成ですので時に議論は難航しますが、これだけの教会の声ですから、主要課題についての声明はとてもパワフルになります。
※詳細についてはWEBサイトをご参考ください。
解説㊾ 増補41番「わたしたちは一つ」増補43番「希望の道」
石丸潤一(西日本福音ルーテル 新田教会牧師)
「わたしたちは一つ」と「希望の道」は、いずれも、西日本ルーテル鳥取教会で活動する賛美バンド「David’s Harp(デイヴィッズ ハープ)」のメンバーである竹中友張氏による作品です。
これらは、3年に1度開かれていた西日本福音ルーテル教会の「聖会」(COVID‐19流行後は休止中)のテーマソングとして作られた賛美です。
2009年の聖会は「主にあって一つ〜主内一家〜」と題し、ガラテヤの信徒への手紙3章28節のみことばのもとで持たれました。
同じ宣教団体から生まれた西日本福音ルーテル教会の姉妹教会である香港・マカオと台湾のルーテル教会の兄姉が聖会に共に集い、イエス様の恵みによって一つとされている教会・クリスチャンの幸いを深く味わうひと時でした。
テーマソング「わたしたちは一つ」は、神様が結んでくださったことに感謝しつつ、愛し合い、祈り合い、御名を賛美する教会の喜びを軽快に歌います。
2012年の聖会は「前進」。ヘブライ人への手紙10章39節のみことばに励まされ、主とともに、ひるまず、ひたむきに前に進んでいく。将来への祈りとヴィジョンを分かち合いました。
テーマソング「希望の道」は、さまざまな困難がある日々でも、主と共に歩む私たちには、失われることのない希望と前進していく勇気が与えられているという、信仰の確信に基づくクリスチャンと教会の力を歌います。
COVID‐19は、心身ともに人々の距離を離しました。またこの世の宗教への風向きは、今、強い向かい風のように教会にも吹きつけているように感じます。
この2曲の賛美は、そんな今を生きる教会とクリスチャンを、明るく、力強く、励ます力に満ちています。今回収録されたことで、西日本福音ルーテル教会を超えて多くの教会で愛唱され、主にあって愛する兄姉の心に、信仰のぬくもりと力が注がれるようにと願います。
LWFアセンブリーに参加して
本間いぶ紀(日本福音ルーテル 甘木教会信徒)
ポーランドのクラクフで開催された第13回ルーテル世界連盟(以下LWF)総会に、そして総会後の理事会に参加しました。総会にてLWF理事会の青年理事として選出され、理事会に出席するためでした。「機関紙るうてる9月号」に掲載していただいていますが、6月にマレーシアのクアラルンプールで開催されたアジア・プレ・アセンブリーでアジア地区の推薦を受け、この度クラクフでの総会で承認されました。
私は総会の決議に対する投票権はなく、会議を傍聴しました。総会の最後の礼拝では選出された次期理事49名全員の名前をLWF事務局長のアン・ブルグハルト牧師が読み上げ、祝福を受けました。私の隣で共に礼拝に参加したインドネシア出身の友人は、彼女の言葉で私のこれからの歩みのために祈ってくれました。私は彼女の言葉は分かりませんでしたが、彼女が私のために一生懸命に祈っているということは、確かでした。世界中のあらゆる場所から来て、それぞれ違う言葉を話し、異なる生活習慣を持つ私たちが、キリストによって同じ場所に集められ、共に神様を賛美し、信仰を分かち合うことができるのだということを実感しました。
また6月にクアラルンプールで出会った友人たちに助けられました。私の到着を待って連絡をくれた友人、一緒に祈ってくれた友人、市街地を共に観光しながらたくさん話した友人、青年理事として活動していくことを応援してくれた友人。私はクアラルンプールからの帰国後「短い参加であっても、アジアの青年たちと出会い、彼らを知り、彼らと時間を共にするという目的を十分に果たせたのではないか」という感想を残していましたが、まさしくその通りでした。クアラルンプールで共に過ごした時間は少ししかなかったにもかかわらず、私を覚えて、祈ってくれた彼らへの感謝の想いでいっぱいです。
青年理事としての任期は2030年までです。まだまだ分からないことばかりですが、たくさん学んで、LWFを支える1人になれたらと思います。そしてなによりも私は神様が私に与えてくれた賜物であるこのミッションに、神様の助けと導きによって応えていきたいと思います。
最後になりましたが、みなさまのお祈りに感謝します。主にありて。
LWF第13回アセンブリーに出席して
大柴譲治(日本福音ルーテル 大阪教会牧師)
2023年9月13日(水)〜19日(火)、ポーランドの古都クラクフでLWF第13回総会に参加してきました。世界99ヶ国の150教会から300名を超える代議員とスタッフ、エキュメニカルゲスト、ビジター等で多い時で参加者は1000人を超えていたでしょうか。前回は2017年にアフリカ・ナミビアで開かれ、次回は2030年に信仰告白500年を記念してアウクスブルクで開催されます。今回の会場は近代的な設備を誇るクラクフICEセンター。近畿福音ルーテル教会のC・クリンゲンスミス師と私の2人が日本からの代表でした。他にJELCから宮本新牧師、三浦慎里子神学生、大柴金賢珠氏の三人がビジター、そして今回アジアから推薦を得て青年理事に選ばれた本間いぶ紀氏が後半参加。代議員は缶詰状態で議長・事務局長報告、会計報告等の承認、選挙、分団等に追われました。私は国際会議への参加は初めてでしたのですべて新しい経験でした。同時通訳の翻訳機と投票用機器の2つを常に目の前に置いて会議は進行したのです。中にはすべてオンラインで書類を入手する方もおられました。文書は英語・独語・仏語・スペイン語の四カ国語で準備され、発言もそうでしたから同時通訳機は不可欠(その事務量の多さだけで圧倒!)。帰国する際には書類と出版物の重量は何と6キロを超えていました。ビジターとして今回宮本先生と三浦神学生の参加は必ず将来のJELCのためになりますので、ぜひ今後もそのような機会を増やして欲しいと願っています。米国は今回20人もの神学生をビジターとして派遣していました。若い人たちにはぜひ英語力をつけていただきたいと願います。
私にとって今回の白眉だったプログラムは2つ。1つは15日(金)に15台のバスに便乗して650人がアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所を訪問したこと。アウシュビッツは日本に関わりの深かったコルベ神父が処刑された場でした(遠藤周作『女の一生・二部・サチ子の場合』)。もう1つは17日(日)に地域教会の礼拝に参加できたことで、そこには都南教会で受洗された日本人もおられました。ポーランドは宗教改革直後も第2次大戦中も激戦地となった場です。力強い礼拝賛美の歌声はその苦難を通して培われた信仰の力を現していると強く感じました。
第30期第3回常議員会報告
李明生(日本福音ルーテル教会事務局長・むさしの教会牧師)
11月13日、日本福音ルーテル教会常議員会がオンライン(Zoom)によって開催されました。以下、主な事項について報告いたします。
・市ヶ谷会館大型修繕(耐震補強)工事完了報告
2022年7月より開始された市ヶ谷会館大型修繕(耐震補強)工事が9月10日に無事完了しました。この修繕工事計画のためにご尽力頂きました皆様に感謝申し上げます。またルーテル市ヶ谷センター3階宿泊フロアもリニューアルされたことを併せて報告いたします。
・スオミ教会解散の件
今年4月のフィンランド・ルーテル福音協会(LEAF)から日本福音ルーテル教会への宣教師派遣終了決定を受けて、スオミ教会は9月開催の臨時総会において、日本福音ルーテルスオミ教会としては12月1日をもって解散、その上でフィンランド・ルーテル福音協会の教会として新たに教会形成をすることなりました。これを受けて、スオミ教会からの解散申請が今回承認されました。スオミ教会の新しい歩みの上に主の導きが豊かにありますことをお祈りいたします。
・西教区「開拓教会建築資金」の用途変更申請並びに「土地建物回転資金」未払利息の免除申請の件
西宮教会および西条教会から土地建物回転資金への返済を進捗させるため、開拓伝道資金のうち西教区のために確保されていた資金の利用ならびに未払利息免除について当該教会の申請と新たな返済計画と併せて西教区常議員会より申請が出されました。未払利息の免除については返済が15年近く遅れている状況と西教区としてこれを申請していることを鑑みた上で財務委員会においても「特認」としたことを確認の上、本件については承認されました。
・2024年度協力金・
教職給与の提案の件
各教区ならびに全体教会の諸活動がCOVID–19以前のものに戻りつつある中、次年度協力金については10%に戻すことが確認されました。また教職給与については、物価上昇を踏まえて0・5%のベースアップとすることが確認されました。個々の教会のご理解とご協力をお願い申し上げます。
・関係法人設立に関する要綱全面改正の件
「関係法人設立に関する要綱」ならびに「法人化志向園についての審議基準」は1983年に制定されましたが、その後の社会状況の変化を踏まえて、前総会期より財務委員会を中心に検討を重ねてきました。これまでの検討を踏まえて今回、「法人化志向園についての審議基準」を廃止し、「関係法人設立に関する要綱」を全面改定することとなりました。この要綱は「教会が諸活動を法人化しようとするとき、また既存の法人の運営を見直そうとするときに、ルーテル教会の基本的な方針として活用される」ことを目的とするものです。
その他の報告・議事等の詳細につきましては、各教会へ配信されました常議員会議事録にてご確認ください。
山内量平探訪記①
古屋四朗(日本福音ルーテル日吉教会信徒)
今から30年前、ルーテル教会は「宣教百年」に沸きました。1893年に、アメリカのルーテル教会からの宣教師、シェラーとピーリーが佐賀で宣教を始めてから100年目だったのです。この時に発行された『宣教百年の歩み』には、2人が宣教師に選ばれてから佐賀に来るまでが2ページにわたって書かれたあと、「やがて後を追って、日本語教師の山内量平夫妻が合流」とあります。
私はこれを読んで、「これから宣教を始めるときに、なぜ初めからいたのか?」と素朴な疑問を持ちました。
10年くらい前に、『山内量平・日本のルーテル教会初代牧師』(坂井信生著)という本に出会いました。その本を通じて、山内先生が和歌山県で劇的な回心を体験し、財産を処分して信徒伝道に献身し、やがて上京してルーテル教会の宣教師に出会ったことを知りました。ルーテル教会宣教開始は、宣教師が日本語教師を雇って始めたというより、宣教師と山内夫妻の共同事業でした。そういう準備が、和歌山でなされていたのです。
私は、「いつか、先生の回心の場所に立ってみたい。」と思うようになりました。昨年召された妻が残していたマイレージに背中を押されました。「そうだ和歌山、いこう。」というわけです。
2023年4月、南紀白浜に飛び、2泊3日と短いが、山内先生を偲ぶ旅ができました。これからその旅の思い出をお分かちしたいと思います。
聖書日課購読のお勧め
聖書日課は、ルーテル教会諸派の有志が共同で作成する、ルーテル教会の教会暦にそった日毎のみ言葉の説きあかしです。
執筆者はルーテル教会の先生方にお願いしており、日毎にみ言葉を味わうことができるようにしています。
是非、会員になって頂き、み言葉に満たされ、同時に文書宣教の業を支えて頂けたらと願っています。
刊行は年4回行われています。1月号から1年会員となって頂いた場合、年4回の配布で1800円、年度途中からの会員の方は1冊500円となっています。
いつでも入会可能です。
次回は4月号からの受付となります。年3回の配布で1500円(1冊500円)です。
お申込みは、聖書日課事務局にお申し出ください。
また、WEB会員は年会費1200円でご利用いただけます。WEBサイトからお申込みください。
ルーテル聖書日課を読む会事務局
〒162-0842
東京都新宿区市谷砂土原町1-1
日本福音ルーテル教会事務局内
TEL:03-3260-8631
FAX:03-3260-8641
E-mail:seishonikka@jelc.or.jp