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【teensメルマガ】774)(TNG-teens)

《一つの部分が苦しめば、すべての部分が共に苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分が共に喜ぶのです。》
(新約聖書/コリントの信徒への手紙第一12章26節)

世界史で勉強する中で出てくるペストや黒死病。その感染症拡大の歴史が、今まさにわたしたちの現実となっています。「STAY HOME」家で過ごそう、と多くの人が努力していると思います。不安のただ中にいる人も多いでしょう。そして大変な状況の中、工夫しながら家で過ごしていると思います。これを読んでいるあなたの抱える不安が、少しでも取り除かれること、祈っています。

そして、少し立ち止まり、今の自分とは違う立場の人を想像してほしいのです。「STAY HOME」といえど「家」がない人はどうしたらいいのでしょう。「マスクを給付します」と政府がいえど「住所」がない人はどうやって受け取ればいいのでしょう。買い占めないで下さいと注意されても、買うお金が無い人はどうしたらいいのでしょう。衛生面に気をつけて過ごそうと思っても、そもそも不衛生な環境で過ごしてきた人たちはどうしたらいいのでしょう。

わたしは東京都・渋谷で野宿を余儀なくされている人たちへの支援活動をしています。渋谷で活動する野宿者支援団体はいくつもありましたが、新型感染症拡大の影響を受け、3月で半減、緊急事態宣言を受けさらに半減し、現在渋谷での炊き出しはほとんどなくなりました。ある野宿の人は「コロナの前に餓死する」と言うほどの危険が、路上にあるのです。このような現状を受け、わたしたちの活動は本来月2回の活動を4月から週2回に増やし、活動しています。
これまでは通常約100人の方に食事をお渡ししてきました。しかし回を重ねるごとに人数は増え、現在は毎回約130人の方に食事を届けています。人数が増えている理由は、ネットカフェ難民だった人たちが路上に出ざるを得なくなったことが1つの原因です。これまでは他団体の炊き出しで食い繫いできた人々が新規参入してきたことも影響しているでしょう。何れにせよ、きっと、これからしばらくは人数が増えていくだろうと予想しています。 また通常の活動の際は、簡単なお弁当作りや準備のために10人、食事を渋谷でお渡しするために10人、のべ20人ほどの有志と一緒に活動していました。教会にみんなで集まり、お弁当を作り、渋谷へ運び、保存食なども一緒にお渡ししてきました。しかし、3月下旬からは感染症拡大防止のために、ボランティアをストップし、現在は3人で行っています。

このように現在の活動は少人数で行なっていますが、食事を届け続けるこの活動のために多くの人が力を貸してくれています。それは、ルーテル教会の牧師や友人をはじめ、全国各地のキリストにつながる人たちが寄付や献品というかたちで具体的に助けてくれています。東京都の野宿を余儀なくされている人びとの状況は絶望的ですが、それでもなお希望を捨てずに活動できるのは、彼ら、彼女らの祈りと行いがあるからです。

また、わたしはこれまで、キリストは渋谷の路上にもいると感じながら、12年間活動してきました。もちろん、今の渋谷の路上にも、キリストはいるに違いないのですが、現状を考えると、いたとしたら相当過酷な状況で辛いだろうな、と切ない気持ちになります。ところが、先日の給食活動の際に、野宿の人びとから「国も、役所も助けてくれない。炊き出しもみんなやめて、STAY HOMEしている。でもね、キリストさんは優しいから絶対助けてくれるんだよ。だから続けてくれているんでしょう?今日もありがとうね。」と言われました。野宿の人びとが、わたしたちの背景にあるキリストを感じていてくれたことに、心が震えました。

いくら届けても足りなくて、これがいつまで続くのかわからない、またわたし自身もいつまで続けられるかわからない(感染、発症したら中止せざるを得ない)不安もありますが、野宿の人たちに励まされる思いがしました。キリストは路上にも、支えてくださる方々にも、そしてつい忘れがちになりますがわたしとも、共にいてくださっているのです。
 
「一つの部分が苦しめば、すべての部分が共に苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分が共に喜ぶのです。」

必要とされない命はない、とわたしたちが当たり前のように聖書から受け取ってきたメッセージを、今、友人たちの祈りと具体的な行いを通して改めて感じています。教会に集えなくとも、キリストとつながり、この困難なときを乗り越えたいと願っています。そして、あなたの『当たり前』が当たり前ではない中で苦しんでいる人のことを思い浮かべ、ぜひ心に留めてみてください。

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