【声明】天皇代替わり儀式に関する抗議と要望
2019年6月に行われた日本福音ルーテル教会常議員会において、天皇の代替わりについての社会委員会の見解を承認し、10月22日の儀式の前に、日本福音ルーテル教会常議員会としてその抗議と要望について声明を出すことを確認しました。これを受け、このたび下記の内容で声明を発表いたしました。
2019年10月4日
天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典委員会委員長
内閣総理大臣 安倍晋三様
日本福音ルーテル教会 常議員会
天皇代替わり儀式に関する抗議と要望
わたしたち日本福音ルーテル教会は、先般行われた天皇代替わり儀式のうち、「退位礼正殿の儀」、「剣璽等承継の儀」、「即位後朝見の儀」等が、国民主権・平和主義という日本国憲法の理念に反する形で行われたことに抗議をいたします。
それは、これらの儀式が、天皇を絶対的な主権者とした国家神道時代の旧皇室典範・登極令に則したものであること。「退位礼正殿の儀」、「剣璽等承継の儀」において用いられた「三種の神器」は、天照大神から伝わるとされる神道神話にもとづく宗教的祭具であり、これらを用いた儀式を国事行為として行うことは、憲法 20 条の「国及びその機関は、 宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」という政教分離原則に違反すること。「即位後朝見の儀」が、臣下が天子に拝謁することを意味する「朝見」という形式を とっていること。これらの儀式に公費が用いられたことは、宗教上の組織に対する公金支出の禁止を定めた憲法 89 条に違反するからです。
また、わたしたちは、すでに政府が次第概要を定めている「即位礼正殿の儀」、「大嘗祭」が、同様の理由から憲法に違反する計画となっていることに抗議をいたします。天皇 神話に基づくとされる「高御座」に座する天皇を、三権の長をはじめ都道府県知事等が拝することになる「即位礼正殿の儀」は、国民主権の精神をないがしろにしています。こうした宗教行事を国事行為として行うことは、「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行 事に参加することを強制されない」ことを定めた憲法 20 条に違反するものであり、国民に 対して「祝意」が強制されることがあってはなりません。また、神と天皇が食事と寝床を共にし、永遠性を帯びた天皇霊を継承するとされてきた「大嘗祭」に、「公的な性格がある」と認めて国費を用いることは、憲法の政教分離原則に違反するだけでなく、かつて大日本帝国が、国家神道によって国民を統合し、天皇を頂点とするアジア支配を目指して行った侵略戦争を正当化する危険すらはらんでいます。
わたしたち日本福音ルーテル教会は、第二次世界大戦を含め十五年戦争のあいだ、「神のみを神とする十戒の第一戒を守り抜くことができず、また平和を実現するようにとの主の戒めを生きることが」出来なかった(「日本福音ルーテル教会宣教百年信仰宣言」1993)ことへの反省の上に立ち、上記のような天皇代替わり儀式の有り様に強く抗議するとともに、「大嘗祭」をはじめとする神道儀式を含んだ天皇代替わり儀式への公費支出の中止と、国の関与の取りやめを要請いたします。
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