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【TNG-teens)】メルマガ771

《柔和な人々は、幸いである、その人たちは地を受け継ぐ。》
(新約聖書/マタイによる福音書 5章5節)

『鬼滅の刃』という漫画のテーマは「優しさ」です。誰にでも優しい主人公は「鬼」と呼ばれる怪物に家族を襲われ、妹を鬼にされてしまいます。助けに来てくれた人からは「優しいだけでは大切なものを守れない」と叱られます。主人公は、妹を人間に戻すために剣術を学びます。しだいに強くなるのですが、肝心なところで困難を切り開くのは彼の優しさや弱さです。「誰かが自分たちのために命を張ってくれた。そのおかげで自分たちは生きている」ことに気付くと、主人公は成長します。

アニメ版のオープニングテーマ『紅蓮華』には「優しいだけじゃ守れないものがある? わかってるけど」という歌詞があります。生き延びつつ、妹を人間に戻すにはどうしたらいいのか? 強くならねばならないが、自分が鬼になってはいけない。たとえ甘いと言われても、主人公は鬼にも優しくします。

一方、鬼たちも生きることを渇望します。鬼の勢力は、トップである鬼のパワーハラスメント、つまり力と恐怖で秩序立てられています。鬼は、人間を食らえば食らうほど強くなります。

「優しいだけじゃ守れないものがある?」と感じることは、私たちの生活でも多々あります。けれども、大切なものを守るために優しさを捨てて強くなろうとすることは危険です。そういう姿勢は人から人へ、恐怖と共に伝わります。みんなの「生きたい」という思いを原動力に、人を食らって鬼にするからです。

物語の舞台が大正時代の日本であることは、本作がフィクションでありながらも現実の日本を描いていることをほのめかしているのだと思います。「優しさ」をテーマにした本作が若い人たちの間で流行っていることに希望を感じます。

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