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メルマガ776

《イエスは近づき、彼らに手を触れて言われた。「起きなさい。恐れることはない。」》
(新約聖書/マタイによる福音書17章7節)

今年は3月ごろから新型コロナウィルスの広がりの影響で外出自粛が続いてきました。教会も一時閉鎖をして礼拝や集会を休止したところが多くあると思います。そんな中、自宅にいてオンラインで仕事をしたり、授業を受けたり、さらには礼拝もライブ配信で観るということが行われるようになりました。インターネット技術が発展し、通信インフラが整備されている現代だからこそ、ある意味ではオンラインで事足りてしまうのです。

先週の月曜日に緊急事態宣言が全国的に解除され、これから徐々に外出ができるようになってくるでしょう。教会はどうでしょうか。オンライン礼拝なら朝早く起きて教会に行かなくても良いし、面倒な奉仕もないし、ビデオチャットで交わりもできるし、良いじゃないと皆さん思いますか。この問いは現代特有のものです。過去には技術的に不可能でしたが、現代では可能になりました。ですから、過去の人たちは誰もこの問題に答えることができません。現代に生きる私たちが考えなくてはなりません。

京都大学の総長で霊長類学者・人類学者の山極壽一博士のよると、人間は視覚や聴覚を共有するだけでは相手に信頼することはできないのだそうです。嗅覚や味覚、触覚など、本来は決して共有できないはずの身体感覚を一緒にその時その場にいて体験することで、人間は他人を信頼できるようになるのです。現代の私たちはコロナ以前から、触れること、触れられることに臆病になっています。山極博士は「便利な時代にいるからこそ、人とつきあうことがコストになってしまっている」と言います。

イエス・キリストは、疲れた人、重荷を負う人、病に苦しむ人を癒す時、その人に触れてから言葉をかけました。その触れた手から伝わる温もりや優しさ、触れる、触れられるという互いの身体感覚を一緒に経験することで、言葉が中身を持って私たちの生きる力となるのかもしれません。

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